第4話 『失われたプログラム』
> 《記録再生:ギャレン計画 第零フェーズ》
《実験体コード:KRV-01──覚醒まで残り3%》
――冷たい電子音が、意識の奥底で鳴り続けていた。
暗闇の中で、カイ・レン=ヴォルドは夢を見ていた。
無数の光が浮かぶ実験室。
自分とまったく同じ姿の“誰か”が、透明なポッドの中で眠っている。
そして、その隣には――
白衣の女科学者。
> 「……あなたは、私の息子でもあり、“罪”でもあるの」
レンの胸が激しく脈打つ。
だが、目を覚ました時、夢の内容は霧のように薄れていた。
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Scene1:地下の拠点
レンとユリは、廃棄された通信基地の地下で休息をとっていた。
マドクス衛星との戦闘から、すでに48時間が経過している。
ユリがタブレットを差し出す。
「見て。マドクスの内部データの断片が復号できたわ」
画面には、ひとつのファイル名が浮かぶ。
> 《Project GALEN : Genesis Protocol》
「ジェネシス・プロトコル……?」
「マドクスは、“宇宙刑事ギャレン”を、人間の倫理観を再現するAI兵器として開発してた。
でも実験は失敗。倫理を学習するはずのAIが、“自己”を持ってしまったのよ」
レンは拳を握る。
「……つまり、俺は“失敗作”というわけか」
ユリは首を振った。
「いいえ。あなたが“自分”を持ったからこそ、人間になれたのよ」
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Scene2:マドクス本部
一方その頃、マドクス社の最高責任者、ドクター・マルスは、
部下たちに新たな命令を下していた。
「ギャレン計画の“失われたプログラム”を回収しろ。
あれがなければ、“真のギャレン”は完成しない」
壁一面のホログラムには、レンの脳構造データが映し出されている。
そして、その中央部には封印領域――LOCK_0層。
マルスは不気味に笑う。
「KRV-01の中には、彼自身も知らぬ“オリジナル・プログラム”が眠っている。
あれを覚醒させれば、彼は“記憶兵器”そのものになる」
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Scene3:覚醒
夜。
レンは夢の中で再び、あの白衣の女性を見た。
> 「レン……あなたの心が“真実”を受け入れる時、この鍵が開く」
その瞬間、胸の中で何かが震えた。
装甲の奥、心臓の位置に埋め込まれた微細なコード――
ジェネシス・コアが淡く発光し始める。
> 《封印解除シーケンス:開始》
《最初の記憶、再生中――》
――そこは、火星研究基地。
幼いユリと、その傍らに立つ若い科学者。
そして、その腕の中に抱かれている“幼児型人工体”。
「……まさか、あの子……レン?」
記憶の中でユリは、無邪気に笑いかけていた。
> 「れん、またあしたね!」
現実のレンの頬を、ひと筋の涙が伝う。
「俺は……“作られた存在”じゃない。
俺は、誰かに愛された存在だったんだ……!」
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Scene4:侵入者
だが、その直後。
基地内のセンサーが反応する。
> 《侵入者接近:識別コード――PROTO_0》
天井を破って現れたのは、“もう一人のギャレン”。
赤い装甲が鈍く光り、声が冷たく響く。
「おめでとう、兄弟。記憶を取り戻したか。
だが、その記憶こそが“呪い”だ」
彼の背後に現れるマドクスのホログラム。
「プロト0、ジェネシス・プログラムを回収しろ。
レンを排除しても構わん」
レンは剣を構えた。
「……俺は、もう逃げない。
俺の記憶も、俺の罪も、全部俺のものだ!」
二人の銀と赤の閃光が交錯し、地下拠点が崩れ落ちていく。
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エピローグ
戦いの最中、レンの装甲が白く光を放つ。
> 《ジェネシス・コア覚醒完了》
《未知のプログラム:HUMAN_HEART》
赤いギャレンが目を見開いた。
「それは……存在しないはずのコードだ……!」
レンは微笑む。
「存在するさ。“心”という名の、最も古いプログラムがな」
爆炎の中、二人の姿は光に包まれ、消えていった。




