夜、寝込んでいると知らない女の人が枕元に来た話(多分スピ系)
物心付く前から何となく、自分は「何か」に守られていて犯罪にも、災害にも巻き込まれずに生きていくんだろうなと思っていた。何の根拠もなく、そう思い込む時ってありませんか? 「まぁ、怪我しないだろうな」的な。
それと同じで俺は、昔から(正確に言うと、小一ぐらいから。格好付けて物心付く前からとか書いちゃったけど)守られていて、何の災害にも遭わないだろうなと思っていました。いや、今でも思ってます。何の根拠も無く。
本当は広島平和記念資料館に行った時にした、恐怖体験のエッセイを書こうと思ってたんですが、面倒臭くなってきたのでやめます。長くなるし。
あとせっかくだから、終戦記念日に投稿しようと思っていたんですよね。が、頭の中でエッセイの文章をねるねるねるねしていたのに、「投稿やーめよっと!」という結論を出してしまった。いや、書きたい。すっげえ書きたい! せっかくだから書きたい。ので、昔から見ている不思議な夢のことを……? プラス、この間の話を書こうかなと思い立ち、書いている最中です。
夢。そう、夢なんですが夢じゃないと思う。絶対アレ。一応スピリチュアル系の話になるのか……?? 幽霊が見えますとかじゃないんですけど、そういうアレな話に耐性が無い方はご注意下さい。
どうせ画面に映し出された話で、嘘か本当かだなんて一生確かめられない。与太話を聞いているような感覚で、読み進めていってくださればなぁと。俺も俺で、そんな感じで書いていきます。酒を片手にする話を、重箱の隅までつついて質問攻めしたりしないじゃないですか。あれあれ、そんな感じで。
じゃあ、書いていこうかと思います。まず、夜眠る前にすること。歯磨きではなく、いやそれもするけど一応「よし! 変な場所に迷い込んだら絶対に、余計なことはせず帰ってくる! 飛び降りようともしない!」と決意することです。じゃないと、帰ってこれないだろうから。
この手の夢を見出したのはいつだったか。おそらく、小学生ぐらいの時から? 小学生の時に嫌になるぐらい、トラブル続きだったんですよね。巻き込まれ体質。で、うんざりして夜寝る前に「呪われてるんじゃないか? なんでこんなことばっかり」とぶつくさ文句を言って眠ったところ、ある夢を見ました。
どんっと、いきなり寺の古い廊下に投げ出されたんです。尻餅をついた拍子に、手や足に、木の床板のひんやりとした感触が襲ってきました。もちろん、パジャマのまま。ここは一体どこだ? 夢だというのは分かる。が、覚めない。混乱していると、目の前に天狗のような男が立っていました。いや、天狗だったと思います。
真っ赤な顔にぎょろりとした黒い目がついていて、鼻が驚くほどに長い。その男が俺を強く見下ろして、白い丸がついた杖のようなものを振りかざし、「あれを見よ!」と叫びました。
後ろを振り向いて、見上げてみると、廊下の壁に家系図が貼り付けられていました。大きな木の板に、見知った名前が黒く彫り出され、昔の読めない名前もずらずらと書き記されている。どこまでも続いている。
「そなたの家系図じゃ! あれを見てみよ。寺の血が濃いのだ」
「寺の血が濃い……?」
「さよう。縁戚者同士で結婚をして、子を産んできたからの。先祖の因果や因縁が濃くなってゆくのじゃ。血が濃くなればなる分だけ、その子孫に全てがいく」
はぁ、訳が分からん。呆気に取られ「分かりません」と言うと、慌てて分かりやすく説明してくれて(優しい)、とにかくもまぁ、先祖が悪いことをした=その血を辿って、恨みが子孫にやってくる。なのに血が濃くなると、余計にそれが凝縮されて子孫(俺)に降りかかってくる。
(え? いや、先祖が悪くね? 俺、悪くないよな?)
というのが当時小学生の俺の感想。説明し終えた天狗は満足げな顔をして、頷いていました。
「であるからにして、そなたは寺の者以外と結婚せよ! 血を薄めねばならん。血を濃くしすぎたのだ、そなたの一族は……」
そんな哀れむような声と共に、どんどん意識が遠ざかっていってはっと目覚める。翌朝、死ぬほど体が重くて寝た気がしない。
(まぁ、だから嫌なこと続きなのか! で、一体どうしろと……!?)
と思って終わり。いや本当、アドバイスというか、俺が夜眠る前に「なんでだ?」って思ったから、教えてくれたんでしょうけど! 意味がねえ!! なので、いつも色々と起こる度に「寺の血~!」と思ってます。確かに、親戚同士で結婚を繰り返しているんだよなぁ……。
その辺りはどうでもいいので割愛。基本的に、この手の夢を見ることが多かったんです。で、知らない子供に「夢なのに覚めない!」と泣きつかれ、その子を抱えて全速力で走って逃げたり、財宝盛りだくさんの部屋で「欲しい物はないか?」としつこく聞かれたり(夢から覚めねえ)、三途の川を渡りかけたり、過去へ行ったりと、現実世界で太陽が二つあるのを発見してぞっとしたり、色々あるけど全部書くと長いのでカット。あれ? こう書くと、意外と変な体験いっぱいしてるな……!?
全然気付かなかった。改めて文字にすると「何だコイツ」感が半端ねえ。昔からちょくちょくと、変なことに遭遇したりする。が、冒頭で述べた通り、俺は「何かに」守られているような気がずっとしていました。そんな中で小学生の時、誰かに名前を呼ばれた。下の名前だけ。女の人の声だった。
「シロウ」
「はい」
と言って振り返ると、そこには誰もいない。不思議に思って探してみるもいない。それが何度も何度も続きました。面白がるような男の声で、名前を呼ばれる時もあった。だんだんと面白くなってきて、名前を呼ばれるのを次第に待つようになって。
(あ、最近呼ばれてないな)
と思うと、二、三日以内には名前を呼ばれる。何となく意思の疎通が出来ているような気がしました。その頃、俺に嫌なことをしたやつが立て続けに怪我をしたりしたので、「俺の呪いだ」とクラスで噂になったり。「ああ、守られているんだろうな」と改めて思うようになった中学生の時、唐突に、名前を呼ばれなくなりました。
高校生になって、待ってみるも呼ばれない。覚めない夢の中で襲われたり、トラブル続きで散々な毎日でした。でも、不運が続く中でも「守られている」という思い込みはまだ根強く残っている。そんで、十八歳の誕生日を過ぎた辺りで、背中に何かの気配を強く感じるようになりました。誰かにじっと、凝視されているような感じが常にある。不思議に思っていた時、ある夢を見ました。
そこは真っ暗闇の空間で、誰もいない。夢の中だと理解しているのに、一向に覚めない。もう慣れてたし、「なるほど。この暗がりからガイコツか何かが現われて、襲ってくるんだな? そいつから逃げ切ったら夢から覚めるんだな?」と思って、身構えていました。するといきなり、ぬっと、白い手が背後から現われた。ぞっと、悪寒がして動けなくなる。身の毛もよだつ、って言ったらいいんですかね? 全身の血の気が引いて、面白いぐらい、ざわざわと鳥肌が立つ。
「あ、悪いモノだ。生きて帰れるか?」と悟った瞬間、まさかのバックハグ。後ろから首に手を回して、抱きついてきました。背筋にぞぞぞぞっと、また悪寒が走る。
「大丈夫。そう怖がらなくても、何もしないから……」
信じられるか!! と心の中で叫んでいると、視界の端でしゅるしゅると蜘蛛の糸が出てきました。まさかの、蜘蛛の巣にいる感じか。今。てか、夢なのに覚めないな!? ひとまず黙っているのもあれなんで、機嫌を損ねないよう、話しかけてみる。
「あなたは蜘蛛なんですかね……?」
「ええ、そう。あなたの家が代々、蜘蛛を大事に守ってくれているから。だから、私もお礼にあなたを守っているの」
なるほど。確かに俺の家は代々、蜘蛛を可愛がってきた。俺も俺で、子蜘蛛に「こんなところにいると危ねぇぞ~、犬に食われるぞ~」と言って助けたりもしています。
「あなたは蜘蛛の化身的な?」
「そう。というより、私が蜘蛛全体を司っているの。みんな、私の大事な可愛い子供たちだから」
よく分からん。とりあえず、蜘蛛の神様的な存在だと仮定しておく。寒気が酷いし、一向に夢から覚めないし。どうやったら目が覚める? 超逃げたい。焦っていると、さらに抱き締めてきました。
「ねぇ、呪い殺して欲しいやつがいるんでしょう? 私が全員、呪い殺してあげましょうか?」
確かにその頃、殺したいやつが五人ほどいました。ここで「はい」と答えるべきか、どうか。悩みました。
「あなたが願うのなら、誰だって呪い殺してあげる。私の得意分野だもの」
「全員、殺さなくてもいいです。不幸にさえなってくれれば」
夢だし、言うだけタダか! と思って言ってみると、愉快そうに笑っている。だって、自分の手を汚さずに済むのならそれが一番じゃないですか?
「それじゃあね? よく聞いて。私は常にあなたの後ろにいるから、起きた時、私に向かって手を合わせて。どういう風に呪い殺して欲しいのか、事細かく教えて。私に強く願って……」
夢から覚めた瞬間、本当に呪うかどうかを数分ほど悩んだ挙句、呪うことにしました。布団の上で、手を合わせて願いました。その数日後、死んで欲しいと思っていた相手が倒れて救急搬送されました。医療ミスも起きて、俺が望んだ通りの最期を迎えました。
残る四人も願った通りになっていて、驚きました。あれはただの夢だったのか。それとも全部偶然で、たまたま、俺が願った通りに死んでいって、不幸になってくれただけなのか。偶然だということにしておいた方が心に優しいから、そういうことにしています。終わり。
話が急に変わりますが、実は体が弱いんです。どれくらい弱いかというと、季節の変わり目は体調を崩す、直射日光を浴び続けると頭痛がして倒れたりする。ぜんそく持ちで走れば咳をし、電車に乗れば酔い、人混みに行ったあとは頭痛と吐き気に襲われる。胃腸が弱く、ジャンクフードや菓子パン、スナック菓子、カップラーメン、スーパーの惣菜(つまり、市販のものがほぼ食べられない)を食べると気持ち悪くなって吐く。ちなみに、ハーゲンダッツを食べて吐きました。つらすぎる。
のに、休むということが苦手でよく無茶をして倒れています。(学習しない系)
あと、食い意地が死ぬほど張っているから、カレーを食い過ぎて吐いて下痢をしたり。その日もステーキ二枚を一気食いして、吐いて、下痢して、微熱も出て寝込んでいました。
胃が気持ち悪い。寝ているのに、ずっと頭がぐらぐらしている。夜、家族が寝静まったあと。ステーキ肉を吐いたことが悔しくて、悲しくて「肉、肉~……!!」と呟きながら泣いて、寝込んでいました。めちゃくちゃ悔しかった、本当に。またリベンジします。
泣いて熱にうなされていたその時、誰かがふわりと枕元に降り立ちました。目を閉じているのに何となく分かる。桜色の十二単のような、とにかく長い着物を着た女の人。でも、頭の後ろが光っていてよく見えませんでした。「誰が来たんだ?」と思ってうなされていると、腕を伸ばして、額にぴたりと手を当てる。ひんやりとした感触で、気持ちがいい。
「おお、可哀想に……つらいか? まったく、そなたは弱いくせに無茶ばかりをして!」
「申し訳、申し訳ありません……」
よく分からないままに、怒られたのでとりあえず謝っておく。この時、心細かったんですよね。昔から夜、ずっと苦しさや吐き気を耐えて眠るのが孤独で、惨めで、つらかったので。家族に一晩中、傍にいて欲しいなんて言えないし。
「まったくもう、一気に二枚もステーキ肉を食うからじゃ! 母御にも止められておったじゃろ?」
「うまくて、つい……」
「今度からは一枚ずつにせよ。いや、一枚の半分にせよ。よいな?」
「嫌です。一気に食べたいです……」
どうしても嫌だったので、布団にもぞもぞと丸まって背を向けてみると、女の人が困ったように笑って、後ろから覗き込んできました。
「苦しかろう? また吐いて寝込む気なのか? そなたは」
「それはその時です……でも、一枚の半分だけは絶対に嫌です。一枚まるまる食べます!」
俺が反抗的に言い張ると(熱でもうろうとしてたから……)、また困ったように笑って、頭を撫でてくれました。髪の上から優しく撫でる感じ。
「ならばもう、それでよい。一枚の半分にして欲しかったが……。まぁ、よい。気持ち悪いと思ったら、すぐにやめるのだぞ? いいな?」
「はい、分かりました。やめます……」
「よしよし、可哀想に。つらかろう」
もしかしたら夢かもしれないぞ、これ。でも、誰でもいいから誰かにすがりたかった。人じゃなくてもいい、苦しい時に傍にいてくれるのなら。そう思って、仰向けになって「頭を撫でてください、苦しいです。これ、どうにかなりませんか……?」と泣いて頼んでみる。すると、嬉しそうに笑いました。
「おお、よしよし。頭ぐらい、いくらでも撫でてやろう。案ずるな、シロウよ。朝には良くなっておる。わらわが全部吸い取ってやるからな……」
その言葉を聞いた瞬間、それまでかちこちに冷えていた手足(冬だった)がぽかぽかと、岩盤浴をしているみたいに温まってきて、汗がじわっと滲み出てきました。それまでずきずきと、嫌な痛みを発していた腹もだんだんと収まってきて、頭がぐらつくことも無くなって、強烈な眠気に襲われる。頭を撫でられる度に、すうっと、苦しみが波のように引いていきました。何か、パワースポットで日向ぼっこして、昼寝しているような感じ、と言ったら伝わりますかね?
「なんで、ここまで良くしてくれるんですか……?」
最近、趣味で神社参拝に行ってるからか。それとも、昔から「守られている」ような感じがするのは、あなたがいるからなのか。夢で襲われるのは、一体どうしてなのか。色々と聞きたいことが山ほどあったんですけど、かろうじて、出てきた質問はそれでした。女の人が笑って、また丁寧に頭を撫でていく。
「それは、そなたがこちら側を見続けてくれるからじゃ、シロウよ。大抵の人間にとって、わらわたちは存在しないもの。だが、そなたは違う。そなたはこちらを、いつまでも見続けてくれる」
淋しそうに言っていた言葉を、不思議と今でもよく覚えています。俺は名前を呼ばれたり、おかしな場所に迷い込んだり、寝込んだりする度に「何かがいるんじゃないか?」と思って、その何かを探そうと、神社へ参拝しに行ったりしていました。
馬鹿馬鹿しいとは思いつつも、ずっと誰かに呼ばれていたことが記憶に残っていて、探し続けていました。その時、ようやく出会えてめちゃくちゃほっとしました。(蜘蛛女は怖かったので、カウントせず)
「そなたも分かるであろう? シロウよ。淋しいのだ、我らも。願いさえ叶えばもう、こちらは用済みで来ることはない。頼ることもない……」
いないものとして扱われ、問題が起きた時にだけ頼られる。そして、解決すれば来ることはない。金運を上げてくれたりだとか、とにかく金や利益が目的で頼られることが辛くて淋しいと、枕元で言い始めました。夢か現か。眠気でもうろうとしていて、それまで苦しかった体も、陽だまりに包まれたように、ぽかぽかしている。もうろうとしたまま、とりあえず淋しがっているし、この女性をいるものとして扱うことにしました。
「淋しいですね、それは確かに……」
「が、そなたは違う。我らに傍にいて欲しいと、そう思ってくれておる。愛してくれる」
「愛して」
めちゃくちゃ気恥ずかしいというか、ふつう、愛してとか愛という言葉自体が出てこないじゃないですか……。※ただし、バカップルは除く。
でも、神社に行ってそれだけで満足してた。参拝した直後に虹が出たりとか、手を合わせた瞬間、風が強くこうっと吹いたりだとか。とにかく、何かがこっちを見ているような気がして嬉しかった。だから、ほぼ何も願わずに帰ってた。「何かがいてくれるといいのに」と思って、毎月神社に行く。また誰かが名前を呼んでくれるんじゃないかと思って、待ってみたり。それがめっっちゃくちゃ背中がむず痒くなるんですけど、「愛してる」ということなら、それは確かにと思って否定しませんでした。
「でも、確かに、傍にいて欲しいとは思っています。何もいりません。だから、傍にいてくれますか? また苦しい時、こうして頭を撫でてくれますか?」
そう聞くと、嬉しそうに笑ってました。
「ああ、いつでもそなたの傍にいることにしよう。シロウよ、大丈夫じゃ。そなたがこちらを見続けてくれる限り、わらわ達もそなたの傍におるからな……」
そう言って頭を撫でたあと、ふわりと立ち上がって「それではの? また」と言って去っていきました。気配がふつりと消えて、そのままぐっすり眠りこけてって感じです。
翌朝、起きてみると体が軽くて、胸の奥がじんわりと温かくなっていて不思議でした。それから俺が小説を書きすぎて、倒れた時も来てくれました。
「そなたは体が弱いのに、無茶ばかりをして……!!」
「すっ、すみません。気をつけます」
今度はめちゃくちゃキレてる。びびって謝ると、ふうと溜め息を吐いて、また頭を撫でてくれました。あれから寝込んだ時、男性が来てくれる時もありましたが、その日は女の人が来てくれて。それで、この時はえっぐいシーンを書いていて、投稿した直後、吐いて下痢をして、熱が出て倒れてしまったんです。なんで書いただけでこうなるんだ? キャラが苦しい目に遭ってたからか? と思ってうなされていた最中でした。
「次からは休み休み、書くように。よいな? 二日に分けて書くのじゃぞ? 一気に書いては、倒れるに決まっておろう?」
「それはちょっと……一気に書き上げてしまいたいです。というか、なんで倒れるんですかね? たかだか小説を書いたぐらいで」
一気に書いた方が楽なんだけどな、と。毎回ぼろぼろ泣きながら書いてるんですけど、きっっつい。キャラが勝手に動いて、ノリノリで喋っていくから、それを必死に書き取っていくのが楽しいんだし。俺の頭を撫でていた女の人が、呆れたような顔をしました。(光っててよく見えないけど、何となく分かる)
「決まっておろう? そなたは気力を削って書いおるからの……あまりこういうことを繰り返していると、寿命が削れてゆくぞ?」
「えっ? 寿命、減ってるんですか?」
「当然じゃ。無理をして気力を削って書いていると、体の方にも負担がかかる。実際、そなたの寿命は削れておる。少しだけだがの」
まさかの衝撃事実が発覚。怖くなってしまって「大丈夫ですかね!? どれぐらい削れましたかね!?」と聞いてみる。
「大丈夫じゃ。削れたと言っても、ほんの少しだけじゃ。ゆっくり休めばまた、寿命の方も回復してゆくじゃろうて」
「よ、良かった……休みます。今度からは二日に分けて書きます!」
「それでよい。まったく、最初から言う通りにしていればいいものを……。心配ばかりかけて、そなたは」
でも、何だかんだ言って、吐き気と頭痛を治して去っていきました。翌朝、嘘のようにけろりと体が軽くなってる。調子に乗った俺は、以前より無茶をするようになりました。ただ、寝込まないと会えないので、会いたくて無茶をしているような気もします。
この間、風邪で寝込んでいたんですよね。コロナでもなく、ただの風邪。季節外れの風邪とはお友達! ぜんそくも出て、げほげほと咳き込みながら、熱にうなされているとまた来てくれました。
「可哀想に……つらいか? 咳が出て」
「ああ、また来て下さったんですね。めちゃくちゃ咳が出て、苦しくて」
「……息が出来ぬのか?」
「はい。気管が狭まって、ひゅうひゅうとこう、嫌な音が出て。咳が出て息がし辛くなるんです」
俺が苦しいと言っていると、大抵不思議そうな顔をして聞いてきます。まぁ、相手、肉体無いしな……と思って説明していると、「ちょっと仰向けになれ」と言われたので、ごろりと仰向けになる。
「可哀想に。気管が狭まって苦しいのだな?」
「はい。ここが広がると、楽になるんですけど……」
「なるほど。では、ここが良くなると収まるのだな?」
そう言って、俺の胸元辺りに白い手をかざしました。喉にするっと、光る手が入り込んでいくような感じ。何回か、そうやって胸元と喉を擦ってくれました。
「これで良し。収まったぞ」
「ありがとうございます……」
深く息を吸い込むと、あの嫌な音がちっともしない。あれにはびっくりした。何度も深く呼吸をしてみても、出てこない。ぴたりとぜんそくが収まってる。それから俺の頭を撫でたあと、「翌朝にはもう少し、良くなっておるからの」と言い残して去っていきました。で、まぁ、いつものように体が軽くなってる。ちなみに去り際、「このこと、エッセイに書いて投稿していいですか?」と聞いてみたら、快くOKしてくれました。あと「そなたの小説の続きも、楽しみに待っておるからな」と言われたので、ぞっとしました。
一体、どうやって読んでいるのか……。「電子系とは相性が良いのだ」と言って、ふふんと笑っていましたが。この女性は何なのか。うなされている俺が見ている夢なのか。いまいちよく分からないけど、「いてくれてるんだろうな」と思って日々過ごしています。他にも色々と不思議な体験? をしましたが、今日はここで終わります。
あと、夢の中で首を絞められた時、襲われた時「助けてくれ!」と叫ぶと、ぱりんとガラスが割れるような音が響いて、一気に夢から覚めるようになりました。あと、変な現象が無くなった。まぁ、ホラー体験しなくなったし、日常生活でもラッキーなことが続くし、「守られているんだろうな」と思って生きています。何の根拠も無く。