壊れゆく命の輝き
転生者――異世界から転生した者。
前世の記憶を持ち、類稀なる知識により世界に変革をもたらすという。
発明王ニコラ、医術王カダ、冒険王オダ、文芸王アンネ、殉教王ジャンヌ……。
長い歴史の中で、数多の転生者がこの世界に現れ、そして消えていった。
だが忘れられることはない。その痕跡は様々なものから窺い知ることができる。
例えば、発展著しい魔学と科学によりもたらされた魔道具だ。
燃料を必要としない竈、氷を必要としない冷蔵庫、蝋を必要としない照明……。
その痕跡は枚挙にいとまがない――
街の地下には上下水道が張り巡らされ、街に住む人々の生活を支えている。
贅沢であった風呂や水洗トイレは、今ではスラムの住人ですら使用している。
整備された街道は地の果てまで延び、希望を鞄に詰めた旅人たちが行き交う。
改良された馬車がサスペンションを軋ませ、石畳をゴムタイヤで疾走している。
空気から生み出された肥料が、郊外に広がる田畑に恵みを与え豊作をもたらす。
食料保存技術の革新で飢餓はなくなり、畜産は効率化され飽食の時代が訪れた。
海を走る船は機械の心臓を鳴らし、スクリュー音を奏でながら巨躯で波を切る。
煙突から轟く咆哮が化物を震え上がらせ、旧き支配者を世界の隅に追いやった。
空を見上げれば、飛行船がサーチライトを蠢かせ、眩い光跡を伴い天を駆ける。
巨大な船体は百を超える人々を亜音速で運び、三日かからずに世界を一周する。
――今この瞬間にも、転生者が生まれ、そして死んでいるのであろう。
「……転生者……」
夜空を睨みながら独りごちた。今日の朝に聞いたラジオの天気予報を思い返す。
〔三月五日、天気は快晴。明日も晴れ……〕だったが、月が薄雲に隠れ始めた。
「さぼるんやないグズ聖女! さっさと掘らんかい!」
ライカは手を止め私に注意すると、再びショベルで地面を掘るのに没頭する。
至高の存在である私が、なぜショベルなんかで地面を掘らねばならないのか?
これがわからない……いや、わかるが理解しがたい。ライカのアホに尋ねた。
「天才のライカにより導き出された答えが『埋めて忘れるんや』だったよな?」
「そやな、せやから掘ってるんやろ?」
ライカ、マリー、イザベラ、そして私の四人が森で穴を掘っている。
教会の外れにある自然豊かな森は、仄暗い熱にあてられて森閑としていた。
「あほくさ」
私は毒づいた。ショベルを放り出して、大きなため息をつく。もううんざりだ!
地面に無造作に放置されている「ズタ袋」をちらりと見やる。
中に詰められている「王子B」は目覚めることはない……今はまだ。
「聖女ちゃん、一緒にやり遂げよう? マリーも頑張るから、ね?」
マリーの虚ろな目が私を捉える。青い目はくすみ、井戸底のように仄暗い。
「聖女様! 初めての共同作業ですね! アヒッ! イヒヒッヒャアハハハハ!」
イザベラが高らかに笑う。狂気を滾らせ、紫の瞳は見開き充血していた。
血は何色か? 高貴な青い血ですが、なにか? まったく、バカげた話さ。
所詮は貴族、命を弄ぶ側か? 全員を鋭く睨みつけると、冷たく言い放った。
「もうやめよう」
突然、マリーは首を勢いよく回してこちらを見た。目を瞠り、私を問い詰める。
「なンデ? なンデそンなコト言ウの? 聖女チャンは、そンなコト言ワない!」
発狂したマリーがショベルを振りかぶり、奇声をあげ私に向かい襲いかかった。
ランプに照らされたショベルが、鈍い光を放ちながら頭めがけ振り下ろされる。
瞬間、攻撃を最小限の動きで右に躱し、左手でマリーの左親指の関節を極める。
同時に、ショベルの柄に右掌底打ち! 狂気の握力からショベルが解放された。
無刀取り――剣術の奥義に剣は不要。視死如帰。細い左腕を捻り上げ制圧した。
叩き落としたショベルが地に転がる。夜の静寂に硬い金属音を虚しく響かせた。
「いヤッ! いヤッ! 聖女チャン離しテよ! コレじャお兄様ヲ殺セないッ!!」
月光が王家の指輪を照らし、マリーがもがき叫ぶ。その胸は豊満であった。
「アホ聖女! 殿下の手を離さんかい!」
ライカは私の手からマリーを奪う。そいつ聖女殺害未遂事件の現行犯なのだが?
ふとイザベラを見ると、待ちきれぬとばかりに可愛くぴょんぴょん跳ねていた。
早く早くと急かすようにその体で訴えながら、彼女の桃色の花唇が言葉を紡ぐ。
「聖女様、きっと楽しいですわ。わたくし王子を殺すのが、待ちきれませんの!」
充血した目をぎょろつかせ、イザベラの口だけにんまりと笑う。無垢なる殺意。
……思い出した! イザベラは王子の元婚約者だ!
先日の魔法学院卒業パーティで、王子と恋人の陰謀により婚約破棄されたのだ。
その上、公爵家から勘当され教会送りにされた、今話題の「悪役令嬢」である。
イザベラの様子を見るに、冤罪で断罪された怨みが心を蝕んでいるのが伺える。
異常な雰囲気に全員が作業の手を止めると、私に詰め寄りそれぞれが口を開く。
「往生際が悪いんやないか? ぐだぐだせんと、きっちり覚悟せえや」
「聖女ちゃん、一緒に堕ちよ? マリーたちはずっと友達だからね?」
「わたくしたちの手で葬るから尊いのですわ。絆が深まるのですわ!」
ライカ、マリー、イザベラ、三者三様の言葉が夜風に溶ける。場が澱み始めた。
ダメだこいつら……早くなんとかしないと……殺さずに生かす、そのためには?
ズタ袋に隠された――!?――王子B。
電流賜る! そうだ、隠すのだ……木を隠すなら森の中……というではないか!
「私にいい考えがある」
笑みを浮かべ、自信満々に言い切った。みんなのくすんだ瞳に希望の光が灯る。
提案した現状打破する方法にみんなが感嘆し、満場一致で準備に取りかかった。
◇
そして、私たちは治療室に戻る。夜の教会はしんと静まり静謐に包まれている。
計画の第一段階は先ほどすませた。その証拠に診察台に寝かされた王子Bは――
「ひとまず、性転換は完了した。だが、これで終わりではない」
――女の子になった。が、裸で横たわる王子Bの体は、女性的とは言いがたい。
何とも言えぬ空気が漂う。ライカ、マリー、イザベラはそれぞれ苦言を呈した。
「ガタイがデカすぎるやろ! どうにかならへんの? あとケツ、こらあかんて」
「お父様のご落胤と勘違いされたら危険ね。可愛い姿に美容整形してあげようよ」
「聖女様、もう少しこう手心というのかしら……わたくし、見るにたえませんの」
私はにやりと笑い鷹揚に頷く。わかるよ、こんなんじゃ満足できないよね?
異世界の遊戯〈TRPG〉――物語の登場人物となり役割を演じる体感遊戯。
己の分身となる人物を作成し設定を考えるのが好きな私に言わせれば、中途半端は言語道断。聖女の力をもってすれば遺伝子レベルで変更できるのだ。
拘らねばなるまいが、気をつけねば搦め捕られる。キャラメイクという沼に!
外見を変更するわけだが少々情報不足。必要な情報を得るためマリーに尋ねた。
「マリー、王子の身長は何センチだ?」
「確か……ええと、一八〇センチかな」
「なら、頭一つ分ほど背を縮めて……」
王子Bの肉体が圧縮され全体的に小さくなる。骨肉が砕ける不快な音がした。
「次は体型だな。せっかくだからスタイル抜群にしてやるか」
がたりと、私の発言に反応し診察台に身を乗り出したライカが待ったをかける。
「ちょい待てや。なんでもかんでも、デカきゃいいってもんちゃうやろ?」
はあ? 大は小を兼ねるって金言知らないのかよ? B線上のライカに尋ねた。
「ん? 自虐ネタかな?」
「しばくぞボケ! ウチよりツルペタなくせに、なめたことぬかすなや!」
私の貧乳は成長過程。ライカの貧乳とは価値が違うんだよ価値が。
ひとまず、スタイル抜群な王女Jを参考に王子Bを改造し始めた。
壊れゆく命の輝き、死を経由し反転した命が美しく生まれ変わる。
羽化した蝶が蛹を捨て去る瞬間を見た。一句。朧月胡蝶の夢現哉。
「最後に顔だな。金髪はそのままロングに伸ばすとして瞳の色は――」
「聖女様、瞳はそのままでよろしくてよ。金髪には碧眼が鉄板ですの」
言葉を遮りイザベラが割って入る。凄い失礼! だが、その言葉は金言だった。
臆することなく直言する度胸は買おう。賢者たるイザベラよ、褒めて遣わす。
「イザベラは賢いな。確かにそのとおり。金髪碧眼は至高の組み合わせである」
「お優しいお言葉、ありがとう存じます。大変光栄でございますわ」
「さて、顔はどうする? 私は童顔がよきと思うが……おまえは? イザベラ」
「……聖女様の御心のままに……」
なんと奥ゆかしい。イザベラはまさに理想的な淑女であった。
傾国の美女もかくや、絶世の美少女マリーとは異なる魅力だ。
男勝りなライカと違い、私は見目麗しい美少女であるらしい。
悪友に美少女コンテストで優勝しようと誘われたこともある。
私は教会の姉妹から「暗黒神のごとし」と褒められて、蝶よ花よと育てられた。
傾国の美女イザベラ。絶世の美少女マリー。ライカは……まあ……美少年かな?
ひとまず、私たちを参考にするしかあるまい。全員の特徴を混ぜるのも一興か。
顔を変えるにしても、誰かに似てるとまずい。有名人は避けなければならない。
八頭身にするため、頭のサイズをぎゅっと縮めて小顔にする。
耳と鼻から外に出てはいけない中身が噴水のごとく飛び散る。
蝶のように美しい体がポップアートのように中身で彩られた。
私は顔のパーツを操り最適なサイズや位置を手探りし始めた。
ライカ、マリー、イザベラが姦しくも忌憚なき意見を述べる。
「なんちゅうか、下に偏りすぎやないか? 上下で七三はあかんて聖女」
「聖女ちゃん、やり直しなさい。中央に寄りすぎて、なんだか不気味よ」
「額のバランスがおかしゅうございますわ。彫りが深すぎるのかしら?」
好き勝手に顔を変えていく中で、ついに最適解を見つけ出す。
頭蓋骨に何度も亀裂が走るが、なんとか持ちこたえてくれた。
危うく砕けるところだった……「あっ!」思わず声が漏れる。
「おっと忘れてた。声を変えないと……」
私の呟きに反応し、ライカ、マリー、イザベラがそれぞれ言葉を返す。
「忘れるなや! 今そのボケいらんて。ほんまマジ勘弁やわ、このドアホ」
「どうせなら聖女ちゃんみたいに、優しくて癒される声にしてあげようよ」
「聖女様のように清らかで美しくて可愛い声。それが理想でございますわ」
王子Bの声を調整し、肌を艶やかにし、腰まで伸ばした金髪を美しく輝かせる。
うっかりがないよう口頭で確認しながら、最後の仕上げを事細かに施していく。
「ムダ毛を全て永久脱毛して……唇やデリケートな部位を瑞々しい桜色に……」
そして完成! 美を極めた明星。白磁のような肌の完璧な美少女が創造された。
おお、見よ! 冒涜的なほどの存在感。狂気的なほどの美少女に王子Bが変態。
もはや芸術! 美を超えた美。ライカ、マリー、イザベラが感想を述べ始めた。
「おー、ええやん! めっちゃ気に入ったわ」
「……お母様より綺麗……」
「う、美しい……まさに奇跡……これが愛の権能……聖女様の力……」
どうだ! これが聖女の力だ! 腰に手を当て、胸を張り、得意げな顔をした。
だが、イザベラが何かに気づいたのか「あっ」と声をあげた。続けて私に問う。
「聖女様、魂はどうなさる気ですの?」
彼女の疑問は至極当然。魂なき肉体なんてただの人形にすぎん。私は問い返す。
「アレイスター博士の著作『ホムンクルス』を読んだことは?」
「もちろん、拝読いたしましたわ。著名な魔法書なら暗記していますの」
「ならわかるはずだ。〝魂はどこから生まれるのか〟考察されていたはずだが?」
「ええと……」
彼女が視線を上に向けて記憶を探る。私はさり気なく手助けすることにした。
「所詮、人形にすぎないホムンクルスが、なぜ自我を得ることができるのか?」
「あっ! 最終章の……確か……〝無の彼方から魂は湧き出すのだ〟ですわ!」
「正解。今はまだ自我はない。だが、いずれ魂が発生し自我を得ることだろう」
「よく考えれば自然なこと。とんだ杞憂でしたのね」
心の中でイザベラを称賛する。元公爵令嬢……側近として侍らすべきか?
緊張から解放されたのか、ライカとマリーが気の抜けた言葉を口にした。
「ふう、無事ミッションコンプリートっちゅうことでええんか?」
「安心したらお腹が空いてきちゃった……ああ、王宮に帰りたい」
気を緩めないよう、私は注意を促し場を引き締める。
「まだ仕上げが残ってるぞ。気を抜くな」
ひとつ、肝心なことを忘れていた……王子Bが裸なのはまずい。
ありあわせだが、ズタ袋を加工し貫頭衣を作り王子Bに着せる。
さらに、シーツをマントのように羽織らせて、その身を包んだ。
「夜警の巡回ルートまで運ぶぞ。目撃されないよう秘密裏にな」
ライカ、マリー、イザベラの三人にラストミッションを発令した。
「お姉さんに任せとき! ウチ、こういうの得意なんや」
「気配察知は王族の嗜みよ。警戒はマリーにお任せあれ」
「わたくしはライカ様をお手伝いさせていただきますわ」
問題を乗り越えたことで、みんなのやる気が漲っている。よきかなよきかな。
おっと忘れてた。王子Bから王家の指輪を回収しマリーに渡す。証拠隠滅完了!
私たちは足取り軽く、そして慎重に、計画の最後を締め括るため行動開始した。
◇
外郭に近い教会の一角、茂みの中で気配を殺し、私たちは固唾を飲んで見守る。
視線の先には、王子Bが仰向けで歩道に倒れている。あとは結果を御覧じろ。
向こうから巡回中の聖騎士が二人やってくる。
聖騎士とは女神教に仕える騎士で、教会内部の警備や貴人の護衛をする性質上、全て女性で構成されている。
聖騎士が腰に佩く神樹製の白い柄は「断罪の剣」で、神樹の刃を生み出す神器。
肩に羽織るマントは神樹を績み紡ぎ織られた神器で、白地に金糸の防御魔法陣が施されている。支給された神器以外の装備は自由で、戦闘法も統一されていない。
なぜなら、聖騎士は兵士ではなく一騎当千の「一人の軍隊」だからだ。
女性の就職先として熱狂的な人気があり、身分を問わず憧れの職業である。
聖騎士たちが行き倒れている王子Bを発見する。
意識の有無を確認するが、当然ながら反応はない。
聖騎士たちは王子Bを担ぎ上げると、治療室がある方向に移動していった。
医師が当直室で待機しているので、行き倒れの治療ごときで聖女の出番はない。
聖女は医師の仕事を奪ってはならない。聖女は匙加減が難しい立場なのだ。
聖女の力を悪用すれば「永遠の命」すら笑えるほどあっけなく与えられる。
もし聖女が見境なく治療していたら、高齢化社会という地獄が顕現するだろう。
下手をすれば、各国が聖女を求めて争うことにもなりかねない。
ゆえに、聖女は教会の戒律に厳しく従い克己するのだ。世知辛いね。
事の次第を見守り終える。肩の荷が下りて気が緩み、思わず言葉を零した。
「終わったな」
一首。春宵の月風輝夜姫始罪を知らずに罰を知らずに。私の孤児に祝福あれ。
夜風が髪を靡かせる。ライカ、マリー、イザベラは思い思いの言葉を口にした。
「せやな。ウチのおかげで、めでたしめでたしやで」
「しばらくは、お兄様の顔を見とうございません!」
「わたくしは、もう二度と、見たくありませんわ!」
いったい何をどうすればこんなことになるのか? 問い詰めたくて仕方がない。
「どうすりゃ王子が死んだと勘違いして、左手を持ってくる羽目になるんだ?」
当然の疑問にマリーとライカが交互に答える。
「二人で狩りに出かけた先で、不幸にもお兄様が巨人に丸呑みにされて……」
「王子は抗ったんやが、ぱくっと巨人が口閉じてな。左手がいてもうたんや」
「お兄様を食べた巨人が逃走して……『もう助からない』と騎士団長が……」
「そんなん慌てるやん? ウチ、左手を後生大事に運んでな。後はお察しや」
そんなことのために、神聖不可侵なる愛の権能を大盤振る舞いしたのか……。
言いたいことは山ほどあるが――
「まあいっか」
――全てを飲み込むことにした。もう終わったことなのだ。刹那で忘れよう。
愛の女神からお怒りを受けていない。ならばこれでいいのだ。いいのである。
茂みから出ると思い思いに「ふー」と安堵したり「っし」と髪をかきあげた。
充足感に浸っていたが、「殿下」とライカはマリーに呼びかけ帰宅を促した。
「ほな帰ろか」
「それでは皆様ごきげんよう」
「さいなら~」
ライカとマリーは嵐のように去っていった。イザベラと顔を見合わせる。
見惚れるほど美しい紫色の瞳を見つめると、私はイザベラに声をかけた。
「……とりあえず飯にするか」
「ええ、食堂に参りましょう」
イザベラが私に向かって手を伸ばし、私はその手を取る。
二人で手を繋ぎながらのんびり食堂に向かい歩き出した。
背が高いイザベラと、背が低い私が、並んで一緒に歩く。
母と子とはこんな感じなのだろうか? ふと哀しみが心の井戸から汲み上がる。
瞑目し祈る。心水止め明鏡と成す。私の祈りは届かない。おもむろに目を開く。
今回の一件で、さらにグレた気がする。私がグレるのは、絶対環境のせいだろ!
クソな理由で数え切れぬほどの罪を犯した気がするのは、気のせいであろうか?
夜空に浮かぶ月を見上げる。同じ星空の下、師匠はいったいどこにいるのやら。
私の師匠である大聖女は、巡教の旅に出てから一向に帰る気配がない。
きっと腦筋だから、私のことなど忘れて殺戮を楽しんでるに違いない。
思わず嘆息する。聖女である限り、きっとまたトラブルがやってくる。
気を紛らわすために、彼女の横顔を見つめる。やさぐれた心を癒してもらおう。
彼女にそっと身を寄せると、心が溶ける。私の頭を温かな手が、そっとなでた。