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悲しみの果てに ~探偵物語〜  作者: 白井花乃
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ゆきを見る限り化粧は薄目で決して派手なファッションではなく、秋物の洋服で色はシックな茶色系で統一されている。家事を一生懸命こなしているのだろう、手先でその様子が分かる。髪の毛は、その女性の物語が隠されていると言われるが正にその通りだ。こちらの女性は、気苦労が絶えなかったせいか、美容室などの手入れでは追いついておらず、毛先のダメージ具合が探偵に間違った予想を立てさせてしまったのだ。探偵が想定しているより遥かに、ゆきは深く思い悩み苦しんでいる様だ。


探偵は動揺しながらも決してゆきに悟られぬように、ゆっくりと言葉を続けた。


『浮気を疑い始めて旦那さんの体重は変化してますか』


『はい・・・少し太っています。もともと運動嫌いな面もあるので』


ゆきは相変わらず探偵の顔を見る事無く、静かにそう答えた。


『大抵の場合、浮気をすると男は太り、逆に女性は痩せます。一概には言えませんが・・・』


探偵は続けた。


『女性が浮気をすると痩せると言うのは何となく分かりますよね。女性は浮気の前の段階、つまり夫以外の異性に興味を抱いた瞬間から自分を少しでも若く、そして綺麗に見せようと努力するのです。こうなると女性の美に対しての追及にゴールはありません。浮気を疑われるのは時間の問題になります』


ゆきはうなづく事も無く、探偵の話に耳を傾けている。


『逆に男性が浮気をすると太ってしまうと言うのは、その時点で女性同士の見えない闘いが始まっているのです。太っていっているのは浮気女性との関係が深まっていると言う事を表しています』


ゆきが初めて男の顔を見た。見えない闘いという表現が浮気相手と自分との闘いが始まっていると正しく判断したのだろう。淡々と話す探偵の顔を下から睨み付けている。


『すでに浮気相手の家に上がり込み、女性の手料理を食べていると思われます。勿論、浮気原因はルックスや性的興味、つまり最初は女性の肉体を求めて男性は浮気に走ります。人間の三大欲求は決して理性だけで収まるものではありませんから』


ゆきの睨み付けている様な視線から逃げる事無く探偵は話を続けた。

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