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エデンズゲート  作者: 川畑紀雅
【第一章:人間界ミズガルド】
7/8

《一時的同盟》

今回ついに出ます!


まぁちゃんと出るのはもう少し先になりますけど!

次の日、街に出て酒場を探していると、ほとんど人の歩いていない街中を歩いている1人の少年を見つけた。


「なんかあの人だけ他の人と雰囲気違くない? なんか肩にフェレット乗ってるし」


もしかして……いや違うかな…………


でも今まで一度も……けどあの人はどう考えても……………


「そんなに気になるなら話しかけてみれば良いじゃない」


「う…うん、そうする!」


私は勇気を出して前を歩いていたその少年に話しかけた。


「あっあの、すみませんちょっと良いですか?」


少年は返事をしながら振り向き、私を見た。


少年は驚いていた。


私の肩の上にいた2人を見て。


「ん、なんだ? 俺になんか用か? 急いでるから手短に頼む」


「じゃあ単刀直入に聞くけどあなた参加者でしょ?」


私が参加者という言葉を口にした瞬間、少年の顔が引きつった。


「そうだけど、それはあんたも同じだろ? しかもあんたは俺より強い」


「なんで私が強いと思ったの?」


「まず肩の上にいる精霊。次にあんたから溢れ出てるその魔素の量。それだけで俺とあんたとの間には天と地の差があると言える」


「あなた魔素が見えるの?」


「あぁそれが俺の能力のうちの1つだからな。あと俺の頼み1つ聞いてもらっていいか?」


「いいけど、何?」


「あんたの戦いを見させて欲しい。」


「変な頼みだね。まぁ依頼受けに行こうとしてたからちょうど良いけどさ」


私は少年の案内で酒場へとやってきた。


「依頼はあんたが好きに決めてくれ。」


「じゃあそろそろランク上げたいし、このトロール討伐でいいや」


「でいいやって、あんた随分と余裕なんだな」


「えっそんなことないよ。こう見えても一度死にかけてるし。ほらさっさと行こう?」


私は話しながら依頼書を掲示板からはがし折り畳みポケットに入れた。


「じゃあ準備が出来たら門の前に来てくれ。そこで待ってる」


酒場の前で少年と別れた私は、一旦ダガーを取りに家に帰った。


「はぁ勢いでトロール討伐とか受けたけど大丈夫かな?」


「あなたなら大丈夫! 私達が教えた魔法があるでしょ? 何も恐れる必要はないわ」


「そうだ、結奈の能力と魔法を使いこなせば決して苦戦するような相手じゃないはずだ」


「ありがとう。でもクロウはいつも高みの見物だよね」


「俺はお前の邪魔にならないようにだな…………」


「さぁ行こうエアリア。あの人を待たせたら悪いし」


「そうね。ほら行くわよカラスさん」


「分かってる」


準備を終えた私は、3人で話しながら門へと向かった。






「お待たせ。さぁ行こう」


「あぁどれほどの腕か見せてもらおう」


依頼書によるとトロールは森の中でも川沿いによく出没すると書いてあった。


「川沿いねぇ、ならあれができるね」


「そうね、修行のせいか見せてみなさい」


「あんた一体、何をしようとしてるんだ」


「それはきっと戦いの中で分かるよ」


「なら俺も少し手伝ってやろう」


「えっいいよ、私1人で倒すから」


「違う。俺が手伝うのはトロールの捜索だ」


「へぇそんな事も出来るんだ。凄いね」


「ちょっと待ってろ」


そう言うと少年は目を閉じ集中した。






しばらくして、

「分かったぞ。このままこの川を上流へと行けば見つかるはずだ」


「うわっなんとアバウトな!まぁありがとね」


私は言われた通り上流へとひたすら歩き続けた。



すると、10分ほど歩いた先で遠くに巨大な体が見えた。


どの位巨大かと言われたら三階建ての家位の大きさだ。


「うわっデカっ!ここからでも見えるとか」


私は木に身を隠しながら少しずつトロールに近づき、50メートル位まで距離を詰めたところで少年に忠告をした。


「ここから先は私に付いてこない方がいいよ。っていうか付いて来れないと思うよ」


「それはどう言うことだ?」


「まぁ見てれば分かるよ。アクセラレーション」


「ドナー•ウィルド•ジェストリッセン」


雷を川に向かって流し、その雷を帯びた水を、

「ワッシャー•オル•ベルフレイセン」

水を操る魔法でトロールに向けて津波のように流した。



トロールはその津波をくらい倒れ、さらに水に帯びていた雷で麻痺した。


トロールがうまく身動きをとれない間、私はトロールに接近しながらもう一つ魔法を発動させた。


「ウインド•オル•レイブン」


この魔法は普通に使うと風で相手

を切り裂く魔法だけど、私はこの魔法をダガーに纏わせた。


風の刃を帯びたダガーをトロールに向け交互に振り、X字の斬撃を飛ばした。


斬撃はトロールの胸に当たった瞬間肉体を切り裂き始め肋骨が見える位まで肉片を飛ばしながら切り裂いた。


その時点でトロールは瀕死の状態だったが、私は確実に仕留めるため最後に

「ワッシャー•カン•フレイラッセン」

手のひらの先に拳大の水球を作り出し、トロールの心臓目掛けて撃ち出した。


トロールの心臓は潰れ、水球はそのまま肉体を貫通した。


トロールは確実に絶命しただろう。

何せ胸に大きな風穴を開けたんだから。


「ふぅ、疲れた。でも考えてた通りの戦いが出来たからよかったかな」


「戦い? あれは結奈が一方的に攻め倒しただけな気もするけどな」


「そうね、相変わらず恐ろしい魔法のセンスよね。魔法を何かに纏わせる事が出来るのを教えただけでこれなんだから」


「でもはっきり言って今回ダガーいらなかったよね」


と言いながら私はそのダガーを使ってトロールの首を切り落としていた。


「そんなこと言いながら使ってるじゃないか。」


「あらそこのあなた、何口開けてぼうっとしてるの?」


「な…な……だ………。」


「えっ何か言った?」


「何なんだ今の魔法は?」


「えっ今の魔法? えっとね~、川に雷を流したときに使ったのがスプレッドサンダーってやつで、津波はアクアストリーム、斬撃はエアロドライブで、最後のやつがアクアピストルだよ!」


「その魔法の豊富さもそうだがあんたの魔法の規模と発動の速さが人間離れしてる」


「あぁそれよく言われる。規模は元々だけど、速さは私の能力で加速させたんだよ!」


「良い能力だな!」


「そう言えばあなたの能力ってなんなの? 魔素が見えるとか言ってたけど」


「俺の能力は、元素を操る能力だ! 酸素や水素、あらゆる元素を操れる」


「何それ! ズルっ!」


「あんたも十分過ぎるほどズルい能力だと思うけどな!」


「そう言えば他の参加者に会った? 私はあなた以外誰にも会わなかったんだけど」


「俺がこの世界に来たあと最初の街で何人か見たな! まぁ今ごろ平和に暮らしてるだろうさ」


「えっ、それどういう意味?」


「俺のいた街では俺以外の参加者は、ほとんどリタイアしたんだよ。リタイアしてない奴もいたが、グランディアに来てないって事は死んだんだろう」


「参加者ってどの位いたの?」


「俺を含めて20人くらいだったな。今ゲームに参加してるのは俺ぐらいだろうけどな」


「そんなにいたの!?私の街なんて私以外誰もいなかったよ」


「そんなはずないだろ! まさか誰も参加しなかったのか」


「まぁそれ以外考えられないね。実際、参加は自由だったんだから来なくても何もおかしくないよ」


「それもそうか。 ならあんたはゲームの参加者に共通点があるのを知ってるか?」


「えっそんなのあるの? 私はてっきり適当に選んでるのかと思ったよ」


「俺も今日あんたを見て確信したんだが、参加者は何らかの異能の力を持ってる。そう思うんだ」


「あぁ確かに私もあなたも能力持ってるもんね。でもそんなに能力者っているもんなの?」


「だから参加者は多くはない。そしてここから先は俺の推測だが参加者は平行世界から連れて来られてる気がするんだ」


「なんでそう思ったの?」


「最初の街で何人かに話を聞いたんだが、皆元いた世界の時代や季節その全てが異なっていたんだ」


「じゃああなたと私も違う世界から来たって事?」


「多分そうだろうな。俺は1965年の夏の日本から来た」


「私は2012年の冬の日本から来た」


「そうか、だいぶ違う時代から来たんだな」


「そうだね。そう言えば自己紹介がまだだったね。私は霧島結奈。」


「俺はクロウだ。結奈の相棒みたいなあれだ」


「私はエアリア。風の精霊よ! 結奈とはアルフヘイムまで契約してるわ」


「もう精霊と契約してるとは凄いな! 俺は雨宮結城」


「私はこの子の相棒のリーナ。よろしくね」


「ねぇよかったら私達と一緒に行動しない? 依頼とかは別々でいいけど王と戦う時は一緒にさ、どう?」


「確かに1人で戦うより2人の方が安全だな。だがもし敵対することになったとしたら容赦はしない」


「それは私も同じだよ! 今回はミズガルドの王を倒すまでの一時的同盟ってことだから」


「分かった。じゃあ準備が整ったら連絡してくれ。連絡は酒場の掲示板を使ってくれ。じゃあ俺は先に街に戻る。じゃあな!」


「うん、じゃあね!」


そして謎の少年雨宮結城は森の中へと消えていった。


「さてじゃあ私達も帰ろっか。そう言えば今回の依頼でランク上がったよね?」


「あぁ上がったぞ。ランク3にな! 王に挑むにはランク5にならなければいけないから頑張れよ!」


「うん。でもどうやってランク上がったの分かるの?」


「よく分からんが何か分かるんだよ! 気軽により詳しい情報を知りたいなら家でその方法を教えてやる」


「分かった! じゃあさっさと帰ろう」


「そんなに急ぐ必要ある? まだ昼前よ? ゆっくり帰ればいいじゃない」


「こんな状態でゆっくり帰りたくないよ。服だってトロールの血で臭いし汚いし、早くシャワー浴びて着替えたいもん」


「確かに少し臭うわね」


「ちょっとそれ言わないでよ。傷つくから」


「自分で言ってるうちは傷ついてないから大丈夫だろ」


「うるさいなぁ。ほら帰るよ!」


私はクロウとエアリアに説教をしながら街へと帰った。


街に着いてすぐ酒場にトロールの首を持って行き、その後家に帰った。


家に入るとすぐシャワーを浴び部屋着である白いチュニックに着替えた。


「さてすっきりしたところでさっきの話の続き。より詳しい情報を知る方法教えて」


「分かった。まず少し前にやったランク表の時と同じく紙に手をのせてみろ」


私は言われた通り紙の上に手をのせた。

そして案の定紙は光り出した。


「っで光ったけどどうするの?」


「光ったら次はその紙に自分の名前を書くんだ」


光っている紙に横に置いてあったペンで霧島結奈と名前を書いた。


すると紙は見る見るうちに形を変え、一枚のカードに変化した。


「うわっ紙がカードに変わった!」


「そうだ。それに結奈の能力名やその能力のランクそして結奈自身のランクが書いてある」


「えーっと何々、」







名前:霧島結奈

性別:女

年齢:18歳

能力名:ルール•ザ•ワールド (S++)

※現在(A+++)

ランク:3

魔素:S+++

魔法適正:火(F)、水(S)、風(SS)、雷(B)、土(F)

修得済み魔法:

(水)アクアピストル、アクアストリーム

(雷)サンダーボルト、スプレッドサンダー

(風)ウインドドレス、スパイラル、エアロドライブ







「うわっ私、結構優秀じゃん! でもなんで能力はS++からA+++に落ちてるの?」


「それはきっと結奈がまだ能力を完全に使いこなせてはいないからだろう」


「でも優秀なのに変わりはないんじゃない? 風魔法の適正なんて最高評価じゃない! 風の精霊としては嬉しい限りだわ」


「でもまさか私の能力が世界を支配する能力だとは思わなかったよ! どうりで瞬間移動とか出来るわけだよ」


「まさか知らないで使ってたのか? だとしたら相当凄いな!」


「何が凄いの? 私は今まで時を操る能力って思って使ってただけなんだから別に凄くはないでしょ?」


「まぁそれはともかく、今後はこまめにこのカードで自分の情報を確認するといい」


「うん、分かった! あのさぁカードの話も終わったし、ちょっと休んだら街の散策でもしてみない?」


「そうね、いい気分転換になると思うわよ」


「あぁたまにはそういうのも良いかもな」


「じゃあ決まりね!」


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