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悲しみの果てに ~探偵物語〜  作者: 白井花乃
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喫茶店に着くとそこは探偵には馴染みの風景だった。

出迎えてくれるのは、白髪交じりの初老の男。不愛想で客商売だけには向いていない様なタイプのマスターだ。

トイレの側の2人掛け席に座り、いつものアメリカンコーヒーを注文する。一杯650円のアメリカンコーヒーはスーパーの値引きシールが付いたインスタントコーヒーだ。

客席から見えるのは、地域の相場とはかけ離れている値段のメニューが並んでいる。味は保証出来ない。

ここの喫茶店に通い始めた当初、探偵はカツカレーを頼んだ事があったのだが、それはそれはとてつもなく不味かった。素人でもそこそこの味を出せそうなカツカレーを、どういう風に調理すれば、こんなに不味く作れるのかと逆に関心したものだ。ちなみにカツカレーは1400円。

そういう事もあってか店内にお客は居ない。居た事は一度も見た事が無い。

この店は探偵が依頼者との面談する際によく利用している。


マスターの特製コーヒーを待っている間に、探偵は書類の準備をする。

依頼者に記入してもらう用紙とボールペン、名刺をテーブルの上に出した。

マスターがコーヒーカップを手に持ってこちらに向かってくる、

『ガシャッ』

とテーブルの上に無造作にカップを置き、足早にカウンターの中へと去って行った。

探偵はインスタントコーヒーをすすりながら、店の天井に張り巡らされている蜘蛛の巣を眺めていた。

すると、店の入口の扉が開き、30代と思われる女性が店内に入って来た。

キョロキョロと店内を見渡す女性。探偵はゆっくり椅子から立ち上がり、女性に向かって軽く会釈する。女性はこちらを確認すると、うつむいた表情で席の方へと向かってくる。

探偵はマスターを呼びつけ、アメリカンコーヒーをもう一杯注文した。




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