表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一信九疑  作者: 名無芽海城
4/4

彼はまだ愛されている事を理解せず、独りであると汚れた心で思う

家族となんだろうか?

血の繋がりか?

もし仮に人類の始まりが、

一人の男、一人の女によって生まれ、

その子供たちが子供を、

さらにその子供たちが子供を、

樹形図のようになっていたのならば、

人類皆が家族になってしまう。

ならば、心の繋がりか?

では心とはなんだろう?

心臓?はたまた脳?

それとも、存在しない『ココロ』

という臓器なのか?

心という定義が完全でない以上、

否定も肯定も出来ないだろう。

では家族とはなんだろう?



「ただいまー」

蓮太郎の相談も終え、特にやることもなかったので帰宅することにした。

「「あっ!お兄ちゃん!おかえりー」」

その声が聞こえると、体に2つの衝撃が走る。

「おっと…祐輔、優花ただいま。お母さんは?」

この2人は

『二原 祐輔』と

『二原 優花』だ

自慢の義弟妹たちだ。本当に俺には勿体ないくらいに。

「お母さん今日、同窓会にお父さんと行ってるよ!!」

「だからママが、お兄ちゃんに夕飯作ってもらえって!」

「あぁそういえば、朝そんなこと言ってたな…よし!じゃあお兄ちゃんが超絶美味しい夕飯作ってやる!何食べたい?」

「「肉じゃが!」」

「おぉなかなか珍しい選択だな…確か昨日冷蔵庫にジャガイモと人参と玉ねぎはあったよな…よし!じゃあお兄ちゃんと買い物行くか?」

「「いくー!」」

「よし!じゃあ急いで準備しろー!」

「「はーい!」」

返事をすると急いで自分たちの部屋に戻り、部屋着から外に出るための服装に着替え始める。

ちなみに、2人は二卵生の双子だ。

そのせいか、2人の容姿は全くと言っていいほど似ていない。

祐輔は性格は母親よりだが見た目は父親にそっくりだ。

逆に優花は性格は父親よりで見た目は母親にそっくりだ。

家族で唯一似ていないのは俺だけ…

そんなことは当たり前なのだが、それでもやっぱり時々思ってしまう。

この家族との間に生まれていたら、どんなに幸せだっただろう。

この家族に育てられたら、どれだけ今と変わっていただろう。

そんな、タラレバ話をしても何も変わらないことは分かっていても、どうしても時々頭に浮かぶ。

「「お兄ちゃんどうしたの?」」

いつの間にか2人は戻ってきていた。

きっと何か考え込んでいる俺を見て、気にかけてくれたのだろう。

でも、何故気にかけてくれたのか?

家族だから?それとも、困っている人をほっておけなかったからか。

赤の他人である困っている俺を…

まただ、そんなこと有り得ないのはわかってる。

けど考えずにはいられない。

これが俺にとっての『普通』なのだから。


「いや何でもないよ。ちょっとボーッとしてただけ」


いつの間にか、そう答えていた。

無意識に付けた仮面がそう答えた。

家族の前ですら、付けてしまったその仮面で。


「そっかならよかったー!」

「お兄ちゃんってよくボーッとするよね!」

純粋な2人を見ながら、汚れた自分が答える。

「最近寝不足なんだよ。」

「無理しないでね?」

「しっかり寝るんだよ?」

ははっ。やっぱり俺は汚いな。


「おうおう。わかったわかった。じゃあ買い物行くぞー」


2人に汚れた自分を見せないように、話をそらすように、独り前を歩きだす。


「「はーい!」」


そうして『独り』と『2人』でスーパーへと向かう

そんなある訳もないことを思いながら。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ