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脱!悪役令嬢計画  作者: カピパラ
本編
83/95

〈1〉ゲーム開始

こんばんは

今日から後輩ができる。美麗達は晴れて二年生になった。クラス分けを既に確認済みである美麗は莉栗と共に教室に入った。


「よぉ美麗!はよ!」


「おはよう、美麗ちゃん」


「おはよう!亮、晃君」


美麗はイケメン二人に笑顔で挨拶を返した。しかし美麗の後ろにいるイケメンは少し不機嫌になったようで、


「ねぇ、どうして僕には挨拶無しなの二人とも?」


「「あっ、おはよー」」


「『あっ』、は余計だ」


「わぁー莉栗が怒ったー!!」


「ちょっ亮君!?僕を盾に使わないでよ」


入って早々、満面の笑みを向けて挨拶して現在教室内で鬼ごっこしているのは水原亮(みずはらりょう)神野晃(じんのひかる)というおなじみのメンツだった。そして言わずもがな烏野莉栗(うの りんり)もその輪の中に入っている。

美麗はその様子を尻目に自席に向かい荷物を置き、準備をすすめる。そして席に着き未だ終わらない鬼ごっこを眺めながら考え込んだ。


(やっと...今日から始まる)


そう。今年がゲームの舞台となっている年なのだ。今日が授業開始の日であり、主人公(ヒロイン)である星野綺羅(ほしのきら)がこの学園、このクラスに転入してくる日である。


(そろそろかな、)


時計を確認すると、美麗はおもむろに立ち上がった。


「私、ちょっと行ってくるね」


「レイどこに行くの?僕も一緒に_」


「えっ、お手洗いだけど」


「なら待ってるね。」


「てか、待つ以外の選択し無いだろ!オモシロ!!」


「黙れ亮」


ぎゃーぎゃーまた騒ぎ出した二人を背に、巻き込まれないよう急いで教室を出る。しかし出る直前、視線を感じて一瞬振り返ると晃が美麗に困惑の目を向けていた。

かわいそうだけどゴメン。美麗は手を合わせてジェスチャーで謝り、急ぎ足で屋上へ向かった。


(また前みたいにトイレだと莉栗に嘘ついちゃった)


まぁ、致し方なし。私の人生のほうが重要よね!切り替え重要!何のために朝早い登校したと思ってるの?ゲームは始まってる。


駆け足で階段を登りきり目的のドア前まで来た。しかし、


(ゲッ…開いてない)


ゲームだと大体開いてるから油断した…。そうだよね、普通防犯上てか安全面的に鍵掛けてるよね。


戻ってこの辺の窓からに変更するか、美麗は諦めて階段を降りようとしていると、


「そこで何してるんですか」


下の階段の踊り場からイケメンに声をかけられた。しかもそのイケメン、美麗にとっては重要かつ見知った顔であった。


「…!?ちょっと屋上に」


「空いてるわけないでしょ」


「ですね。今知ったところです。」


「ですが…ここに鍵が」


そう言うと本道春翔(ほんどうはると)は胸ポケットから屋上へのカギであろう物を取り出し美麗を追い抜かし解錠した。


「いいんですか?かってに…」


「不安なら来なくていいですよ。」


煽るようにそう言うと春翔は屋上に足を踏み入れた。


「いや、行きますけど」


(なんだコイツ?)


イケメンで頭が良くて次期生徒会長だからって性格悪けりゃ全部台無し…。なんでコイツが攻略対象なの?ゲームの中の私、ゴメンだけど見る目ないわ。

コイツを好きになって破滅って…世の中もっと良い人がいる!!絶対コイツではない!!


「あなたはどうしてここに用事が?」


「それを聞くなら、貴方こそ何の用事で?」


(質問には質問で…そして()()


「私は生徒会の仕事です。で、あなたは?生徒会役員ではないですよね、」


「えっと、」


(どうしよう…)


『転入生が見たいんです!』

なんて言ったら

『は?なんで』

ってなる。でまた面倒くさくなるよね絶対に。しょうがない。ちょっと不自然だけど押し通す!


「この学園の桜が見たかったんです。朝早くなら人が少なくて、しかも上からなら絶景を独り占めできるでしょ?」


「欲張りですね」


「それが何か?」


(んだコイツ?いちいち癪に触る)


「というか桜なんていつでも見れるでしょう」


「今だから。明日にはあの木の花は入ってるかもしれない。先延ばしにして後悔するのは嫌なんです。行動せずに後悔?勝手に決め付けて諦める?この世で一番キライです」


「…そうですか」


ヤバ…ちょっと語気が強かったかな。何か固まってるし…。でも桜を見るため、という理由以外は本音だしここは冷静に、


「仕事終わりました?私はもう少しここにいたいのでカギ、私が職員室に返しておきますよ」


だからこっちに渡して一人にさせろ。そういう念を込めて手を前に差し出した。しかし、期待は裏切られる。


「この鍵、()()()()()なんです。なので使い終わったら私に返してください。」


「はい…」


(仕事が増えた…)


まぁ、しょうがない。ヒロインを見届けたらアイツの名前をクラス分け掲示板から探さなければ。


「では、お先に」


「お疲れ様です」


本道は鍵を美麗に手渡しすると屋上から出ていった。やがて階段を下りる音が聞こえなくなった。美麗は脱力し、近くのベンチに座り込んだ。


(はぁー) 


「新学期早々に攻略対象と関わってしまうとは…」


これでゲーム内の主要人物で会っていないのは主人公だけになった。


美麗は立ち上がり柵に寄りかかり正門の方に目を向けた。ゲームでは主人公は初登校の朝、桜の木の下でとある攻略対象と出会うのだ。


(そろそろ…かな、あっ、ビンゴ)


舞台は擬似日本なので日本人としては明るめのサラサラ髪の毛をなびかせながら桜の木を見上げながら歩いてくる美少女が見えた。そして少女の真正面からこれまた目を引くイケメンが手元のスマホを見ながら歩いてきている。そして


(はい。ぶつかった)


その瞬間を見届けると美麗はさっさと屋上から出て鍵をかけ静かな階段を降りていった。


ゲーム(勝負)の始まりである。

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