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 さらに詳しい話を聞くと、どうやら俺は3日間も眠っていたらしい。

 けれど不思議なことに空腹感はない。栄養不足で身体がだるい感覚もない。じゃあその間どうやって俺がご飯を食べていたのかというと――


「余が代わりに食物を摂取し、お前の身体に入って栄養を移したのだ。しもべを飢え死にさせては神としての沽券に変わるのでなァ」

「食事は私が持ってきたんですよ。超越神さんはイーヴィルくんから遠くに離れられないみたいですから。引っ張って動かすことはできるみたいなんですけどね」

「へー、ところで逃げた魔物がまた襲ってくるとかはありませんでしたか?」

「私の知る限りではないですね。あなたが追い払ってくれたおかげです」


 身体に入るってどこからだ? とウンコの神に聞きたくなる気持ちを抑えて俺は次の話題を先生に振った。世の中には知らないままでいることの方が幸せなこともあるのだ。


 先生から聞かされるいろいろな情報の中で何よりもうれしいニュースだったのが、ユーリが無事回復したことだった。骸骨騎士とその取り巻きのスケルトンにやられた怪我はひどかったものの、先生が自分の傷も後回しにしてまで治癒してくださったそうだ。やはり先生は優しい。ウンコの神よりよっぽど神だ。


 それと、頭の中に何か知らない知識があるんだよね。お前の影響?『そうだ。堆肥の作り方と同じように、余の知識の一部がお前に流れ込んだらしい』

 そうですか、誰に教わったこともない知識が脳内を駆け巡るものだから、俺は戦っている最中、思考が自分の物じゃなくなったみたいで混乱してたんだぜ。


 俺はお前と契約するまで、ゴブリンとかスケルトンとかいう名前の魔物の存在やその特徴なんて、誰にかから聞いたこともなかった。

 なのに戦っているときには「これはゴブリンだ」「これはトロールだ」って確信していた。記憶と経験のずれがどれだけ俺のメンタルを揺らしていたことか。


「さて糞食いよ、忘れてはおらぬだろうな」

「何をだよ神様」

「契約の話だ。お前は余にすべてを捧げると誓ったな」


 そうなんだよな。俺が取れる選択肢はそれしかなかったわけで、実際コイツのおかげで俺は魔物たちの脅威からユーリと村を守れた。


「うちにある堆肥も食ったんだろ。足りなかったのか?」

「魔物どもの死体と合わせてもな」

「……俺に何をさせる気だよ」

「無論、布教だ。この大陸中を旅して余の信徒を増やし、全世界に余を崇め奉る神殿を立てるのだァ!」

「はあー!?」


 ふざけてんのかコイツ。誰がウンコの神なんて崇めるんだ。崇めたところで御利益なんてあってないようなものだ。強力な鎧は与えられてもコイツのさじ加減で身体を乗っ取られるし、出す技はウンコだし。


 加えて苛立たしいのは、俺がこれからしようと思っていることと、こいつの思惑がわずかながら一致していることだ。


 俺は深呼吸をして先生の方を向いた。まずはこの人に俺の思いを伝えるところからだろう。


「俺、旅に出ようと思うんです。コイツの言っていることとは違う目的で、なんですけど」

「……そうですか」


 まるで俺がそう切り出すことをわかっていたかのような声だった。先生はゆっくりと頷いて、俺の目を見た。



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