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天保5年


目が覚めると、山里が見渡せる丘にいた。ここは……どこ?隣にいたはずの彼がいない。彼はどこ?


「ねえや、そろそろ帰ろう。」

「え?」

小さな女の子に、話しかけられた。その女の子はボロボロの着物を来ていた。何かの……撮影?


「栗、少しだけど、見つかって良かったね。」

背中に背負ったかごが少し重かった。女の子は目が合うと、こっちに笑顔を向けた。……可愛い。


私には兄弟がいなかったから、こんな妹が欲しかった。ここは……どこなんだろう?日本だとは思うけど、突然映画の撮影のエキストラにでもなってるのかな?


その女の子に連れられ、山を降りた。人里に降りると、そこは、何軒もの昔の家と、畑、田んぼが広がっていた。


一軒の小屋のような家の前で女の子が言った。

「どうしたの?入らないの?」

「ボロ……」

「ボロとは何だ!!」

後ろから、見知らぬおじさんがやって来て、怒鳴られた。


「山行ってから、ねぇやの様子がおかしいんだ。おっか~!」

おっかぁって……昔?田舎?私は笑いそうになって、手で口を押さえた。私が小屋の前で笑いをこらえていると、お腹の大きな女の人が家の中から出て来た。

「どうした?キヨ?」

き、キヨ?……それ、私?役名?


「撮影クルーは?この撮影何時終了ですか?」

みんなの顔が、変な物を見た様な顔に変わっていく。


大きなお腹の女の人が言った。

「キヨ、大丈夫か?」

え………大丈夫って、どうゆう事?まるで、私の方がおかしいみたいな雰囲気……。


「どうしたの?」

気がつくと、後ろには、中学生くらいの男の子が立っていた。

「え?誰?」

「僕だよ。キキだよ。」

その声は、どこから声が聞こえて来るのかわからなかった。どこ?

「頭の中。僕は君の声意外は聞こえないんだ。」

「え!待って?それって……テレパシー?」


私が驚いていたら、隣の小さな女の子が私の顔をまじまじと見て言った。

「ねぇや、誰と話してるの……?」

「え?誰って……」

「にぃやは耳が聞こえないんだよ」

聞こえない……?にぃやって、この子の事?キキは首の蝶の痣を私に見せた。あ、僕がわかるはず。って……こうゆう意味だったんだ。


『本当に……テレパシー?うわ~!楽しい~!キキ~!キキ~!』

私は頭の中でキキを呼んでみた。

『楽しそうだね。』

キキは呆れながらも答えてくれた。新しい機能は使いたくなる。それが人間というものよ?


『ここはどこ?』

『昔の日本。天保5年。わかる?』

『わかんない。』

歴史は苦手。テンポーとか言われても、プリンセス天功しか思いつかない。


『私、キヨって言われたんだけど……どうゆう事?』

『ララの過去の記憶だよ。』

過去の……記憶?もしかして……私、とうとう………転生しちゃった?!やった~!やったぜ!!とうとうやってやったぜ!第2の人生!やり直すぞ~!

『何喜んでるの?』

『え?何でもない。こっちの事。』


その後、家族でご飯を食べた。出て来たご飯に驚いた。何かのお粥みたいな食べ物……

『キキ~!キキ~!何これ?動物の餌?』

『あわのお粥だよ。』

でも、お腹が空いていて、こんな物でも、ないよりマシだった……。レベル1の私には、これくらいが妥当なのかな……?そっか……。母さんの料理、出来合いのものばっかりで、下手くそだったけど……こんな動物のご飯みたいなのより、数百倍マシだ。


私が転生した所は、とんでもない所だった。5人兄弟の8人家族。8人が6畳くらいのスペースに寝てる。妹や弟はガリガリで、服もボロボロ……

『キキ、どうしてこんな所に転生させたの?』

『え?』

『あ!わかった!昔の方が大変だろう?元の世界には戻りたいだろう?そう言わせたい訳ね~!なるほど!はいはい。わかったわかった。もう帰りたいで~す。もう、勘弁。コンビニもゲーセンも、カラオケボックスも雑貨屋もないなんて、もう1分だっていたくないよ。』

まあ、どうせ明日起きたら、戻ってるよね。そうして私は眠りについた。


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