B─2─2─2
「う〜ん…霧宗が勝ちそうかな。」
「ほう…あなたは見る目があるようですね。」
霧宗が自分の白色フレームの眼鏡をクイッと上げる。
【漆夜霧宗:『好感度1UP』】
「マジかよ。だったらいいよ。俺の実力を見せつけてやる。」
凛之介の闘志が更に燃え、やる気に満ちる。
「では制限時間一分の間に腹筋回数が多い方が勝者ということにしましょう。」
霧宗が勝敗方法を告げると、凛之介が「上等だ!」と承諾した。
そして二人は十刃に審判をしてもらい、床に寝転んだ。
「それじゃあ行くよ二人共。レディ〜…ファイト!」
十刃の合図と同時に、二人は腹筋対決を始めた。
──一分後
「そこまで!」
十刃がタイムアップを告げると、凛之介と霧宗は腹筋を終了した。
「はぁ…はぁ…はぁ…どうだ…?」
汗だくの凛之介が、同じく汗だくの霧宗の方に視線を向ける。すると霧宗も同じように凛之介の方に視線を向けていた。よってお互い見詰め合うだけで、二人の頭の上に『・・・』が浮かんだ。
「……今思ったんだけどさ、二人共どうやって自分の腹筋回数をカウントしたの?」
十刃の質問に対し、二人から返ってきた答えは無言であった。
「……もしかして二人共、カウントする道具を使ってないし、腹筋するのに集中で回数も数えていないんじゃ…」
十刃が現状の妙な空気を作り出している原因の核心的な部分に触れると、凛之介と霧宗は十刃を見詰めるだけで返答はしなかった。そして『・・・』を再度頭の上に浮かばせた後、
「マジかよ〜!」
凛之介が叫びながら仰向けに倒れた。
「……これほど無駄な行為があっただろうか…」
霧宗も片膝を立てた状態で大きく溜め息をつき、自分のアホさ加減に肩を落とした。
「てめぇ霧宗!頭良いくせに何で気付かねぇんだよ!」
上半身を起こした凛之介が霧宗に怒鳴る。
「提案者はあなたでしょ!しっかりとそういうところも管理して下さいよ!」
霧宗も怒りの表情で凛之介に怒鳴る。
「両方馬鹿だよ。」
十刃が真顔で非情な事実を告げると、凛之介と霧宗は何とも言えない表情で落ち込んだ。
世界一無意味な勝負が終えた時、三人の腕時計型スキャン装置にメールが同時に受信された。
「ん?誰だ?」
十刃がスキャン装置を操作し、メールを開ける。
「送信者は…字史隊長のようですね。内容は…『ホープビルの会議室に集まれ。』のようです。」
霧宗が送信者とメール内容を確認する。
「うげ…面倒くせぇ〜…」
凛之介が露骨に嫌な顔をする。
「隊長からのご命令です。否が応でも従うしかありませんよ。」
霧宗がテキパキと会議室に向かう準備を始める。
「けっ!これだから忠誠心の強い奴は…」
なかなか準備しようとしない凛之介に対し、
「つべこべ言ってないで早く支度する。」
十刃が呆れながら催促する。すると凛之介が大きな溜め息をついた後、「へいへい。」と気怠そうに返事をした。
そして支度を終えた三人は、指示されたホープビルの会議室へと移動を開始した。
〔Cへ〕




