歌ってよ
13
………もう、もう……………………
「バルス!!」
星野君の事を思い出してモヤモヤした私は、大きな声で一応唱えてみた。タイミング良くキキがコケた。
『あいてててて……。』
ああ~!キキおじいちゃんなんだから……!体がバルスしちゃうよ!?
「大丈夫~?」
『大丈夫大丈夫。まだ少し揺れるね……』
そうだった………この時代、もう既にバルスしちゃってたんだ………。
『僕、手が震えて星が繋げないよぉ~!』
『じゃ、私がやる。写真集貸して。』
キキは黙って下を向いた。確かに………本当に私ができる………?最初、どこに行ったのかわからないのに……。何も知らないのに…。
じゃあ、だったら、私が誰かと知り合えば………ここで誰かと関われば………!
私は辺りを見回すと、人を呼ぶ声や泣き声で溢れていた。私はキキと像の近くに座り込みながら、頭を抱えた。私は座りながら、ただ、ただ………地震の凄惨さから目をそらした。
だってもう、死んだ人は見たくない。だって………こんなの………歴史の教科書にあった?これは、本当じゃないもん。私は、すぐに現代に帰るんだもん。だって…………だって…………私は無力だから。ここにいても何もできない。瓦礫をどかせる怪力もないし、傷を癒せる呪文もない。
『ララ、歌ってよ。』
え………?キキが突然言った。
『だって………私、特に歌が上手い訳じゃないよ?』
『いいんだ。何でもいいから、声が聞きたいんだよ。』
キキは、私にしわくちゃな笑顔を向けて言った。
『ララは生きてるって、確認していたいんだよ。』
まるで、おじいちゃんに言われたみたい。
私は立ち上がって、歌う事を決心した。何もできない私が、今できる事を、今やろう。全然上手くもない。でも、それで星を繋げるなら………一生懸命やるだけだ。
こんなに大きな声で童謡歌った事ある?ないよ!羞恥プレイか!
…………でも、しばらくすると、迷子の小さな女の子が少しだけ笑顔になった。




