《レインズ魔法店》
投稿がかなり遅れてしまいましたが今回はサブイベント的な話です。
午後になり、私達はグランディアの街を散策することにした。
街は朝と同じで相変わらず賑わってはいなかった。
通りには様々な店があるもののほとんどの店が営業していなかった。
そんな中私は、ほとんどの店が営業していない中1つだけ営業している店を見つけた。
気になったので早速見に行ってみると店の看板にはこう書かれていた。
【レインズ魔法店】
魔法店?呪文書でも売っているのだろうか?魔法という私の興味をそそる単語を見つけた時点で私の次の行動は決まっていた。
「この店入ってみようっと」
「おいっ!」「ちょっと、待ちなさい」私はクロウとエアリアの言葉を無視し店へと入った。
店の中は思っていたよりも広く綺麗だった。
その広い店内には呪文書はもちろん魔術的性質を持つ道具である魔装備らしきものまで数多く並んでいた。
私が商品に見とれていると店の奥から店主らしき人がやってきた。
「お客さんかな? 珍しいねぇ客が来るなんて」
「えっ? 普段はお客さん来ないんですか?」
「そうだねぇ、それよりお客さんはゲーム参加者かなんかかい?」
「はい、でもなんで分かるんですか? やっぱりクロウがいるからですか?」
といい私の足元にいるカラスの【クロウ】を指差した。
しかし店主から返ってきた答えはそれとは違うものだった。
「いやいや違うよ! お客さんの体から溢れ出てる魔素の量が人間離れしてるからだよ」
クロウやエアリアが分かったのは私の魔法を直接見たからだけど、この人は魔素が目に見えてるかのような感じで言ってくる。
「あの、あなたは魔素が目に見えてるんですか? そうじゃないとしたらどうして魔素の量なんて分かるんですか?」
「私はエルフと人間のハーフだからね。エルフほどではないけど魔素を感じ取ることができるんだよ」
言われてみれば耳が少しだけ尖っている気がする。でもこの世界には基本的に人間と下級魔族しかいないはずなのにどうしてエルフとのハーフの人がいるんだろうか。
私はそのことについて聞きたくなったが聞いてはいけない気がしたので聞かないことにした。
「そう言えば私、魔装備って使ったことないんですけど、具体的にはどういう物があるんですか?」
「おや? 君は既に1つ持っているじゃないか!」
「えっ!? もう持ってるってどう言うことですか?」
私が店主に聞くと、店主は私の腰に下げてあるダガーを指差した。
「そのダガーだよ! それは普通のダガーでは考えられないほどの強度と魔素に対する感受性を持っているはずだよ」
強度?確かにいままで全く手入れしたことないのに錆びないし、刃こぼれもしてないけど。それに魔素に対する感受性ってどういうこと?
「確かにいままで刃こぼれとかしたことないですけど、それに魔素に対する感受性ってどういうことなんですか?」
「普通武器に魔素を纏わせたりするのは極めて困難なことなんだけど、ある特殊な方法で作られた武器は、ある一定量以上の魔素を流し込む事で比較的簡単に武器に魔素を纏わせることが可能になるんだよ」
ということは、私が実際に使った風魔法を纏わせるのが出来たのはこのダガーのおかげだったのか。
「じゃあこのダガーってすごい武器なんですね」
私のダガー(クロウからの貰い物)が魔装備だったのには驚いたけど、ショーケースの中にあるものも気になる。
「あの、このショーケースの中のアクセサリーのようなのも魔装備っていうものなんですか?」
私はそう言いながらショーケースに入っている宝石を埋め込まれているネックレスなどを指差した。
「あぁそうだよ。そのアクセサリーに埋めてある石は魔石と言って魔素を溜め込む性質があるんだ。だから自分の魔素をあらかじめ蓄えさせておけば、いざという時にすぐ取り出して使う事が出来るんだ」
「見た目も綺麗だから1つ欲しいんですけど、今持ってる金額でたりますか?」
そう言い私は財布の中身を見せた。
「うん、大丈夫だよ。」
そして店主はショーケースの中から1つネックレスを取り出し私の手の上にのせた。そのネックレスに埋め込まれていた石は、常に青白く発光していて幻想的な輝きを放っていた。
「それはアウインというもので魔石の中でも特に多く魔素を溜め込める種類なんだ。君は魔素の量が多いからこれくらいは必要だろうしサービスしてあげるよ」
私は店主からネックレスを受け取ると、すぐ魔石に魔素を送り込み首に付けた。
「こんな良いものをありがとうございました。またこんど来ますね」
「あっ、もう1ついいかな?」
私が店から出ようとした時、少し慌てた様子でそう言われた。声に気付き私が振り向くと、店主は両手で何かを抱えて奥の部屋から出てきた。
「もしよかったらこいつを使ってやってくれないか?」
店主は布で巻かれた何かを私に手渡してきた。
「あの、これは?」
「見れば分かるさ」
布に巻かれた中身は鞘に入った剣だった。
「この剣はなんですか?」
「その剣は君のダガーと同じ魔装備で昔、私が使っていたものだよ。ダガー2本だけじゃ不安だろうし、このまま埃をかぶせているのもこいつがかわいそうだったから」
たしかにこれまでの戦闘でもそのリーチの短さのせいで加速してないとまともに攻撃ができなかった。
「たしかに不安はありました。なので、せっかくですし、ありがたくもらいたいとおもいます」
「あぁよろしくたのむよ。私のなしえなかった……」
「え?最後の方聞き取れなかったんですけどなにか言いました?」
「いやなんでもないよ。それじゃ頑張って」
私はダガーを腰の後ろに交差させるようにしまい、左腰にもらった片手剣を下げ、店を出た。