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3 カグチ
カグチという青年がいる。
数年前、彼は一躍有名になった――最悪の意味で。
街を騒がせた、何十人もの人が手にかけられた猟奇的な殺人事件。
その唯一の生き残りが、彼だった。
救出されたものの、犯人に口を裂かれた傷はそのまま残り、マスクの下には深く醜い痕が今も刻まれている。
その口の傷痕と同じくらい――いや、それ以上の傷が、彼の心には残った。
トラウマに侵され、暗く冷たくなっていく青年から、人はいつの間にか離れていき……
気がつけば、彼の周りには誰もいなくなっていた。
それでも、傷と悪夢は、いつまでも彼を手放してくれなかった。




