35 海のダンジョンの露見
日本人はカリブ海にある海のダンジョンへの入植を順調に進めていた。まぁ、殆どの入植が現地人が入植済みのダンジョンへの入植でダンジョンを探す手間がないのだから当然だな。
カリブ海に派遣されたダンジョン探索隊の面々は海豚に誘われるがままにダンジョンに入って人跡未踏のダンジョンを探してはいたものの、カリブ海やメキシコ湾辺りにあるダンジョンの殆どは現地人のお手つきなのでその大半は空振りである。極稀に新たなダンジョンに当たりはするもののまだ片手にも満たないのが現状だ。それで現地人が入植済みのダンジョンの開口部の位置を記録するのが彼等の毎日の日課となっていた。
三村はそんなお気楽で刺激のない日々をスナメリ班の時より楽だなとか考えながらのほほんと過ごしていたのだがその日は朝から妙に騒がしかった。
「三村、聞いたか?海のダンジョンの件がとうとうバレたぞ。昨日の昼にカリブ海にある海豚のダンジョンでロシア人が日本人の入植者に接触したんだと」
長きに亘って秘密裡に進めていた日本人による海のダンジョンへの入植がついに他国に露見した。ロシア人がカリブ海に無数にある海豚のダンジョンの一つに侵入し入植した日本人と接触したのだ。
「ああ、朝から騒がしいと思ったらそんな話か。でも昨日はそんな話なかったけど?」
「ロシア絡みで伏せてたんだろ。臼井達は徹夜したらしいぞ」
「本土の奴等に合わせて動いてたらそうなるよな。カリブ海とは随分な時差があるし」
ダンジョン内で会議をすればいいものを日本本土のお偉いさんの殆どは呼びつけるのが好きで負担は全て現場の人間が背負う事になる。普段はダンジョン内で時間を調整してるからそれでも何とかなるんだが緊急となると上にいい顔をしたい奴等が調整もさせずに呼びつけるから下っ端はたいへんなのだ。ダンジョンの深層で八時間休んでも外ではたった十二分なのに奴等はそれすら許さないからな。
「俺達がダンジョンの中で現地人を見つけた時より騒動みたいだぞ」
「まぁ、ロシアが絡むからな。色々あるんだろうさ。でも今迄よくバレずにきたよな」
「本当にな」
「それにしてもカリブ海なのか。俺はバレるにしてもオーストラリアかニュージーランドの辺りでバレると踏んでいたんだがな」
「俺もそう思っていたよ。あの辺りは日本人の入植している海のダンジョンが多いし陸地は人が支配しているしな」
オーストラリアとニュージーランドには猛獣がおらず陸地を支配しているのは人だ。だがカリブ海の辺りでは南アメリカ大陸は猛獣の勢力が強く人はその地の支配を手放しているし、島々には猛獣はいないもののそこに住む人々の殆どは海への関心を無くしていた。ダンジョンがあれば中で魚の養殖は可能だし、漁をしようにも海に船を出す能力が無かったし。その辺りの事情はオーストラリアやニュージーランドでも同じだがカリブ海の国々よりは余裕が有ると殆どの日本人は考えていた。カリブ海の島々にはダンジョンの氾濫により大陸から大量の難民が流れ込んでおりその混乱の余波が未だに残っていた。ヨーロッパ諸国が来るまで人の行き来が途絶えて島々が分断されていた事もあって、そこの国々は元に戻ったとは言えない状況にあった。
「まぁ、今迄が運が良すぎたよな。それで日本人である事もバレたのか?」
「向こうから日本語で挨拶されたって話だな」
「挨拶は普通なら英語だよな?」
「昨今はそうでもないんじゃないか。一昔前なら英語だったけど」
日本の勢力圏は拡がっていて国として単独で対抗できるのはロシアぐらいとなっていた。アメリカ合衆国は表面上の軍事力では以前として世界一なのだが彼の国はダンジョン攻略に出遅れてしまった。極地に足場を築けず現在は勢力としてはイギリスにも劣っているのだ。
「それで素直に日本語で挨拶を交わしたのか?」
「ああ、そう聞いてるけど?日本語で通り一遍の挨拶を済ませて友好的に退去したと聞いてる」
「どうせならスペイン語で挨拶を返せば良かったのに」
「スペイン語か。そうすれば面白かったな」
「素直に日本人な事を知らせる必要はなかったよな」
「実際その可能性もあった訳だしな」
「可能性があったどころかカリブ海ならスペイン語を話す現地人と接触する可能性のが高くないか?」
「ああ確かに」
カリブ海には現地人だけが住むダンジョンもまだあるし、ロシア人と最初に接触するのがスペイン語を話す現地人な可能性は充分にあった。でもロシア人は相手が何処の者か知らない筈なのに当然の様に日本語で話し掛けてきた。相手が日本人だと考えて挨拶した訳だ。どこかで尻尾を掴まれたかな?
「ロシア人がこちらが知らない間に海のダンジョンに入植を始めていたとかはないのかな?」
「……まずないだろ。入植を始めたにせよ極最近だな。カリブ海には日本よりも先にロシアが進出してるけど入植してないからな」
「確かにそうだな。オセアニアの海にだって入植しない理由がないな」
「そうそう。前から入植を進めていたならオセアニアか南米で接触が有った筈だ」
「他国は如何かな?イギリスとかフランスとか」
「さあなあ、まだ分からんが……面倒な事になりそうだな」
海のダンジョンへ入植が可能な事がロシア以外にも露見していたらカリブ海もだけど地中海はダンジョンの取り合いで大変な事になりそうだ。南米やオセアニア辺りの海も騒がしくなるかもだ。余り騒がしくなるとグールに露見する可能性が高くなる。それは避けたいよな。
「……俺達は待つしかないよな。ロシア人からはまだ挨拶されただけだし状況が掴めん」
「ああ、班長も報告を上げる以上の事は出来ないだろ。上の方で如何にかするさ」
ダンジョンの開拓は海豚、鯨、鯱等の鯨類の間で瞬く間に広まっていて、鯨類は大西洋でもその存在感を増していた。そしてこのダンジョンの開拓を覚えた鯨類は大西洋でも人をダンジョンへと誘っていた。だが日本人以外の人々はこの事に気付いてはいなかった。日本が他国に先駆けて海のダンジョンへの入植に勤しんでいたのをロシア人が知ったのはアメリカでグールがノーフォークに封じられた頃であった。
「海のダンジョンに人が住めるのは確実なのだな」
「確実です。調査したダンジョンの中は海でしたが島がありそこに人が居住していました。陸地が島である事を除けば通常のダンジョンと変わりません。農耕も牧畜も可能です」
「島の広さは……聞いても仕方がないな。ダンジョンの中であれば陸地は拡げれる。取り敢えず居住可能な広さがあれば充分だ」
「ええ。上陸さえ可能であれば島は拡げれるでしょう。限度はあるかもしれませんが」
「それで日本が攻略した海のダンジョンの数はどのぐらいなんだ」
「数は掴めませんが太平洋の東アジア海域にある多くの海のダンジョンに手を付けているものと思われます」
「日本はシナ人の乱の最中もグールの氾濫の最中も攻略を進めていたのだな」
「期間は分かりませんが調査した限りでは艦船の派遣に紛れての攻略です。それで大西洋で海のダンジョンに手を付け始めたのは日本の艦船が大西洋に派遣されて以降だと思われます」
「それは日本のカリブ海への進出がグールの氾濫以降と言う意味か」
「そうです。日本の艦船の動きからすると太平洋もアラスカから日本、シナ、東南アジア、オセアニアそして南極、アルゼンチンまでが主な攻略の海域でしょう。アラスカを除く北アメリカ大陸の沿岸で日本の艦船の動きが活発になったのはグールの氾濫以降です。カリブ海も同じです」
温帯から熱帯にかけての沿岸地域では例の船を齧る魚が活発で、対策を施した艦船でも以前よりも頻繁にメンテナンスが必要であった。その為、日本は世界の各地に拠点を築きながら航路を伸ばしていた。
寒帯では以前の様に海路による貿易が続いていたのだが日本は寒帯のアラスカから先へは航路を伸ばしていなかった。アメリカ合衆国とは揉めていて沿岸に拠点が築ける状況にはなかったからな。日米間の交易は途絶えて久しかったのでそれで支障はなかった。それがアメリカ合衆国でグールの氾濫が起きてその対処の為に自衛隊を大西洋にまで派遣する事になった。そして艦隊を維持する為にカナダと南アメリカ大陸に幾つもの新たな拠点を築く破目になってしまった。
日本から南アメリカ大陸へ行くには赤道を突っ切り一旦寒冷な海域まで出てから南極大陸に沿って行くのが現在の航路だ。以前に比べると不便だがアメリカ合衆国には拠点が築けないので仕方なかった。温帯から熱帯にかけての海域は船を齧る魚が活発で拠点もなしに航路が維持できる状況にないのだ。
インドから先は獣達の猛威で大陸の沿岸に拠点を築くのが難しかった事とグールの脅威を深刻に捉えていてその対処を優先し後回しとなっていた。その為、航路はスリランカ止まりでありそこから先へは伸ばしていなかった。必然的にそこから先の海のダンジョンへの入植についてはカリブ海の現地人の様に海豚任せでダンジョンからダンジョンへと移動するしかなくなり入植は遅々としたものとなっていた。
「すると大西洋からアフリカ、インド洋にかけてと太平洋の北アメリカ大陸沿岸についてはまだ我々の入る余地が充分にあるな」
「大西洋は日本が攻略を始めてまだ日が浅い筈ですし南アメリカ大陸沿岸は東アジア海域よりも攻略が進んではいないと推察されます。日本が艦隊の派遣と併行して攻略を進めているならアメリカ合衆国の太平洋側の沿岸も大西洋より少し進んでいるぐらいでしょう。いずれにせよ日本は大西洋よりは自国のある太平洋を優先する筈です」
「まあ、当然だな。すると今の日本の狙いは北アメリカ大陸の太平洋側沿岸だな。カリブ海での攻略は後々の為の布石と言った所だな」
「ええ、そんな所でしょう」
「他国に動きは?」
「まだ気付いた様子はありません。日本と我が国だけです。試しに地中海にあるダンジョンを幾つか探りましたが中に人はいませんでした」
「日本との極秘会談を設定しろ。この事が他国に露見しない間に大西洋、地中海、黒海及びアフリカ大陸沿岸における我が国の優勢を確立するぞ」
「了解しました」
「それにしてもまさか水中にあるダンジョンに大気があるとはな」
「大西洋に来た日本の奴等が海豚の動きをやけに気にするので探ってみたらこうですからね」
日本はグールの氾濫への対策として派遣した自衛官に派遣先の海で鯨類の動向を探らせていた。その辺りの情報が何処かで漏れたらしい。そして日本人はカリブ海で入植に勤しむ所をロシア人に見つかってしまった。
ウラジオストクで日ロ首脳による極秘会談が行われた。大枠として取り敢えず決まったのは互いの領域内にある海や河のダンジョンへの入植の原則禁止と水中のダンジョンへの入植が可能な事を当面は他国に秘密にして置く事だ。次に海のダンジョンにおいて先住入植者側に優先権を認める事も決まった。ロシアからは日本が手を広げ過ぎて機密管理が杜撰になっているとの指摘があった。実際にロシアにバレたのだからそうなのだろうな。そしてそれを踏まえて日本の大西洋側での海のダンジョンの攻略の自粛とインド洋から先への進出を控える事を求められた。日本は大西洋側はこれ以上の北上はしない事を確約したがインドから先の攻略については保留となった。遅々としてではあるがアラビア半島に向かって攻略が進んでいたからだ。
日本は長江の攻略に思っていたよりも人を取られる事になってインドから先には少しづつしか攻略を進められずにいた。それに日本艦のアフリカへの派遣は他国の注意を惹いて事が露見し易くなると日本人は考えていて、事の露見を恐れていた日本人はアフリカ大陸沿岸での攻略は手控えていた。
海のダンジョンへ入植するに当たって日本からロシアへ教える様な技術は特になかった。鯨類は大西洋でも人を見ればダンジョンへと誘っていたからそれを知ってしまえばダンジョンを探すのは難しくないし、入植も今まで積み上げたダンジョン開拓のノウハウがあれば進めれる。ロシア人が鯨類に避けられる様な事を仕出かさない限り問題はないだろう。
「日本人の説明によると海のダンジョンは鯨類との共有で成り立っています。その中に人が優勢で主として君臨しているダンジョンは殆どありません。だから日本人が先に入植していても我々がそこに入植する事は可能です。そこは日本人だけのダンジョンではありませんので」
「……だが日本人が優勢なダンジョンに今更入植しても旨みは少ない。入植が限られるだろうからな」
「確かに、でもそれは日本人の入植時期に左右されます。それを踏まえて大西洋側にあるダンジョンについてはまだ充分に旨みがあります。太平洋側についても近々に日本人の入植が始まったダンジョンについては同じです」
「日本とはダンジョンの先住入植者への優先権を認める事を合意した。鯨類のダンジョンで先住入植者のいるダンジョンについては中で島の一つでも確保できれば良い」
「了解しました」
「……まだ挽回の余地はあるな」
「はい。太平洋のアジア側海域における日本の優位は動かせないにせよ他の海域においてはまだ挽回の余地が充分にあります」
「そうだ。国境沿いの河にあるダンジョンの攻略も進めておけ。それらの河には海豚はいない。人が主に成れるはずだ。シナとの国境沿いは特に念入りにな。グール供には気付かれるなよ」
「了解しました。日本から提示のあった黄河の件は如何いたしますか?」
「我が国もグール供に充分対抗可能な人口を擁する様になった。だからと言ってグール供に力を付けさせ得る芽を放置する気は無い」
「分かりました。黄河の攻略を進めます」
日本が黄河の権益をロシアに譲ったのは長江でのダンジョン攻略に集中したかったからだ。スナメリによるダンジョン探索は想定よりも遅れておりダンジョンへの入植が進まなかった。スナメリがグールを恐れる様になり、ダンジョンから出ようとするスナメリが大幅に減ってしまったのだ。長江沿いに住むグールの奴等はダンジョンに誘うスナメリが食い物にしか見えなかったらしく捕まえては喰っていた。それでスナメリはグールを見かけると逃げ出す様になった。
ダンジョンの発生以来、スナメリも他の鯨類と同じく知能が著しく上がり賢くなっており幸いな事に賢くなったスナメリは日本人とグールを見分けられるらしく日本人を見ても逃げ出す事はなかった。だが積極的にダンジョンを探しては人を誘っていた個体が減ってしまった。痛ましい事に人懐こいスナメリはその多くがグールを誘って喰われちゃったのだろうな。
長江でグールに狩られる様になったスナメリは黄河でもグールに怯えながらダンジョンを探すようになりダンジョン攻略は遅々としたものとなった。黄河では長江の様には喰われる様子がないにもかかわらずだ。そうして黄河でのダンジョン攻略も躓いていた。
これはグールの奴等に川底にあるダンジョンが見つかる可能性が減るから日本人にとっては都合の良い事なのかもしれない。でもスナメリにダンジョンに籠られるのは困るんだよな。因みにスナメリを追いかけてグールがダンジョンに入り込むかもと警戒していたのだが今の所その様子はない。どうもグールの奴等は泳ぐのが苦手な様だ。
「それにしてもカリブ海からメキシコ湾にかけての海域が既に現地人の勢力下に有るとはな。日本の奴等もあの辺りの海域ではダンジョンの浅層にしか入植していないのだろう?」
「ええ、その様です。深層は現地人が入植済みのダンジョンが大半の様ですね。ですが浅層が空いているダンジョンは多い様です。我々もカリブ海にあるダンジョンに入植しましょう」
「だが日本との協約で我等に優先権はないぞ」
「カリブ海にあるダンジョンの多くで優先権を持つのは現地人であって日本人ではありません。我々が日本人と同じ様に入植を進めても問題は無い筈です。それに未攻略のダンジョンがまだあります」
「……確かに現地人の了承を得れば問題は無さそうだな。未攻略のダンジョンがあるのは確かなのか?」
「現地人は船を使わずに海のダンジョンへ入植しています。その方法でカリブ海にある入植が可能な全てのダンジョンに入植しているとはとても思えません」
「ではその様に進めろ」
こうしてロシア人のカリブ海にあるダンジョンへの入植が始まった。そして日本人がそれを妨害する様な事はなかった。変にロシア人と揉めると他の勢力にこの海のダンジョンの現状が漏れる可能性が高くなるからな。ヨーロッパ人にならまだしもグールにでも知られたら堪ったものではない。日本人もロシア人もそれは望む所ではない。何れは事が露見するにしろ出来得る限り先に延ばしたいのだ。
「思い返すと南米大陸の攻略に日本を引きずり込んだのは悪手だったかもしれんな」
日本を南米大陸の攻略に引きずり込まなければ日本人による海のダンジョンに対する攻略の手は大西洋にはまだ伸びていない可能性が高かった。南米大陸に拠点がない状態では日本が大西洋で艦隊を維持するのは非常に難しい。もし日本の艦隊がチリとアルゼンチンに派遣されていなければ、日本はグールの氾濫の際に太平洋側には艦隊を派遣したにしても大西洋側には派遣しなかっただろうな。パナマ運河が使えれば話は別だがあの辺りはジャガーの勢力圏でパナマ運河は使える状況には無かった。
「ですがそうしなければ南極大陸における日本の勢力圏は今より広かった筈です。それを食い止める手立ては他にありませんでした」
「確かに他に手はなかったな」
あの時点では日本を南米大陸に関わらせる事で日本の南極大陸攻略の足を引っ張る必要があった。南極大陸の権益を南米大陸の権益より優先するのは仕方のない事だったのだ。
「それにその時点では我々は水中にあるダンジョンに人が住めるとは知らなかったし日本人がそれを知ったのもその頃と思われます」
「日本は運がいいな」
「我が国も運がいいですよ?今回も日本からの情報で勢力圏を拡げる事ができそうです。地中海は絶対に手に入れる必要があります」
「アフリカ大陸からアラビア半島までの沿岸部もヨーロッパの連中が陸の猛獣に気を取られている内に手に入れたいものだな」
ロシアによる海のダンジョンへの入植が始まり、日本はロシアとの協約によりカリブ海とメキシコ湾から先への攻略は控える事にした。
スナメリ班には日本とロシアの密約に伴う様々な計画の変更が通知された。
「日本は黄河攻略から手を引く事になった」
「何故だ?グールの勢力圏と成り得るダンジョンを削るんだろう?黄河も攻略を進めないと」
「黄河の権益はロシアに譲る事になった。日本は長江に集中する」
「……ロシアにか。そう言えばロシアには海のダンジョンの件がバレたんだったな」
「ああ、それで黄河はロシアへだ。ロシアのシナに対する警戒心は日本以上だからな。頑張ってくれるさ」
「口惜しいがグールの手に亘るよりはマシか。それに黄河攻略は遅々として進んでなかったしな」
「これで長江に集中できる。インド方面にも少しは人が回せるんじゃないか」
「インド方面は長江の後だな。グール封じ込めが優先する」
こうして攻略が滞っていた黄河からスナメリ班は手を引く事となり、ロシアによる黄河攻略が始まった。
海のダンジョンへの人の入植がロシア人に露見した。ロシア人は勢力圏の拡大の為に海のダンジョンへの入植を開始した。今の所それを知っている国は日本とロシアだけだ。カリブ海のダンジョンの住人は外での権益には興味がない様だ。




