-第7章-
それからというもの、愛と莉乃は放課後の時間をよく音楽室で過ごすようになった。
愛は読書をし、莉乃はピアノを弾く。
時には愛が本の内容を朗読し、莉乃がそれに合わせて即興でピアノを奏でるという、二人だけの特別な時間が生まれた。
ある日、愛はふとした瞬間に自分が莉乃を見つめていることに気づいた。
彼女の指が鍵盤を軽やかに叩くたびに、その動きに目を奪われていたのだ。
莉乃の横顔に愛は不思議な感情を抱いていた。
「愛ちゃん、どうしたの?
何か考えてる?」
莉乃がふと演奏を止めて尋ねた。
愛は一瞬戸惑ったが正直に答えることにした。
「……莉乃さんの演奏を聴いていると不思議と心が安らぎます。
私、今までこんなに安心できる場所があるなんて思ってもみませんでした。」
「そう感じてくれるなら嬉しいな。
愛ちゃんが私にとって特別な存在だからそう思えるのかも。」
「特別……?」
「うん。
愛ちゃんが隣にいてくれると私も安心するんだ。
だからこれからもずっと一緒にいられたらいいなって思ってる。」
その言葉に愛の胸は高鳴った。
理性では説明できない感情が彼女の中で渦巻いていた。
莉乃の言葉が彼女の心を揺さぶり、今まで感じたことのない感情が芽生え始めた。
「私も、莉乃さんと一緒にいると心が穏やかになります。
ずっとこのままでいられたら……。」
莉乃は優しく微笑み愛の手をしっかりと握り返した。
「私たちなら、きっと大丈夫だよ。
理性も感情も全部ひっくるめて一緒に進んでいこう。」
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