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第11話 新たな仲間

 「初めまして、マツユキ・ユイです。少しの間ですが、よろしくお願いします。」


そう名乗る彼女は、爽やかな笑顔を浮かべながら軽くお辞儀をしてきた。


 「初めまして。俺の名前は佐藤 優樹です。実は異世界から来てて──」


 自己紹介を続けようとしたその時、ユイは顔の前でひらひらと手を振り、俺の言葉を遮った。


 「あぁ、自己紹介はしなくて大丈夫です。」


 あっさりと断られ、少し拍子抜けする。ユイはにこやかなまま、当然のように続けた。


 「あなたがサトウ・ユウキ君で、そっちがフジモト・ナナミさん。さっきから話、ちゃんと聞こえてたから。自己紹介も説明も不要ってわけ。」


 まあ、そりゃそうだ。彼女が登場した時、「やっと呼ばれた」とかボヤいてたし、多分ミゾグチさんとカワグチさんの会話も、廊下まで丸聞こえだったんだろう。


 「ま、同年代っぽいし気軽によろしくね。ユウキ君、ナナミちゃん。」


 自然体なその挨拶に、どこか場の緊張も和らいだ気がした。




第11話 新しい仲間




 「よし、お前ら自己紹介も終わったな。」


ミゾグチさんが立ち上がり、腕を伸ばしながら言う。


 「そしたら、アタシ達はここにいるハヤカワ氏も交えて、今後の対策をもう少し詰める。フジモトが元気なら、お前らは真っ直ぐ帰るなり、適当に飯でも食って帰るなり好きにしろ。今日はもう解散だ。」


 そう言い終えると、ミゾグチさんとカワグチさんはさっさと部屋を後にした。サキさんも心配そうにナナミを一瞬見ると、二人の後を小走りで追っていく。


 「……私、ちょっと外の空気吸ってくるね。」


 ナナミはベッドから体を起こし、俯きがちに部屋を出て行った。その背中には、どこか沈んだ気配が残る。


 ……うーん、気まずいな。俺、この状況で何を話せばいいんだ?


 そんなことを考えていると、マツユキが自然に話しかけてきた。


 「ねえ、ユウキ君って異世界から来たんだよね?そこって、どんなところなの?」


 「え?あー、俺のいた世界は……魔法とか魔物とか、そういうものが一切存在しなくてさ、むしろ、本とかで描かれてる想像上のものだったんだ。でも、意外と似てるところもあって……たとえば、これとか。」


 気づけば、俺の世界の話をするのはユイが初めてだった。彼女は「へえ〜」「ほお〜」なんて相槌を打ちながら、驚くほど真剣に話を聞いてくれる。


 「ユウキ君、本当に異世界から来たんだね。しかも、ここにちょっと似てる世界から。正直、全部信じられるわけじゃないけど……ユウキ君、嘘ついてる人の目はしてない。」


 マツユキは少し首をかしげながら、さらに尋ねてきた。


 「でもさ、なんでこの世界なんかに来ちゃったの?しかも、刺されたって聞いたけど、傷もないよね。不思議だと思わない?」


 「ああ、だからそれを解明するのが、今のところの目標でもあるかな……」


 本当に、それがずっと気になっている。あの日、“アイツ”に刺されたときに組織がどうとか言っていたけど──あれ?誰だったっけ、アイツ。


──


 思い出せない。顔も、声も、どんな奴だったのかも──


「──、……!」


 誰だ、アイツは? というか、俺はあの時、本当に教室にいたのか? あの瞬間の全てが、まるで霧の中に消えていくようだ。記憶のピースが、カタカタと外れていく音がする。頭の奥で警鐘が鳴り響く。


 思い出せ。思い出せ──


 「──おい!話聞け!初対面だろ!私、放置プレイは趣味じゃない!」


 その声に、ハッと我に返った。危ない、今のは……完全にパニック寸前だった。


 「ごめんごめん、マツユキ。もう大丈夫。」


 そう言うと、マツユキはムスッとした表情で腕を組んだ。


 「その呼び方、気に食わないな。ナナミちゃんはナナミって呼ぶのに、私はマツユキなの?おかしくない?私もユウキ君に”ユイ”って呼んでほしいな。」


 「そんなこと気にしてたのか…わかったよ、ユイ。」


 素直にそう呼ぶと、ユイは満足そうに微笑んだ。なんだか、ナナミ位表情豊かだな。


 「じゃあ、俺もちょっと外の空気吸ってこようかな。今日はなんだか疲れたし。」


 立ち上がろうとしたその瞬間、ユイが急に声のトーンを落とし、俺の腕を軽く掴んだ。


 「……待って。」


 「ん?」


 ユイは真剣な表情で、部屋の出入口をじっと見つめる。


 「そこにいるのは──誰?」

次の12話ですが、まだ冒頭も書けてないので多分早くて投稿が明後日頃になります。

代わりに全力で書きますので、宜しくお願いします。

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