<19>冬休み 2
こんばんは
「叶野、おやすみ...」
「ん、おやすみ」
何事もなくただただ楽しい時間を過ごし、残るは帰るだけである。今、部屋には美麗と叶野しかいない。莉栗と叉紗は未だに温泉に入っているらしい。普段ならまだ寝る時間ではないが今日は一日中山登りをしたので疲労が溜まっていて美麗は眠気に勝てそうになかった。よって抗わずに大人しく寝ることにした。
「おーい、みれーい」
(寝るの早、)
おやすみの挨拶から10分後、叶野は本から顔を上げて気持ち良さそうに眠る美麗に声をかけた。
部屋に戻ってきたのは叶野の方が先だった。元々、烏の行水でしかも熱いお風呂が苦手というのもあり、莉栗達が体を洗い終わる頃には風呂を出た。同時に浴室に入ったのにも関わらず。叉紗は苦手な事を知っているから先にでる、と言って莉栗が驚いても『了解~』で終わった。
「風邪引くよ」
美麗の片足が布団から這い出てきたので叶野は開いていた本を閉じて自分のベッドから降り、ずれた美麗の布団をかけ直した。この3日で分かったのは美麗が少し寝相がよくないということだ。落ちることはないが布団が落ちていることはよくある。
「なぁ、美麗って本当に年上?」
こんなに警戒心がなくて大丈夫か?まぁ、美麗からしたら俺達なんて年下の男友達で、弟みたいなものなのだろうが。俺自身は表情がコロコロ変わる美麗を見て楽しんでるって感じ。いや、どんな感じだよ、と突っ込みたいヤツもいるかもだけどホントに形容しがたいんだよな。
叶野は美麗の枕元で頬杖をつき、寝顔を観察しながら再度溜め息をついた。ちょうどその時、部屋の扉が開き二人が帰ってきた。
「ただいま~」
「遅くなりました...って、二人っきり!?離れてください」
「ハイハイ」
入って早々に莉栗は叶野にそう言うと急いで美麗に近寄り相手が寝ていることにも関わらず必死に美麗に話しかけ始めた。叶野は両手を挙げて降参ポーズ。叉紗はニマニマしている。
「レイ、何にもなかったよね!?って、寝てる...」
「さっき寝たところです。布団が落ちたので、かけ直していただけです」
(この人も大変だな)
俺が思うに莉栗さんは美麗のことを好きだと思う。それが家族だからかそれとも恋愛的なのかは定かではないが...。端から見たらすぐに分かるのにこうも意中の相手にその思いが素直に伝わっていないのはかわいそうにも思える。
叶野は自分のベッドに戻りながら莉栗を見てそう思った。入った布団は思いの外、温かく、急に睡魔が襲ってきた。
(ねむ、)
「あっ、叶野が寝た~」
「ほんとだ。寝てればただの可愛い後輩なのに」
「可愛いって、何か気持ち悪いですね」
莉栗の独り言に叉紗が笑顔でそう呟いた。
「叉紗君、今何て言った?」
「いえ?何でもないですよ」
少し声が大きくなったのだろう。ふたりの声が耳に届いたのか美麗がガバッと上体を起こし少し不機嫌な顔で一言放った。
「ふたりともうるさい」
「「ごめんなさい。」」
その言葉を聞いて、美麗はひとつ頷き満足したのか、また夢の世界へ旅立って行った。またも残された二人は顔を見合わせた。
「僕たちも寝ようか」
「そうですね、」
おやすみ、残された男二人は互いにそう声を掛け合い眠りについた。
お久しぶりで(/_;)/~~




