地球滅亡の時に
12
『西郷隆盛像ってのがあるよ?』
西郷隆盛像……?
「すみません、西郷隆盛像ってどっちですか?」
私は道行く人に聞いた。おじさんはこう答えた。
「すまんね、ここのもんじゃないからわからないよ。」
「そう……ですか……。すみません。」
遠くで沢山の煙があがってるのが見えた。東京で震災っていつだっけ………?無理だ!入ってないものを出すなんてできっこない!
何度か、時間の旅をするうちに、わかった事がある。次の時代に行くと、前回の記憶はなくなる。少しずつ、元の時代の記憶が戻る度に、現代に近づいてる………気がする。このままどんどん記憶が戻って、いずれ元の時代に戻るのかな………。
あちこち人に聞いて、やっとたどり着いた。これが………西郷隆盛像!!これ………犬の散歩してるセレブなおじさんじゃん!なんか、紙いっぱい貼ってあるし。私もキキの名前貼っとこうかな?
『ララ!』
後ろから誰かに捕まれた。ヨロヨロのおじいさん………?
『僕だよ。キキだよ?』
『え?これがキキ?』
え……?なんか今にも倒れそうだけど、大丈夫?
『老人って大変なんだね~足も腰も痛くて、もう死にそうだよ~』
『その姿でそうゆう事言うのやめようか。』
今の姿でその冗談は、シャレにならない。
『大正時代って短いんじゃなかったっけ?グラフが狭いって思った記憶あるし。』
『与謝野晶子とか有名だね。』
『あ、それ、名前は女だけど実は男だったシリーズね?』
おのののかとか、岩倉友美とか、あと誰だっけ?
『何そのシリーズ。今僕は、目の前の現代人代表の学力の低さに引いてるよ……。』
『どうゆう意味?』
『あ!みはし!あーあ、こんな状況じゃなきゃ、ここのあんみつ食べたかったのにな。』
キキがお店の看板を見て言った。あんみつ………?
私はまた、塾帰りに星野君に引き止められて話をした時の事を思い出した。
「吉沢さん、良く考えたら、かき氷と、ソフトクリーム、どっちも食べればいい。」
「は?」
えーと、何の話ですか?
「谷中と中野なら、不可能な距離ではない。どちらかにずっといる必要はないし、地球が滅亡する前に、両方食べればいい。」
「……あははははは!!」
そういえば、そうゆう話したっけ。私は思わず爆笑した。
「確かに!でも、かき氷とソフトクリーム両方食べたら、お腹壊すよ?」
「地球の滅亡の時はトイレで迎える事になりそうだな。」
「あはははは!!」
星野君、一応気にしてくれてたのかな?
「そもそも、交通機関が麻痺していて、お店もやっているとは限らない。何かを食べに行く行為はそもそも不可能だと思う。」
うん……まあ、でもそれ、もしもの話だから。
「地球が滅亡する予定はないが、吉沢さんが嫌ではなければ、一緒に……みはしのあんみつを食べに行かないか?」
え…?ええっ!!………それって、デートのお誘い?
「ダメならいい。」
星野君はそう言って先に行こうとした。私は思わずシャツの腕の所を掴んで言った。
「待って!えっと……あの…………ついでに、パンダ……見てもいいなら……。」
でも、それは…………その約束は、果たされる事はなかった。なんだ………星野君のクセに、社交辞令かよ…。
地球滅亡の日に食べたい物……二人で見つけたかったな……。




