-第5章-
ある日愛は図書室で一人、本を読んでいた。
周囲は静寂に包まれ、彼女はベルクソンの哲学に浸っていた。
しかしその集中力を破るかのように、莉乃が静かに彼女の前に座った。
「ねえ愛ちゃん。
今日はちょっと特別な話をしたいんだけど、いいかな?」
愛は本を閉じ莉乃に向き直った。
その顔にはいつもの温かい笑みが浮かんでいた。
「何ですか?」
「実はね、私、愛ちゃんに伝えたいことがあるの。」
莉乃は少し緊張しているようだった。
彼女がこんなにも慎重に言葉を選ぶのは珍しい。
「私たちのこれからの関係について、ちゃんと考えたいなって思ってるんだ。」
「これからの関係……?」
「うん。
愛ちゃんは理性を大切にしてる。
でも、私はもっと感情を大事にしたいと思ってる。
だから私たちが一緒にいる意味をちゃんと見つけたいの。」
愛はその言葉に心が揺さぶられるのを感じた。
莉乃の気持ちを受け止めたいと思う一方で、自分の理性がその感情にブレーキをかけようとしているのを感じたのだ。
「私は、どうしたらいいんでしょうか?」
「愛ちゃんが感じるままに答えてくれたらそれで十分だよ。
私は愛ちゃんと一緒にいるとすごく安心するんだ。」
その言葉に愛は深く感動した。
理性と感情がせめぎ合っていた彼女の心の中で、どちらも大切にしたいという思いが生まれた。
「私も莉乃さんと一緒にいるときが一番心地いいです。
でもそれが何なのか、まだよくわからないんです。」
「それでいいんじゃないかな。
わからないまま進んでいくのが私たちの物語の始まりなのかもしれない。」
愛はその言葉にうなずいた。
私たちの関係は理性と感情の狭間で揺れ動くものだが、その中で互いに支え合うことで新しい道を見つけられるかもしれないと感じた。
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