-第4章-
それからしばらくして、愛は自分の中で理性と感情の関係を模索するようになった。
ある日彼女は空き教室で一人、カントの本を閉じて深く考え込んでいた。
「理性と感情……本当はどちらが正しいのだろう?」
その問いはいつもよりも重く愛の心に響いた。
彼女は自分がどこへ向かうべきなのかをまだ見つけられていなかった。
その時ドアをノックする音が静かに響いた。
振り向くとそこには莉乃が立っていた。
「考えすぎてない?」
「莉乃さん……。」
「もしよかったら一緒に散歩しない?
頭の中をクリアにするためにさ。」
愛は少し驚いたが、頷いて立ち上がった。
二人は学校の庭を歩きながら秋の冷たい空気を吸い込んだ。
「この時間が好きだな。
考え事をするにはちょうどいい。」
莉乃がぽつりと呟いた。
「莉乃さんも何か悩み事があるんですか?」
「んー悩み事っていうよりは……ただ、感情と理性のバランスって難しいよね。
私も時々感情に流されちゃって後悔することがあるんだ。」
「そうなんですか?」
「もちろん。
誰だって完璧じゃないからね。
でもその時に理性が助けてくれるんだと思う。
大切なのは感情を否定することじゃなくて、受け入れてどう向き合うかだよね。」
愛はその言葉に心が軽くなるような気がした。
理性と感情は対立するものではなく、互いに補完し合うものだという考えが少しずつ彼女の中で形を成していった。
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