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8 深夜のふたり旅
それから数日後。
カグチはオトナシと共に、夜の街を歩いていた。
オトナシは、深夜に出歩くのが好きなようで、
静まり返った街を歩くその横顔は、昼間よりもずっと生き生きしていた。
カグチにとっても、人の目のない深夜はとても歩きやすくて、
二人で一緒に、深夜にしか見られない風景を見に行く。
それは、特段どうということのない景色だった。
けれど、深夜にはどこもかしこもが静まり返って、まるで自分たちだけの世界のように思えた。
誰もいないスーパー、オレンジの街灯が照らす公園、まだ開いていない駅……。
「見ろよ、オトナシ」
「……? ……!」
黄色だけ瞬いている信号や、季節はずれのイルミネーション、シャッターに描かれた落書き。
どうってことのないものを見つけては、時折二人で笑いあう。
朝焼けが辺りを包むまでの間、誰もいない街で遊ぶ二人。
白んでいく空の下で、言えない痛みも、少しだけ薄れていく気がして。
気づけばカグチは、あの暗くて冷たい悪夢を見ることが少なくなっていた。




