不自由な時間旅行
15
話を聞くと、安西さん平成13年から来た比較的現代に近い人だった。
「あははは!君、それ、からかわれてるんだよ!星を繋ぐなんて、時の旅人にはそんなもの必要ないよ。」
「ちょっとキキ~!」
『ララ!!どこ?』
川にいるとか絶対教えてやんね~。勝手に繋ぐな~!とか、ペンがない~!とか、散々騒ぎやがって!あれは私の反応見て楽しんでたって訳ね。
「キキのやつ……あのやろ~!」
『ダメだよ!ララ!時の旅人について行っちゃダメだ!!』
何言ってんだか。自分も時の旅人のクセして。
「そうだ!戦後の何もない時代じゃなくて、俺ともっと違う時代に行こうよ!」
『ララ!聞いてる?ダメだ!絶対ダメだよ!!』
『はいはい、別にキキを置いて安西さんについて行くつもりありません~。』
私はとりあえず安西さんの後について川のほとりを歩いた。安西さんは一見チャラいけど、普通の現代人って感じ。何だか懐かしいなぁ~この格好。普通にTシャツと短パンにチェックのシャツを羽織ってるだけだけど……なんか昭和では……いい意味で浮いてる。
安西さんを見て、私はまた星野君の事を思い出した。
「星野君、クッキー食べる?」
「……うん、いただこう。」
昨日夜更かしして焼いた。なんの変哲もない、小麦粉を使ったただの普通のクッキー。
見た目はこの前の女子のクッキーと変わらないのに……星野君は普通にクッキーを食べながら私に訊いた。
「吉沢さんは何故いつも僕に話かけて来るんだ?」
えーと、塾で他に話す人がいないからです。とは言えず……代わりに高橋君が答えた。
「バカだな~星野、吉沢は星野の事が好きだからだろ~?」
はぁ?バカか?バカなのか?バカはお前だ高橋!!
「いや、星野君は成績いいから、お喋りが邪魔にならないかな?と思って……」
「正直に言おう。邪魔にはなっていないが、迷惑にはなっている。」
あ……うん、そうだよね。
「……ごめん。」
「謝る事はない。承知の上だ。」
あ、そう。
またしょうもない記憶……星野君の事思い出して、いつもへこんでる。いい加減やめたいな……。
二人で川のほとり歩いていると、訊いてもいないのに、安西さんは、自分の事を話始めた。
「僕、失敗しちゃって。まぁ、時の旅人は大体が失敗しちゃった人がなるんだけどね。」
キキも、何か失敗したのかな……?
「本当は平成7年に行きたいんだけど……なかなか難しいね。」
「え、だって、時の旅人は自由に時間旅行できるんでしょ?そうじゃないの?」
写真集とペンが関係ないって事は薄々気づいてたけど……行く時代は選べるんじゃないの?
「過去には行けるけど、ピンポイントに行きたい場所や時代に行く事はできないんだよ。そして、その時代の人間とは決して話ができない。」
そうなんだ。詳しいシステムはわからないけど、自由な旅ではないんだ………。
「キキは私の記憶だって言ってたけど……どうゆう事?」
「ああ、君は時の旅人じゃないから。前世の記憶を元に前世の所へ行くんだよ。君の連れは、君について時間旅行してるんだね。」
キキが私について来てる……?
「そうじゃなきゃ戦争に負けて、情勢が不安定な所に来るか?」
「確かに………」
今までキキに文句言ってたけど……キキが選んでたんじゃないんだ……。




