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悲しみの果てに ~探偵物語〜  作者: 白井花乃
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『しかも相手女性からは性的な欲求も満たされております。奥様も人間ですから、生理現象として性行為を求めるのは当たり前です。その性的な部分でも旦那様からしたら食欲と一緒で完全に義務化してしまうのです。性行為を行わないと疑われる。だから嫌々に行為を行うのです。以上が浮気の一般的な相関図の様な物です。これが今現在行われているであろう見えない闘いなのです』


探偵はゆきの表情を確認する。女性は先程までとは違い、何処かすがすがしい様な表情を浮かべていた。今までは自分の置かれている状況を把握できずにいて、旦那の浮気を全て自分のせいにしていたのだろう。自分が魅力的でないから浮気されるのだ、自分の家庭の努力が足りていないから外で女なんて作るんだ。など、依頼者の多くは自分を責めてしまうものだ。

しかし、探偵の一連の説明を受け、決して自分だけが悪いんじゃないんだとゆきは感じたのだろう。


詐欺事件などの被害者に対して、騙される方が悪いという風潮。イジメられる人間に何かしらイジメられる要素が存在しているなど、いじめの理由を必然化しようとしたりするいじめ問題。世の中には腑に落ちない解釈が数多くある。浮気される人間にも問題があるなど・・・

浮気は確実に人の人生を変えてしまう。旦那が浮気したのなら妻へ。妻が浮気したのなら旦那の人生に多大な影響が及ぶ。さらに子供が居たのなら子供の人生は180度変わってしまうくらいの事だ。母の愛、父の愛が合わさって大きな一つの愛になる。どちらかからの愛が無くなれば、子供が愛で満たされる事はないのだ。これを踏まえ、人の家庭を崩壊させる行為が罪にならないという方がよっぽど問題だと思う。


『探偵さん。調査して頂けますか。私は真実を知りたいのです。』


迷いは無かった。疑いつつも心の片隅で旦那を信用してしまっている自分に真実を突き付けたい。ゆきの目には決意の涙が浮かんでいた。


依頼者の決意を聞いた探偵は残ったコーヒーを一気に飲み干し喫茶店を後にした。

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