やり直した後悔の可能性
それは、復讐である可能性がある。
01/26
Jさんから相談を受ける。
夢を見るとのこと、ただし内容は不明。
01/27
昨日に引き続きJさんからの相談。
子供の頃の夢であるらしい、老齢であるJさんの幼少期だ、現在の妙求市とは様子が異なる。
それらには、やけに現実味があると訴えた。
01/28
Jさんには後悔している事があった。
それを、夢の中でやり直した。
「あの時も、こうすりゃ良かったんだよ、なあ?」
意地を張ってケンカ別れした友達と、仲直りをした。
1/29
Jさんは、友達との関係を述べた。
もちろん、夢の中での話だが、上手く行っているらしい。
過去に起きた悲劇を回避できた。
喧嘩別れした後で、その友達は事故に遭っていたが、そうならずに済んだ。
「ヘンだけどよ、嬉しいんだ、俺の知らないアイツの姿が見れるんだからな」
夢は継続していた。
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Jさんはやけに呆然としていた。
「あ、ああ、いや、悪い。どうにもこうにも、気分が切り替えられねえ……こっちが現実だ、そうだよな?」
夢がリアリティを持ちすぎていた。
「わかってる、わかっちゃいるんだ……」
一晩の間に、一年もの時間が経過した。
亡くなったはずの友人が生きている日々を過ごした。
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Jさんは顔を青ざめさせた。
「俺は、どうしちまったんだ……?」
夢の中で十年が経過した。
子供から青年へと成長した。
現在とは違う人生を、Jさんは送った。
「なあ、これ、ひょっとして走馬灯じゃねえか?」
だとしたら、随分奇妙だ。
過去ではなく、違う人生を思い返している。
「どうなるんだ、これ」
わからない。
だが、一晩の間に見る人生の長さが、徐々に伸びているようだ。
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Jさんの表情は能面のようだった。
「俺は……」
夢の中で、二十年の時が過ぎた。
様々な出来事を味わった。
夢と切って捨てるには、あまりに濃密だった。
「はは、嘘みてえだ、これは、なんだ」
Jさんが知らない人生が、そこにはあった。
気に入らない骨董品を、買っては割ることをせず済む人生だ。
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Jさんから、人探しを頼まれた。
子供の頃からの友人だ。
たしかに亡くなっていることは、調査済みだった。
「どいつもこいつもそう言いやがる、違う、そんなわけがねえ」
だが、Jさんは苛立ち、否定した。
「生きてるはずだ、そのはずなんだよ、クソ、どうして、どうしてこんなことになっていやがる」
Jさんが夢で見た人生は、ついには現在にまで追いついた。
夢の中での出来事こそが「現実」だと思い込んだ。
「俺が、アイツのことを見殺しにするわけねえだろ、俺はそんな薄情な人間じゃねえ!」
これまでの記録を見せたが、信じることはなかった。
「アイツとずっと生きてきたんだ、アイツなしの人生なんざありえねえ! 今の俺が、俺の人生の方が、間違ってるって言うのかよ、なあ!?」
証拠を揃え、否定することは可能だ。
だが、Jさんからすればその友人は「昨日まで生きていた」相手だった。
長く後悔し続けたことは、今のJさんにとって「懐かしい思い出として友人と笑い飛ばしていたこと」だった。
記憶ではなく、実感伴う経験としてそれを味わった。
リアル過ぎる夢が、Jさんの人生を塗り変えた。
「一体、どうなっていやがる……」
あるいはこれは、復讐であるのかもしれない。
前よりもずっと、後悔はJさんに重くのしかかる。
もう二度と忘れることなどできない。
頭を抱えるJさんの横で、微笑む誰かが立っているように思えた。




