表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/22

母との話





これは、母の話。僕の母は歌を歌うのが好きで、よく歌っていた。自由な人で、正に歌うように、人生を謳歌していた。


「パパとママはどうして出会ったの?」

幼い頃、そう訊いてみたら、

「星を繋いでもらったの。」

と、母はそう僕に答えた。

「星……?」

「そう、沢山の星の中から、パパとママの星を、キキが繋いでくれたの。」

幼いながら、キキって誰なんだろう?と思っていた。


この話を聞くまでは。


きっとこれは、母の作り話なんだと思う。だけど、それでも良かった。それでも僕は、この作り話が好きだ。


母さんは悲しい事があると、いつも空に話しかけていた。

「キキ、会いたいよ。あれからもう、何年経ったかな?大丈夫だよ。私は今もちゃんと、今を謳っているよ。」


僕の家は、幼い頃から犬を飼っていた。僕はコーギーのモモが大好きだった。モモが、小学校五年生の時に死んだ。


その時も、母は空を見上げて僕に言った。

「ママね、小さい頃、空の上には天国があるって思ってた。」

「空の上は宇宙だよ?」

「そうだね、大きくなって、実際はお空の上には宇宙があるんだって知った。宇宙の先には何万光年も離れた星があって、天国はその先にあるのかもしれないって思ったの。それって……とてつもなく遠いね。」

「遠い所に、モモはいるんだね。」

そして、いつも綺麗な歌声で、歌を歌ってくれた。


僕は、母の歌が好きだった。

「モモにも、もっと聞かせてあげたかったな。遠くのモモに、届くかな……?」

「届いてるよ。きっと。キキが、聞こえるって言ってたもん。」

「へぇ……そんなに遠くても聞こえるなんて、キキは耳がいいんだね。」


そんな会話をした覚えが少しだけある。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ