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悲しみの果てに ~探偵物語〜  作者: 白井花乃
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事務所を出た探偵と宙太の二人は、調査対象者の次郎が勤務する会社が有るオフィス街へと車を走らせた。

時刻は朝の八時。車の窓からは、サラリーマンやOL達が出勤する様子が伺える。探偵には皆、疲れている様にしか見えなかった。

携帯電話で誰かに説教しながら、せかせか歩いている人間。

まるで地面に落ちているお金を探して歩いているかの様に下を向いて歩いている人間。

仕事上でミスでもしたのだろうか必死に電話越しに謝罪をしながら、その場で深々とお辞儀をしている人間。

探偵は調査車両を運転している宙太に向かって呟いた。


『なあ宙太。この人達は幸せなのか』


『中根さん。またその話っすか。そんなの知らないっすよ』



こういう風景を見ていると探偵はいつも考え事をしてしまい、その度に周りの人間に同じ質問を投げかけるのだ。



『幸せというのは主観的な感情なのか、それとも客観的な感情なのか』


『だから難し過ぎますって、生きてるだけで人間丸儲けっすよ』



こうなると探偵の話はいつものパターンに入る。



『宙太。嬉しい、悲しいなどは主観的な感情だ。しかし、幸せという感情は客観的な感情だ。ごく一部を除いてな』


『はいはい。そろそろ次郎の勤務先に到着しますから中根さん。また今度聞きますね』


『おお、もうそんなに進んでたのか』


こうなると探偵は熱く長く語りだす事を宙太はよく知っている。話の途中から車を猛スピードで走らせ、探偵の講釈をうまく交わした。



『到着っすね。ここが次郎の勤務先のビルで合ってますか』


『ああ、ここで間違いない。車を路肩に停めて次郎が来るのを待とうか』



時刻は午前8時30分。

次郎の勤務先のビルが見える幹線道路の路肩に車を停めて2人は張り込みを開始した。

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