第四百二十三話 結界の見張り
晩がきており、ファイたちはボンの猫テージの結界の中にいた。
結界は不完全だが、強い攻撃をされない限り、侵入されないすぐれものだった。
モンスターでも相当な敵が出ない限り大丈夫だった。
ファイがずっと焚き木の前で座り込んで番をしていた。
ファイが立て肘をついた、そのときだった。
「ファイ、見張りの交代時間だ、次は我だ、ゆっくり寝ろ」
「へ、悠長に寝てられるか、俺も起きてるぜ、寝れねーんだ」
「おいどんたちもいるどんよ」「あたしも」
「私もです」
「エリュー、ボン、ニミュエもセイクさんについてきたのか」
エリューたちが、聞き耳を立て、セイクの後ろから出てきた。
他の者は猫テージで寝てるものと思われる。
エリューが何かを持ってきていた。
「晩御飯が残ってますから、猫テージの結界内で焚き木しながら、見張りしますか」
「かといって、ここなら、敵はいなかろうが」
「そうだな、安心していられるな、山頂だと木々も少ないし」
ファイの言葉を聞くとセイクが外を見上げた。
目の先には大きな岩があった。
「岩が多いな、岩壁か」
「なにかあれば、ニミュエ、頼むぜ、土仙針持ってるだろ、妖精の里でもらった」
「あるよ、任せといて」
いうと、ニミュエは自信あり気に、武器を取り出そうとした。
エリューが焼けた肉を頬張った。
顔がほころんでいる。
「このお肉おいしいですよ、串にさしてあるの」
「鶏肉か、それか、獣の肉だな、何かの」
ファイもそれを取ってむしゃぼっていた。
確かにおいしいのだ。だが、肉の味が何となく食べたことのあるような感じだったのだ。
「二千年先に来ると、我は全ての料理がおいしいように思える」
セイクがおいしそうに食べながら言った。
二千年前からこの世界にきているからだった。
料理もそれなりにおいしくなっているのだ。
ファイが感心したようにいった。
「だけどよ、カレーとかは同じじゃないか、肉も」
ファイがいたそのときだった。
「みなさん、起きてたんですか」
「よう、坊主」
「レギンのおっさんに、ライト先生も」
ファイがレギンたちに言い放った。
レギンは猫テージを指さしながら言った。
「この猫テージいいじゃねーか、結界があって、壁があり、ゆっくりしてられる」
「そうだな」
「ボン殿のアイテムも良きものがあるじゃないか」
「おいどんのアイテムを欠陥品ばかりみたいにいわないでほしいどん」
ライト先生がいった言葉に手を振り上げてボンはいった。
そして、ファイが言葉を紡いだ。
気になってたことをみんなにいったのだ。
「それにしてもモンスターの軍団て、どんなだ」
「魔族ドラントの事だ、軍を率いているといっていた。この地にいるものをかき集めてるのじゃないか」
レギンが疑心暗鬼にいった。
みな、一瞬考えこんだ。
「あり得るな、狡猾なやつがしそうなことだ」
「その軍団で、リュシエールを襲うつもりか」
「決行の時期はわからんが、きっと天使アスタルテがいってくるくらいだ、近いうちにするに違いない」
「手遅れにならなきゃいいが」
「罪もない市民が殺されるのは回避したいな」
「そうだ、ぜってぇ、俺たちが止める」
セイクとレギンの言葉に反応するようにファイは言った。
その言葉がみなに響いた。
レギンが感心し顔色を変え、口を開いた。
「その意気だ坊主、わしも手伝う」
「わたしも」「あたしも」「おいどんも」「私も」
「みんな、ありがとよ」
「お主がいうと、なんか、明るくなって士気があがるな」
「へ、誉め言葉か」
セイクの言葉にファイは照れるように指で鼻をかいた。
「不思議な力持っているな」
セイクが肉を食べながら言った。
もし結界がなければ、こんなに落ち着いて食べれないだろう。
モンスターの主食にも人間は当てはまるからだ。
ファイは確かに、不安な時みんなを励ますように前に引っ張る力があるかもしれない。
結界の外で見張りをしながらしばらくの間、話が続いた。
☆☆
おはようございます。
読者様もゆったりすごしているでしょうか。
昨日見て下さった方、更新できずにすみません。
連載は終わらないので気長にお付き合いくださいませ。
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