<5>不機嫌なのなぁぜなぁぜ?
メリークリスマス!サンタでーす。
ただいまの時刻午前7時30分。
「そろそろ行かないと莉栗が何か言ってくるわよ?」
「あっ!本当だ!ありがとうお母様。行ってきます!」
「急ぎすぎて転ばないようにしなさいね~。いっつも何かしらやらかすんだから。」
「ハイ、気を付けます。」
少し小走りで莉栗が待つ車へと急ぐ。何てったって今日は決戦の日。そう!校外学習です。もちろんこの日のために色々は準備してきましたよ~。友達に配れるよう沢山のお菓子といざって時用の救急セット!小さなおしゃれバックには友達作りに役に立ちそうなグッズが沢山入っています。この子達が役に立つ時がくるように頑張らなければ。
「お待たせ~。」
「遅いよ。早く僕のとなりに乗って。」
「ウゥ...ゴメン。」
大人しく莉栗に座るために車に乗り込む。ここまではいつも通り。でもね...
「別にそこまで待ってもないから大丈夫だけど。」
「そう。じゃぁ何でいつもより不機嫌なのよ!」
「それはレイには関係ない。ほら何ともないから安心して!」
莉栗はここ一週間なぜか刺々しい。言葉も行動も。しかし本人はばれてないと思ってるらしい。取り繕ってるつもりなのだろう。だって表情だけならいつもと変わらないから。
(でもね、甘いな。一緒に毎日過ごしてるんだぞ。)
「ホントに...?本当に何もないの?」
「車出してください。」
(いやいや、なぜなにも言わない?分からない...。)
運転手が莉栗の声を発車の合図に反応した。
「承知いたしました。」
車が学園に向けて走り出す。軽快に走る車とは逆にその車内は今、美麗が過ごした中で一番重い空気が漂っていた。
顔は何ともない感じなのに纏う空気が不機嫌そのものの莉栗。一体何が莉栗をこんなにも不機嫌にさせているのか原因に考えを馳せる美麗。そしてなんだかよく分からないが後部座席に乗っている二人に話し掛けてはいけないということだけを察し、緊張の汗を人知れず流している運転手。
きっと世界の人々が『この車に乗ってください。』と言われたら『イヤだ...。』と反射的に思うだろう。
この車、世界一乗り込みたくない車だと思う。その車は静かに美麗の今日の戦いの場へと向かっている。




