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第八十九話 傀儡の術 





攻勢が続くなか、一触即発の状況でフォライーと対峙していた。



「一瞬で、悪魔人形(デス・ファントム)、三体を粉砕しただと小癪な真似を!」



 いうと、フォライーはヒョウの魔剣をぎらりと睨みをきかせながら、一瞥する。


「アイスブレイカー? まさかッ?」



「ご名答だ! 減らず口が過ぎる野郎だ! 怪人、次は貴様だ!」



 ヒョウはニヤリと不敵な笑みを浮かべ、吐き捨てた。そして、魔剣の段平を返し、持ち方を迅速に変えた。この持ち方はもしや? 




 ヒョウが魔闘気を噴出させて、肩を振り上げた。



氷槍(アイスランス)!」



 一瞬のうちに魔剣に冷気がはびこり、剣が長くなり、氷の槍のようになって、それは、瞬足にフォライーの喉首目掛けて、突っ切っていく!




 だが、フォライーも魔族、そう容易く通用する相手でもなかった。



 フォライーは手を前に出して、魔族独特の闘気を出した。



「なんの、小賢しい『悪魔壁(デビルウォール)!』」



「チィ、防禦壁か、防ぎやがった。やっかいだな」



 フォライーの防禦壁に、アイスランスは阻まれ、突き刺さるのを相殺された。



 ヒョウが軽く悔しそうに舌打った。


 ウィードが、目を見開いてこの状況を刮目していた。びっくりしていたのだ。フォライーと互角に戦えるのを。



 そのときだった。



 フォライーが宙を軽く舞った。



「ウィードよ、レビ記を寄こせ、寄こせば、手を引いてやる」



「断る。お前にやる物などない」


 ウィードは体を起こしながら、厳しい口調で手を振り、否定した。



 姫様とテアフレナが妙な顔つきをしていた。ボンは後ろで震え建物に身を潜めている。



「レビ記? (一体、何のこと?)」




「気をつけろ、坊主、悪魔人形(デス・ファントム)のスピードが異常に速い。わしらの攻撃が完全に紙一重で躱されている」


 レギンがはっぱをかけるように、注意を促す。



 みな、ファイの攻撃を躱したことを目の当たりにし、スピードが異常なのは勘付いていた。



 しばらくの間、にらみ合いが続いた。対峙している。



 一歩、踏み込めば、間合いに入るためだった。



 フォライーが軽く嘲笑った。




「魔神剣士か。己れぃ、 いけぇ、悪魔人形(デス・ファントム)よ! 皆殺しにしろ!」



 デスファントムが一斉に駆け出してきた。



 そのとき、ウィードがようやく、身体を起こし、膝を落とした状態で、急いで横やりを入れた。



「く、皆さん、悪魔人形(デス・ファントム)の動きと毒手刀(ポイズン・ナイフ)に気をつけてください。斬られると急激に体力を殺がれ、早い内に治さないと毒が、回り死に至ります」




「掠り傷も負えないってわけか。ふぅ、弱ったな、こりゃ、な、坊主」



毒手刀(ポイズン・ナイフ)か、おもしれーじゃねーか。藁人形、俺の炎で身体ごと焼いてやる」



 ファイは段平を裏返した。みな、戦闘態勢に入った。



 間合いに飛び込まれようとした矢先、ファイは動き先手をうった。



 デスファントムの真上にファイは飛び込んだ。



 一瞬のうちにファイのラスタが膨れ上がっていく。




「一気に形をつけてやる、フレアストライク!」



 これは、死霊魔兵を苦しめた大技だった。



 炸裂すると、その場に大きく亀裂が入った。爆炎が舞い散る。



 だが、奴らのスピードがファイのスピードを凌駕していた。



 剣筋さえ、一閃させるものの、無傷だった。



 デスファントムは手刀を漲らせ、ファイに向かっていく。



「グギャ」



「!」



「坊主、避けろぉ!」



 なんと、ファイの喉首をナイフのような手刀が断ち切ろうと幾重にも複数のデスファントムから発せら

れた。




 レギンの咄嗟の檄をきき、ファイは上手く対処していた。



 だが、流石のファイでもスピードが異常なやつらの攻撃を全ては躱し切れなかった。



 どうにか躱し切ろうとしたそのとき、その中の一体の手刀が伸びてきた!



 絶体絶命だ。魔剣士と言えど首を掻っ切られては一溜まりもない。



BYUOOOOOO!




 ファイの頬を手刀がかすめていく。血が空中で吹き飛んだ。



「仕舞った、あの腕伸びるのか、一本、避け切れなかったぜ、へへ」



 ものすごい周りの早い毒なのか、一瞬のうちに体力を削がれ、ファイが片足をついた。



 傷口が紫色に変色していく。



 イーミ姫様が即時動いた。ファイに駆け寄っていく。



「ファイ、大丈夫よ、私の解毒魔法で、治してあげるわ 『魔解毒光リリーフハイ

』」



 一瞬のうちに淡い光がファイの傷口に綻んでいく。



 紫色の肌の変色が収まっていく。



 そのとき、レギンが一瞥し、啖呵を切った。




「イーミ姫様を守るんだ、坊主、あの伸びる手刀を近づけさせるな、敵は後一体だ」



「伸びる手刀、やっかいだな」



 ウィードがこの模様をじっとみていた。唖然となり声がでなかった。まさかと思ったのだ。




「(イーミ姫?) ! 貴方はもしや、ソレイユの」



「ウィードさん、話は後よ、この状況を切り抜けるのが先よ」



 姫様がウィンクをし、軽くウィードに相槌を打った。




 睥睨していた、魔族の輩が、鋭い眼光を放った。



「魔闘気、やはり、お前も、魔神剣士か」



 いうと、フォライーはまた宙を舞った。



 そして、ファイの前に立ちふさがり、イーミ姫様とウィードを上からみやる。




「ゲヘへ、ほほう、丁度よい、そこにおる娘はソレイユのお姫様か。血祭りにする価値があるというものだ」



「へへ、だから、どうした、かかってこいよ。お前の手下はもう、一体しかいないぜ」



 ファイがそういった矢先だった。



「う、(何だ、力が抜けていく、奴の毒か。回りが速い、姫様の魔法じゃ完治しないのか)」



 ファイは魔剣を地に落とし、前のめりに倒れこんだ。




「(かかったな)『傀儡魔衝巣(デビル・ヒュース)!』」



「ぐああぁぁぁっ」



「ファイ!」



 フォライーは解毒魔法で完治しないのを知っていたのか、計算したようにファイに術をかけた。蜘蛛の巣のように闘気の糸がファイの身体を締め付け、自由を奪った。

 



ファイは動くことすら、毒の回りでできない。力を削がれているのだ。



 強烈にフォライーの闘気がファイの術に投入されていく。



 みなの表情が一変した。








☆☆

















おはようございます。

遅い時間帯でも早い時間帯でも読んでくださっている方、ありがとうございます。

今日まだ更新します。

物語として更新していくのでブックマークや感想していただけるとうれしいです。

よろしくお願いします。

ブックマークしてくれてありがとうございます。

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