19 夕食と告白
おじいさんからもらった野菜をスープにしている間、俺の頭の中には支部長の言葉が渦巻いていた。
――……オレが人間じゃない、か。どうやって気づいたんだろうな、アレは。
あの言い方ではまるで、ウンコの神が言っていたことが真実だと認めるようなものじゃないか。
というかそのことをアーリャは知っているのだろうか。
詳しいことは夕食中に話すとあの後言われたが、時間が空くのも考え物だ。いらないことをどうしても考えてしまう。
「あー、ほんっと疲れた! イーヴィル、明日はちゃんとあたしのこと手伝いなさいよね!」
「うん、わかった」
「……。支部長~、イーヴィルがなんかそっけないんだけど。草刈りして腰でもヤったの? それとも変なもんでも食べた? ウンコとか」
「さあな」
夕食では、アーリャだけがいつも通りだった。俺をからかい、挑発し、支部長との会話を楽しむ。そうしようとしていた。俺は曖昧に返事を返して済ませた。支部長も同様だった。
アーリャも馬鹿ではない。少しづつ、俺と支部長の様子が変なことに気づいた。
単純な性格をした彼女のことだ、大声で怒鳴って何があったのか今にも問いただしかねない。
「ちょっと!? 二人とも変よ、まさか支部長が何かやらかしたわけ?」
ほら、予想通りだ。俺は支部長と視線があった。そんな場合ではないのに俺は笑ってしまった。支部長も何となくこの展開が予想できていたらしい。
支部長が話を切り出した。相変わらず血走った眼が俺たちを見つめていた。
「少し時間をいいか。アーリャにも、イーヴィルにも、伝えておかなければいけないことがある」
「……あ~もしかしてここなくなる? なくなっちゃう? まーもともと補助金だけでやりくりしてるって話だもんね」
「先輩、ちょっと静かに」
「何よあんたまで知ったような顔して! ならアンタがさっさと話しなさいよね!」
アーリャが俺の肩をゆすった。
できねえよ。そんなことしたら俺、支部長とどんな顔して明日から話すればいいのかわかんねえよ。
ただでさえ、どれほどの覚悟で支部長が話を切り出したのかなんて計り知れないんだからさ。
だからせめて、最初から最後まで余計な邪魔もなしで語らせてあげてほしいんだ。
語れば無粋だ。支部長の覚悟に横やりを入れたくなんてない。俺は無言で抵抗した。
「……なんなのよ」
アーリャは座った。テーブルの上のスープにはまだ湯気が漂っていた。
きっと話が終わるころには、冷めてしまっているのだろう。




