10話
掘る順番を決めて僕らは掘ることにした。
蓮が一番に名乗りを挙げて堀り始めた。
土はそこまで硬くはないようだが、なかなか
進まない。
スコップがあればすぐに1mくらい掘れるが、手だと倍以上かかる。
しかも、頑丈な蓮でも爪の色が紫に変わるくらい大変な作業だ。
蓮は我慢しながら黙々と掘っている。
僕が代わろうか?と言っても代わろうとしなかった。
蓮はこういう奴だ。口は悪いがいつもみんなに代わって損な役回りを買って出る。
低学年の頃は、わがままな奴だったけど、両親が離婚して父親に引き取られてからは変わった。
蓮なりに何か思う所があったんだろう。
僕はその事について話したことはなかった。
話そうとはしたが、僕の性格が邪魔して一度も話す事はできなかった。
そういえば、僕はその頃からこいつと仲がよくなった気がする。
口喧嘩はいつもの事だけど、殴り合うなんて事は一度もない。
僕は彼を実は尊敬していたのかも知れない。勉強ができるわけでもないし、乱暴な所もある。でも、いつだってみんなの事を考えて行動していた。
自分がどんなに傷ついてもいつも前に出ていた。
僕の友達でも蓮は特別なのかも知れない。
まあ、そんな事言えばこいつは天狗になるから言う事はないけど。
そんな事を考えていたが、流石に蓮が辛そうになってきたので蓮を無理やり引っ張り交代した。
「なんだよ。まだ掘れるぜ。」
「おまえいい格好するなよ。女の子の前だからって。」
「あー?」
蓮は少し怒り気味に言った。
「まあまあ、蓮くんも少し疲れたでしょ。雄馬に代わってあげなよ。雄馬も格好つけたいのよ。」
と沙紀さんは蓮の手をさり気なく見て言った。
僕はその言葉に頷き、黒い服を手に巻きつけて掘り始めた。




