<13>心休まらない春休み③
こんばんはー
昨日が7の倍数でしたね...遅れてごめんなさい\(_ _)
「どこに?」
「何度でも言うよ。烏野家全員でうちに招待するってこと!」
「急に何故?」
「今の時期ちょうど、どこも旅行シーズンだから家が忙しいんだよね。だから家の手伝いが必要なんだけど美麗とも遊びに行きたいんだよ。」
「で、その二つを両立する方法として私たち家族がそちらの家に行けば解決する、ということ?」
「そいうこと~」
う~ん、どうしよう。急に言われてもな...しかも行くとしたら春休み終わるまでそんなに日にちがないからすぐに行かなきゃならないんだよな。
(どうしよー)
顎に手を当てて真剣に考える美麗を見て後少し押せば承諾を貰えると踏んだ二人はもともと決めていた提案を持ち出した。
「来てくれたら美味しい料理と温泉には入れるぞ。しかも卓球もでき...」
「行きます!行かせてください!!」
叶野が提案を言い切る前に食い気味に美麗が右手を勢いよく挙げた。
「じゃぁ決まりね。」
そういうと叉沙が席を立ち、何かをしに廊下に出ていった。そうすると必然的に叶野と二人っきりになる。気まずい空気は美麗とて好きではない。どう話しかけようか、話しかける切り口を脳内で模索していると叉沙が美麗より先に口を開いた。
「美麗、学園楽しい?」
「うーん?まぁ、それなりに楽しいよ!」
「そっか。これ食べていい?」
「もちろん!ちなみにこれ、お気に入り~。」
美麗は今自分が持っている焼き菓子を見せる。それのお菓子は食感がサクサクでバター味。まさにこれがシンプルisベスト!
「そうなのか。俺も食べようかな、」
そうは言ったがそのお菓子が皿の上から消えていることが分かった。なぜなら
「無いんだけど..?」
「うそー?」
(本当だ)
今私が手に持っているお菓子が最後だと叶野に言われて気がついたからだ。勧めておいてこれは自分がやられたら嫌なことをした。だから
「これあげる。」
「いいの?美麗、食べたかったんじゃない?」
「いいの、1枚は食べたから!」
(本当は食べたかったけど...しょうがない)
「なら半分こしない?」
美麗のの少し残念そうなオーラを感じ取ったのか叉沙がそんな提案をしてきた。もちろん
「やったー!!」
飛び付かないわけがない。小さいお菓子を叶野が手で割って半分を渡してくる...と思ったら口にその半分を押し込んできた。
「んっ!」
「美味しい?」
「うん...」
普通に手渡しすればいいのに。やられたら...。しかも満足そうな顔。ちょっとムカつく。
私のことを見てから自分も口に運ぶ。そして素朴な甘さを満足そうな顔で噛み締めている。
そんな姿を見ながら何で叶野がしてきたのかを考えてみる。考えると様々な理由が思い付く。が、
(そうか!)
ひとつの答えにたどり着いた。信用できなかったのだ。私が二人のせいで機嫌がよろしくなかったことが伝わっていたのだろう。だから私が腹いせに美味しくもないお菓子を勧めた、と疑ったのだ。だから毒味として私を使ったのかもしれない。手渡しをしなかったのは相手が食べないと言う選択肢を選べないようにするため。そう考えれば納得だ。ウンウン。
そうこう考えていると急に部屋の温度が下がった気がした。何が起きたのかとドアの方を振り向くと廊下から戻ってきた叉沙が私たちをいつもよりも完璧な笑顔で見ていた。そして目線が一瞬絡み合い沈黙が生まれる。しかし実際は時間で言えば3秒にも満たない。叉沙が先に視線をそらし口を開く。
「許可取れたよ~。」
「おぉ、叉沙ありがと。」
「えっと、なんの許可?」
「「烏野家がうちに来る許可。」」
「そっ、そうなんだ...仕事早いね。」
「まぁね」
ここまで話して叉沙がまだ立ったままであったことに美麗は気がついた。
「叉沙も座って一緒にお菓子食べない?」
「うん、ありがとう。」
その返事を聞いてから美麗は叉沙のためにお菓子を別皿へ分ける。その間に着席するだろう。そう思っていた。しかし目の前には未だに叶野の姿しか捉えられない。その代わりに美麗の座っていたソファーの右側が沈んだ。
「どうしたの?」
「ん?こっちにする。気分転換も必要でしょ!」
(そういうものなの...か?)
「そっか」
なんとなく腑に落ちないが頷くとなぜか少し怒っている叶野が口を開いた。叉沙の隣を私に取られたから不服なのだろうか?でもこちとら不可抗力だ。隣を奪ったなんてことは全力で否定させてもらいたい。
「叉沙、こっちこいよ」
「えー、美麗が許してくれたんだしいいでしょ。ね?美麗!」
「まぁ、別にいいけど」
「じゃぁいいってことで!お菓子食べようー!!」
つい勢いで返事をしてしまった。でもまぁ初めは戸惑ったけど美味しそうに口の中をお菓子でいっぱいにして食べる姿を見たら何だか小動物みたいに思えてきた。ちなみにリスとか?そんな感じ。ペットだと思えば問題はない。しかしまぁ、未就学児だと言う事実はなんとも受け入れがたい。ここまで手際がいいとは.. 。恐ろしやー。
そんなことを思いながら幸せそうな叉沙を見ていると突然、思い出したかのようにこちらの方に顔を向けてきた。
「あっ、そうだ!僕たちの家に来るの夏休みになったからよろしくね~」
「...」
これまた突然すぎる。やることが予測できないわー。
結局その日は少しジト目でこちらを見てくる叶野と幸せそうに頬張る叉沙とお菓子を食べて一日を終えたのだった。




