プロローグ
「・・・現在のフェイスレベルは4ですよね?」
空は雲ひとつない晴天で、外ではセミたちがうるさく鳴いている。
今日は遠足だったのだろうか診察室の窓からは園児たちが2列に並んで
仲良く歩いてる姿が見れた。
そんな園児たちの笑顔とは裏腹に僕の表情は険しいものだった。
頬に汗がつたわってきた。
暑いわけではない。室内ではクーラーが効いていてむしろ寒さを感じるほどだ。
「はい。3年前の診察結果はレベル4でした」
僕はそう答えると窓ごしに見える園児たちに目をむけた。
その行列の最後尾から少し離れたところにもう一つ園児たちの行列があった
別の組の園児たちである。恐らくあの組が最後尾であろう。
「そうですか。では、これからはレベル3ということになりますので」
そう言うと、僕にカードと覆面を差し出してきた。
僕はそれらを受け取り、覆面をつけた後、一礼して診察室を出た。
「今日からレベル3か・・・」
受け取ったカードをみながら僕はそうつぶやいた。
外に出ると園児たちの行列は診察所から遠く離れたほうまで行ってしまっていた。
やはりあの組が最後尾なんだなと思いながら僕は遠くにいる園児たちの行列を眺めていた。
前のほうの組の園児たちとは違い、
最後尾の組の園児たちは無邪気な笑顔を見せることはない。
当たり前だ。なんたって彼らの顔は僕と同じく覆面で隠されているのだから。