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連れて行かれる

16


私がキキの事を考えて川を眺めていると、いつの間にか安西はいなくなっていた。その代わり、遠くから軍服姿の男の人がやって来た。何だかボロボロ……キキ?キキなの?


「清……」

キヨと呼ぶという事は……キキじゃない。男の人は涙を流しながら、私を強く抱きしめた。どうしよう……もしかして、この人、戦争から帰って来た人?多分きっと、この時代の私の旦那さんなんだ……。本当の事は言えない……ここで、記憶がないなんて………この状況では絶対に言えない。


男の子の人に抱きしめられて、また思い出した。


その日、星野君は珍しく私の前に来て、何かを、言いたそうにしていた。何を話したいんだろう?


「もし僕の国が負けたら………」

は?また……唐突に……。

「もし国が負けたら、自由を得る喜びもあり、先の不安もある。」

何の話か……全然……意味わかんないんだけど……。

「星野君、誰と戦争してるの?」

「戦争してるのは僕の上層部。僕は情勢を見守るしかない。」

ごめん星野君、何が言いたいのか、意図が全く読めない…。

「だから、今後………吉沢さんのクッキーがいいという、理想は捨てなければならないかもしれない。」

は?理想を、捨てる?何故?


『ララ!あの男は?』

『え?』

安西さんのこと?そういえば、どこかへ行ったままだ。


「隼人!」

男の人が私の後ろの方を呼んだ。私が後ろを振り返ると、ふくらはぎに蝶の痣がある。キキだ……。男の子は黙って男の人に抱きついた。せっかくの感動シーンなのに、私に記憶がないなんて……でも、親子の再会を見ていると、少し目がうるんだ。


『仕方がないよ。すぐに思い出せる訳ないよ。凄く昔の事なんだから。』

『それより……キキ!どうゆうつもり?今までの事、説明してもらおうか?』

『え……えっと、今……お父さんとの再会に忙しいから。じゃ!』

じゃ!じゃないよ!私はしばらく、母親らしく親子を見つめていた。家族の再会。特別な時間が流れた。


すると、突然、後ろから誰かに口を塞がれて、目眩がした。意識を失う直前、安西さんが見えた。安西…………さん?

『ララ!?ダメだ!!』

キキ……!ダメだって言われても………………どうすればいいの?どうにかするなんて、そんなの…………私には無理だよ!!


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