第12話 暗殺者
「そこにいるのは、誰?」
そう言った刹那、ユイは一瞬で出入口の向こう側に居る人物へと距離を詰めた。
「─────ッ!!」
ダンッ!と足を力強く踏む音が聞こえたかと思うと同時に、カキンという金属がぶつかる音が廊下中へと響いた。
第12話 暗殺者
「ユイ!大丈夫か!?」
廊下で交戦を始めたユイが心配になり、ユウキも廊下に出ようとする。
「ユウキくん!来ちゃダメ!離れてて!!
あなた、剣使えないでしょ!?」
キン、キンと音を響かせながら、ユイはユウキに忠告する。
「ほう、そこそこ腕が立つ人間のようダナ。」
黒のフードを被り、仮面のようなものをつけている小柄な謎の人物は、余裕そうな表情でいかにも暗殺者が使いそうなナイフでユイの剣と交えている。
「だけど、スピードは私の方が上のようダナ。」
そう謎の人物が言った途端、凄まじいスピードで一気にユイの間合いへと詰め、ユイの剣をパリィした。だが、ユイは咄嗟に剣の持ち方を変え、相手に脇腹を刺されるのを回避した。
「っぶなー!油断した!!」
ユイも余裕そうな表情を浮かべ、相手から即座に離れる。
「さてと……あなた誰?それと、誰からの依頼?」
「ワタシの事はニアと呼んで欲しいんダナ。残念だけど、依頼人については口が裂けても言えないんダナ。」
お互い、動きを見つつ牽制し合っている。そんな中で、先に動き出したのはユイの方だった。
「─────それじゃ、そろそろこっちから行かせてもらうね!」
ユイがそう言い放つと、胸元のブローチが青く光る。それと同時に、剣の柄頭から剣先まで水が集まっていき、段々と剣の周りを囲う水が大きくなっていく。
「覚悟なさい!私の必殺、流水斬!!」
そう唱え、大量に水を纏った剣を大きく横に振り切る。すると、さっきまで剣に纏っていた水が、1つの大きな斬撃として繰り出される。
「どうよ!私の斬撃!!……って!アイツもう居ないじゃないの!!」
そう、ユイが斬撃を喰らわす直前に、謎の暗殺者────ニアはどこかへと逃げてしまっていたのだった。
「くっそ〜!逃げられた!!絶っ対とっ捕まえて色々聞き出してやろうと思ったのに〜!!」
あの後、ユイと周りを探し回ったが、ニアの姿は結局痕跡ひとつすら見つける事が出来ず、俺達は部屋に戻った。
「にしても、なんでユイは廊下に誰かいるって分かったんだ?」
ユイが外を警戒してたにしても、こちらは全く音も気配も感じれなかったので、単純にどうして分かったのかが気になった。もしこれがこの世界の常識的な感じだったら、今後ここで生きていける自信が無い。
「あぁ、さっきの?私、昔から何故か勘だけは冴えててね。なんか急に、脳にピキーン!って衝撃が走るっていうか……あそこは通ると危ないとか、あの人は私を襲ってくるとか、急にそういう情報が降りてくるんだよね〜……。だから、さっきのも勘。なんか、向こうに人が居そうだなーってのが当たったっていうだけだよ。」
凄い。まるで未来でも分かっているような動きだった…勘だとしてもそれをズバッと当ててしまうなんて……
「あと、もしあれが例の"教団"のアサシンだったとしたら、もしかしたらひとりで行動しているナナミちゃんはかなり危ない状態なんじゃないかな?万全な状態だったら、ナナミちゃんは負けないかもしれないけれど、今は目が覚めたばっかできっと全力を出せないよね?」
そうだ、確かにユイが言う様に、俺達が狙われているなら絶対にナナミも狙われている筈だ。
「今すぐナナミを探して、助けに行かないと……!!」
そうして、俺とユイはナナミを探し出す為に、外へと走り出した。




