-第9章-
放課後、二人はいつものように音楽室で過ごしていた。
莉乃はピアノを弾き、愛はその横で静かに彼女の演奏に耳を傾けていた。
窓の外には夕焼けが広がり、中庭の花壇をオレンジ色に染めていた。
「今日はこの後、どうする?」
莉乃がふと演奏を止め愛に尋ねた。
「特に予定はないですけど……。」
愛はそう答えながらも、何か言いたいことがあるような表情をしていた。
莉乃は愛の顔を見つめながら何かを感じ取ったように微笑んだ。
「実はね、今日は私の家に誰も帰ってこないの。
だからもしよかったら、愛ちゃんも一緒にお家で過ごさない?」
愛は少し驚きながらも、莉乃の優しい誘いに心が温まった。
「いいんですか?
私なんかが行っても……。」
「もちろん。
むしろ、愛ちゃんと一緒に過ごしたいなって思ってたんだ。
今日は私たちだけの特別な時間にしようよ。」
愛は一瞬迷ったが、その時間を楽しみにしている自分に気づいた。
「……それなら、お邪魔させてもらいます。」
莉乃は嬉しそうに微笑み、愛の手を取りながら音楽室を出た。
「よし、それじゃあ私の家に行こう。
きっと愛ちゃんも気に入ってくれると思う。」
二人は校門を抜け夕暮れの街を歩き始めた。
愛は普段よりも少しだけ緊張していたが、莉乃の隣にいるとその緊張は次第に和らいでいった。
彼女の手の温もりが愛に安心感を与えていた。
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