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  作者: 劉水明
9/12

9話

男は揺さぶるのを嫌がるように僕の手を払おうとした。


「おい、あんた起きろよ。」

「今日は休みだろ、、寝かせてくれ・・・。」

寝ぼけてるその姿を見て更に激しく揺さぶった。


「もぅ、なんだょ。」

呑気なもんだ。この男の日常はこんな日々なんだろう。僕も大して差はないか。


「ななんだょ。お前達は?!俺の家に勝手に入ってきたのか?!」

間の抜けた声で男は言った。


「周りを見てみろよ。」

僕は呆れたように言った。

「ここはどこなんだ?お前達が連れてきたのか?」

「俺達も知りたいくらいだよ。この場所に連れてこられたのはあんただけじゃないさ。」

「そうか、すまない。取り乱してしまったね。私の名前は瀧澤直樹。31歳プログラマーをやっている。」

「僕は鈴木雄馬、彼女は佐藤沙紀、あの坊主頭が山本蓮。みんな高校生さ。よろしく。」


そして、僕は直樹さんにこれまでの事を話した。

死んだ人が消えたこと。例の壁に書いてあった文字について。


『壁ヲ越エレバ道ハアル』

『壁ハイツモソコニアル』


『14番目の

虚数で

得るのは?』


「そうか、そんな事が。ここはなんだろうな。」

直樹さんは僕に言った。


「僕達もさっぱりわからないです。こんなに広い施設があるなんて聞いた事もないですからね。」


「それにしても、壁をよじ登れば帰れるんじゃないか?」

「壁を見ていたんですが、壁の半分地点から剥き出しのレンガがあまり見えないので、上に行くほど厳しくなるのかも知れません。失敗したら僕が見た人のようになるんじゃないかと。そう考えると登るのは最後の手段だと思ってしまうんです。」


「そうか。なら、文字の意味を解読していくのが良さそうだね。文字が書いてあるって事は何か意味があるんだろうな。その二つ目の文字、Figかもって言ってたけど、何かひっかかるね14が。」

「14?」

「単純に英語ならFなんだろうが、違う形に変換できるんじゃないかな。」

「例えば?」

「そうだね。情報関係の試験なんかで10進数を16進数に変える方法が。10はA、11はBだとすると12がC

なら14はEか。」

「EIG?そんな単語知らないわね。」

沙紀が首を傾げた。

「じゃあ、虚数にも意味があるんじゃないか?」

蓮が普段出すことのない言葉を発していた。


虚数か、虚数は√-1だったな。iの二乗で-1か。

思いついた言葉の意味を僕は沙紀に聞いた。


「沙紀さん、digはなんか意味ある?」

「えっとね。掘るって意味があるわ。どうして?」

「単純に14から1引いたのさ。13になるだろ。これを16進数変換するとD。だからDIGさ。これが正解とは限らないが、掘るっていうのは盲点だったね。」


「なら、掘るか?」

出番がきたとばかりに蓮が腕をまくった。


堀り始めそうな蓮の動きを止めるように僕は話した。

「他に考えが思いつかないなら壁の下を掘るしかないか。直樹さんはどう思います?」


「こういう謎解きは苦手だからね。他に思いつかない以上掘るしかないかもね。」


みんな何かにすがる様に頷いた。

間違いでもやるしかない。今は。


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