〈4〉これがヒロイン…
こんばんは。お久しぶりです
(大嫌いと言ってしまった…)
はぁー、いくら感情が高ぶっていたからって傷つけたよね。平穏に過ごしたいという私の願いを真っ向から絶ちにきた三人が悪い。とは言え…
「なんて謝ろう、」
美麗は屋上の隅っこで一人小さくなって反省会を開いている。朝の鍵をまだ返していなかったことをいい事にここまで走ってきたのだった。
てか、どう思う?新学年早々、イケメン3人を侍らせてるみたいじゃん。悪女のお手本じゃない、ワタシ…
「あれ、カギ開いてる」
突然扉の開く音がし、美麗は反射で物陰に身を隠した。普段はこの屋上のカギはしまっているので人が来ることさえ珍しいのだ。美麗は少し顔をのぞかせて誰が来たのか確認した。
(この声、あの髪の色…)
顔は見えなかった。が、しかしどう考えったってこの世界のヒロインしかいない。予習勢の私でもこのゲームに関しては攻略対象者と大まかにどんな出来事があるのかを知ってるだけだった。
「うわ〜!!ここから見る桜綺麗!」
そう言うとヒロインである綺羅は柵に近づいていった。手を後ろで組んでスキップしていく姿は当に可愛らしい少女そのもの。美麗は素直に感心した。
(私がしても気味悪いだけなのに、ヒロイン凄っ)
顔が可愛いとは何とも得なものである。
「今なら…!」
綺羅ちゃんは桜に夢中になっているはず。まだ初日で関わりは無いけどゲーム上、私は悪役令嬢。何が断罪要素になるかわかったもんじゃない。だって…
(細かく知らないもん!)
綺羅の後ろを姿勢を低くして、抜き足差し足忍び足で通っていく。あと少し、ドアノブに手をかけたその瞬間、
「誰だ?そこにいるのは」
(開ける前に開けられた)
咄嗟に開いた扉の裏に身を隠す。
勢いよく開けるなよオイ。誰か人がいるかもしれないじゃん。おかげで鼻が1ミリ低くなった気がするわ、
「えっ、誰!?」
「それはこっちのセリ…星野さんでしたか。どうしてここに?」
「学校を探検してたら綺麗な桜が見えたので。ほら見てください!」
「桜なんて所詮花でしょう?咲いて散って終わり」
「だからこそです!彼らの最高に素晴らしい姿を見ると心が元気になりますよ!」
(何かすごいな、)
The乙女ゲームって感じ。桜に対して彼ら。どういう環境下で育ったらこんな真っ直ぐな子が育つのかしら。突慳貪な態度の本道に対しても笑顔って…尊敬。
当の二人は私の存在に気づいていない。それも凄い。これがゲームか。振り向く素振りすら見せない。
(では、今のうちに…!)
美麗は音を立てぬように細心の注意を払って屋上をあとにした。階段を下りる途中、後ろから二人の会話が聞こえてきたが美麗は気にもとめずにただ、階段を駆け下りることに集中した。




