〈7〉華の生徒会室
こんばんは
「月曜日お疲れ様!そう言えば最近、この辺で変質者がでているようだから十分注意するように」
そう言うと担任である波岡は教室の外に出ていった。しかし出る途中、意味ありげにヒロインの方に視線を向けた。ほんの一瞬であった為、気がついた生徒は何人いただろうか。綺羅はニコニコしている。
美麗の腕に鳥肌が立った。
「レイ、どうしたの?」
「何でもない」
「なんかあったら言ってね!そうだ、今日の帰りは別なんだよね?」
「あ、うん。ちょっと用事あるの…災厄な」
「これ食べて頑張ってね、」
そう言うと飴を一つ渡してくれた。
(私の弟は天使で間違いない!)
先生がいなくなったことで解散の流れになったクラスは続々と生徒が帰っていく。その流れで莉栗も帰っていった。
「美麗ちゃん!久しぶりにお茶しない?」
変える支度が丁度終わったその時、他のクラスも終わったのか美麗のクラスに青蘭が飛び込んできた。
「あっ〜!青蘭ちゃん!ごめん今日は予定が…」
「そっか…じゃあまた今度!っていうかどうしたの腕さすって、寒いの?」
「いや…気持ち悪いものを見たというか、」
「うげ〜それは災難だったね」
「ほんとに気持ち悪かった」
「無理しないでね、」
「ありがとう!」
「じゃあまた今度!」
(今日も天使すぎる!)
美麗は去りながらも手を振り続けてくれる青蘭に笑顔で手を振り替えした。
そして、青蘭が見えなくなると美麗も生徒会室を目指して歩き出した。
◇◇◆◇
時刻は午後3時59分。5分間、たっぷりモタモタ中に入るかドアの前で尻込みしたあと、意を決して美麗はドアノブに手をかけた。
「失礼します」
室内はまるで会議室のようだった。入り口と向かい合うようにして奥には立派な書斎机が置いてある。また、その机を正方形の一辺とするかのように長机がコの字に並べられてあった。
「君かな?本道が引っ張ってきた子は」
部屋で一人、書類を確認していた男子生徒が美麗に声をかけてきた。
「あっ、はい。はじめまして長瀬会長。烏野美麗と申します」
「はじめまして烏野さん。ゴメンね、丁度アイツ出ていったところなんだ」
「そうですか…あの、私は何をすればいいのでしょうか?」
「とりあえず本道の補佐として生徒会の仕事をしながら学んでくれればいいかな」
軽く言ってのける現生徒会長を拍子抜けした顔で美麗は見つめた。それと同時にニコニコしていて優しそうな彼に少し安堵した。
長瀬会長が温かいお茶を入れてくれたので春翔が戻ってくるまでソファーでくつろぎながら部屋を観察していると10分もしないうちに春翔が帰ってきた。右手には何故か某有名菓子店の紙袋が握られている。
「今戻りました」
「おっ、おかえり。放送部から許可もらえた?」
「はい。来週の火曜に放送室と機材を自由に使えることになりました。」
「ありがとう。放送部の部長、僕じゃなくて本道の頼みだと何故か甘くなるから助かったよ。」
会話をしながら春翔は荷物を長机に置いていく。長瀬会長が目ざとく菓子袋に気付き、中から大福を取り出して食べだした。どうやら放送部の部長からもらったらしい。
「あの、」
大福に夢中になる会長に美麗はためらいながらも声をかけた。
その呼びかけでようやく思い出したようで口端についた粉を拭いながら会長は本道に笑顔で一言言い放った。
「そうだ!烏野さん本道の補佐として付けるからよろしく」
「…ハイ。」
「じゃあ今日は帰っていいよ。あとは春翔に明日説明してもらってね」
そう言われた直後ほぼ強制的に春翔と共に美麗は部屋を追い出された。
「会長が決めたので僕的には不本意ではありますが明日からよろしく。足だけは引っ張らないでくださいね、じゃ」
それだけいい、春翔は生徒会室へ戻っていった。
ただ呆然とする美麗が状況をきちんと飲み込んだとき頭の中は
(やってけるかな…やだな)
それだけだった。もはやそこには雑な態度に対する怒るだけの気力が残っていなかった。
いつもありがとうございます!




