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喧嘩


『それ、誰?』


え…………?キキの声に現実に引き戻された。玄関には、小さな声男の子が立っていた。

「おかえりなさい。弟の修です。この子は耳が聞こえませんの。」


『やあ!キキ。ただいま。ちなみに今回の痣は背中に……。』

「えぇええええええ!!!!だって、この人腕に痣が……」

私はテンパって男の人の腕を見る。

「え?痣?ああ、これ絵の具ですよ?」

「じゃ、この人誰?」

「誰って……誰でしょう?」


は?何この人!天然なの?嘘~!私本当にナンパしてたよ!!人生初のリアルナンパ!!生まれて初めて~♪ナンパ~した~♪夢のよう♪って替え歌歌ってる場合じゃない!


「この辺りでよくお見かけしますわ。風景画を描かれてるんですか?」

「はい。」

お姉ちゃんが取り繕うように話始めた。

「私、山本セツと申します。」

「セツさん……名乗るのが遅くなってしまいすみません。井上と申します。」


井上さんはどこか病弱そうで、少し心配になった。井上さんは絵をお姉ちゃんに見せて楽しそうに話をしていた。お姉ちゃんと井上さん、いい感じ~!


『キキ、私達はお邪魔だからあっち行こうか。』

『え……。』

私とキキは別の部屋に移る。部屋に入るとすぐ、キキは怒った。

『だから、何でララは勝手に星を繋ぐんだよ!』

「は?別に写真集の星繋いだ覚えないけど?」

写真集はいつもキキが持っていて、私は絶対触らせてもらえない。


『無理やり人と人を繋げば、繋がるの!何であの人を家に連れて来たんだよ!』

「キキが迎えに来るのが遅いからでしょ?!だってキキと間違えて井上さんを連れて来ちゃったんだもん!だったら最初っから弟だって言ってよ!!」


間違えたなら仕方ないじゃん……それに、井上さんはお姉ちゃんの想い人だし。

『ララがもう少し慎重になれば済む問題だよね?もうやだよ!もうララには付き合いきれない!』

「私だって、キキのセンスのない時代チョイスにうんざりだよ!」

こいつ、ムカつく~!

「ふんっ!」

私はキキを残して部屋を出た。


あいつマジ腹立つわ~!異世界じゃなかったら裏アカで呟いてたとこだったわ。


玄関に行くと、お姉ちゃんは、ちょうど井上さんをお見送りしていた。井上さんの後ろ姿を見るお姉ちゃんの顔は、少し悲しそうだった。

「行っちゃったね。」

「そうね。もう、ここに来る事もないわね。」

「どうして?また遊びに来てもらえばいいのに!」

せっかく知り合ったのに……

「井上さん、家業を継ぐために結婚なさるそうよ。」

「え?誰と?」

「ご親戚の方ですって………。」

当然、お姉ちゃんとではない。…………じゃあ、私、結果的に余計な事した?


「そんな顔しないで。キヨが連れて来てくれたから、ちゃんとお話できた。お話聞けて良かったわ。ありがとう。」

「………。」

そうかもしれないけど………。

『ねぇ、キキ……。』

少しだけ……キキに謝ろうかな……。とか思ってみたのに……

『シカトかよ!!』


別にいいもん。ここは裕福だし、食べ物に困ってないし、夜だって街灯あって暗くないし。


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