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文久2年


「タイムトラベルは、楽し♪メトロポリタンミュージアム♪大好きな、廊の中に、閉じ込められた♪」

『楽しそうだね。』

「楽しい事あるかーーー!!」


牢屋の前で、ちょんまげ頭の男の人が立っていた。男は肩の痣を見せた。蝶のマークだ。

「キキ!ここどこ?まだ全然異世界だよね?」

今度こそ魔法使える?使えるかな?

『ここは……幕末みたいだよ』


幕末……?うわぁ~私が歴女ならウハウハなんだろうけど………幕末って言われても全然わかんない。

「ペリー来航とか?」

『幕末は幕末だけど、ペリーは10年近く前に来てる』


キキは牢屋の外で、ずっと後ろを向いて立っていた。ここの牢屋番なのかな?

「じゃあ、ザ……ザ……あの、ほら、ハゲで有名な……ザがつく、ザ…ザンギエフ?ザンギエフは?」

『それ、あと120年後。』

全然幕末じゃないか……。


『そもそも、ザンギエフは歴史上の人物じゃないからね?ララが言いたいのは、ザビエルじゃないの?』

「え……そうだっけ?あ、うん!そう!そう!それ!」

ザビエルって……あの、ハゲに会えたとしても、全然嬉しくないな~。基本的に歴史上の人物どれ見ても、リアルにイケメンっていないと思う……。


結局、相変わらず、異世界ってほどの異世界でもなくて、当たり前に魔法は使えないし、ログインボーナスもないって訳ね。


「ねえ、キキ、早くここから出してよ。」

「そこのお前!何話してる!」

もう1人の牢屋番に気づかれた。

「だって………」

私、何もしてない。転生前はわからないけど……今の私は何もしてない。


「この男に何を言っても無駄だ。こいつには何も聞こえん。」

知ってるよ。でも、私の声は聞こえる。

『ねぇ、キキ、私、転生してこのまま裁かれて殺されちゃうの?』

『僕にもわからない。』


『そもそも、転生前の私って、何やらかしたの?』

気がつけば、髪も着物もぐちゃぐちゃだ……直しようにも、どうやって直せばいいのかわからない。

『心中だよ。今同心が調べてる。』

心中……?心中って……自殺だよね?


『それの何がいけないの?』

『江戸時代、男女の心中は重罪だよ。』

え……えーーーーーー!!!!

『彼氏いたんだ!!』

『あ、そっち?』


そんな事を話していると、黒い着物を着た男の人がやって来て、牢屋の前でしゃがんで言った。

「さて、おめぇさんの言い分を聞こうじゃあねぇか!」

え?ギャグですか?マジですか?


時代劇はあんまり見ないけど………何となくわかる。このおじさん、お役人さん?私の言い分って…………この状況で何を話せばいいの?

「あの~え~っと……覚えてません。」

「なぁ~にぃ~?覚えてねぇだとぉ~?シラぁ切る気か?」

いちいち濃いなぁ~この人……。江戸時代の人って、みんなこんな感じ?


もう1人男の人が来ると、私は牢屋から外に出された。

「出ろ。」

後ろで組んだ腕を、縄で縛られた。どこに連れて行かれるんだろう……。


『キキ、いる?』

『いるよ。』

後ろを振り返ると、ちゃんとキキもついて来ていた。お屋敷の庭?みたいな所に、同じく縄で縛られたボロボロの男の人が、藁の敷物に座っていた。あの人、大丈夫なのかな?怪我もしてるし……でも……

「誰?」

思わずそう口に出して言ってしまった。


「お清!」

「お清ぉ?!」

私は周りを見回した。あ、私以外あり得ないか。

「えーと、あの~……どちら様でしょうか?」

「俺の事……忘れちまったのか?!」

忘れたも何も……そもそも知らないし……。


「ひでぇ女だ……」

男の人が泣き始めると、周りが私の事を見る目が変わった。えぇえええ……私が悪者?


「あの、ご免なさい。本当に……覚えが無くて……」

「まぁ、そうゆう事だ。気を落とすな。すぐ放してやるから。」

放す……?

「ダメ!!」

全員の動きが一瞬止まった。どうして……?私今ダメって……私の何がそうさせる?


「駄目とは?どうゆう事だい?」

わからない。わからないけど……この人は離しちゃいけないような……ふと、縄で縛られた男の人は、こっちを凄い顔で睨んでいた。


「わからないけど……とにかく……とにかくこの人は放しちゃ駄目なの!!」


どうしてこうゆう時に記憶がないの!?もう!!


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