<4>お前、めんどくさい
こんばんはー
「あーめんどくさい。」
足を組みながらアクビをしてそう吐き捨てたのは美麗の隣に座った男子生徒だった。制服の着こなしからしても素行が悪そうである。しかし、誰もこちらを見ない。いや、気になるけれど見ようとはしない、という表現の方が正しいらしい。
大体こういう奴は私の人生に大きく関わってくる厄介者の可能性が高いのだ。
(たょっとだけ...)
そう思って美麗は前で喋っている報道委員そっちのけで『いかに相手にバレずに顔を盗み見するか選手権』を開催していた。脳内では運動会でお馴染みのあの曲が流れている。
「ねむ」
(今がチャンスでは...!)
「目標発見。ホシは眠い様子。今がチャンスであります!司令官、命令を。」
「うむ。作戦番号1002の決行を命じる!」
「アイアイサー!!」
以上、美麗の心劇場でした~。さて、素晴らしい演劇が幕を閉じたことですし...!
(司令官、私やります!)
美麗は気持ちを整理して呼吸も整える。そして、まるで錆び付いたロボットが首を無理に動かそうとしているかのようなぎこちなさで隣の男子生徒の方を見る。
「なに?」
(目があってしまった...)
いやちょい待ちー!!お前眠いって言ったやん。こっち見るんじゃなくて目をつぶっといてよー。しかもイケメンだと?さらに危険性が高まったじゃないか!でもゲームでは見たこと無いけど。
「ん?何でもない。」
あくまでも、しらを切る。持論だけどこれ最強。
「お前も俺狙いなわけ?」
(は?)
「がちでめんどくさい。言っとくけど俺にゴマすっても意味無いから」
そう言うと男子生徒は背もたれにもたれ掛かり気だるげな様子で前を向いた。どうやら話すことはこれ以上無いとしたらしい。しかしこの行動は美麗の火に油を注ぎ込んだ。
(イヤ、こいつなに言ってんの?そもそもお前誰だよ。勝手に人のこと決めつけて何様のつもり?)
「お前こそめんどくさい...」
口から自然にこぼれ落ちた言葉を聞き取ったのだろうか。その瞬間、先ほどまでの閉じてんのか開いてんのか分からなかった目が見事に見開かれた。
しかし発言した当の本人は怒りから隣を見ることはなかった。その上聞く耳も持っていなかった。
「カッコいい...」
その言葉を。
スミマセン。昨日忘れてました...。




