〈2〉イケメンたちよ…
こんばんは
「あっ、戻ってきた!遅かったから探しに行くところだったよ」
「ごめん。お手洗いの後に少しだけ散歩してたら楽しくなっちゃって」
(んなわけないけどね)
莉栗と会話しながら時計を確認すると朝の会が始まるまで2分を切っていた。それもこれも屋上からこの教室までが遠いのが悪い。私は悪くない。
そう思いながら自分の席に座った。そして手の中で握られたカギを見つめ、今朝出会った攻略対象がどこのクラスなのか確認し忘れたことに気が付き美麗は肩を落とした。
(考えることが多すぎる…)
そうこうしていると朝のホームルーム開始を告げるチャイムが聞こえてきた。そしてそれと同時に教室の前方の扉から男性が入ってくる。
「はい、皆さんおはようございます!今日から皆さんの担任になる波岡です。皆知っての通り担当は体育です。よろしく」
(この人か…)
この男がこの教室に来たということは本当に始まるんだと感じさせられる。あっ、ちなみに私はこの人が嫌い。なぜならゲームの中でいい年の大人なのにも関わらず主人公にベッタリ。画面越しでもムリだったのにここは現実。主人公ならこういうかもしれない
『実際にかかわってみないとわからない!』
確かにそうだ。だが申し訳ないが今の時点では好感度なんて一ミリもない。周りの女子はイケメン先生ランキング第一位の先生が担任と聞いてニコニコを通り越してニヤニヤしているが私の顔はもしかしなくても死んでいる。きっと二次元の世界なら頬に『犯罪者お断り』と書いてあるだろう。
「じゃあここで自己紹介タイム、としたいところだけどその前に…」
そういうと担任は廊下に向かって教室内に入ってくるよう手招きをした。その様子をクラス中がいぶかしげに眺めている。多くの視線の中を不安げな顔をした女子生徒が一人入ってきた。
(美少女はどんな顔でも美少女ね~)
「編入生を紹介するぞー。さあ」
「初めまして星野綺羅です。よろしくお願いします」
言えたことで安心したのだろう。自然と彼女が笑顔になった。その瞬間、何人が息をのんだだろうか。女子はうらやみ、男子は頬を赤らめる。彼女の表情一つ、言葉一つで周りは一喜一憂する。
「じゃあ、星野はあそこの本道の隣の席だ」
「はい」
そう言われ彼女はみんなの視線をそのままに決められた席に座る。何人かの男子がため息をついた。きっと自分の隣に座ってほしかったのだろうが『本道には勝てないよな…』とでも思っているだろう。
「よろしくね本道君」
「よろしくお願いします星野さん」
「綺羅でいいよ」
「星野さん」
(始まったなー)
ハイお決まり。隣の席が超ハイスペック男子で最初はガードかたいけど徐々に仲を縮めていくやつ。窓際とかほんとに鉄板だなオイ。てか本道って…やったー手間省けた。よし、この一年大人しくしてましょか。
「じゃあ、みんな揃ったところで自己紹介していくか!」
出席番号順でいいよな、の担任の一言で強制的に5番目になった美麗は心の中で波岡に向かって悪態をついた。でも一番じゃないだけマシか、と自己紹介を始めた男子生徒を眺めながらすぐに諦めた。
「じゃあ5番の烏野」
「…はい」
眼鏡かけて下のほうで一本結び。地味というかなんも特徴のない人物に見えるでしょ?誰も悪役令嬢とか言ってこない容姿にした今の私なら大丈夫、と自分に言い聞かせて前に立つ。
「烏野美麗です。趣味は読書で最近はミステリーにはまってます。一年間よろしくお願いします。」
(ほら可もなく不可もないでしょ?)
自身の自己紹介に満足しながら着席をする。すると美麗と入れ違うように莉栗が席を立った。
「次は__」
「烏野莉栗です。美麗の弟です。よろしく」
担任の言葉をさえぎり前に立ち、それだけ言うと莉栗は着席した。イケメンの無表情コワ…
その後もどんどん続いていく。そして問題も
「神野晃です。美麗の友達です」
「水原亮です。美麗の幼馴染!」
(いや、やめろやイケメンども。今すぐ口を縫ってやりたい)
ヒロインが驚いているのが目に浮かぶ。これで認知されてしまったな…
まだゲームは始まったばかりなのにね!(虚勢)
お久しぶりです




