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幻想怪物討伐組織  作者: 眼鏡 純
2話:『蠢く影』
74/176

A(必ずここからお読み下さい)

「2話です!楽しんで読んでいただくと嬉しいです!それでは本編をどうぞ!」


「誤字、脱字等がありましたら申し訳ありません。」

《二話:蠢く影》


 十刃の初陣を兼ねた任務を終えたナンバーズは、無事に世界の希望(ワールドエルピス)ジャンパ国本部へと帰還した。


 赤い絨毯が敷かれた十畳ほどの広さの部屋。ここは世界の希望(ワールドエルピス)の元帥が仕事をしている『元帥室』である。

 部屋の奥に設置されている高級な木製のエグゼクティブデスク。そこに腰掛けているのが、先端を少しカールさせたワインレッド色のロングヘアと凛々しいエメラルド色の瞳をもち、清潔感漂う白を基調としたワンピースを身に纏った二十代後半の女性──『祖猟(そりょう)永美(えみ)』元帥であった。

「ドライアド及びグリフォン討伐、ご苦労様です。誰一人欠けることなく帰還して安心しました。」

美しく凛々しい声で労いの言葉を贈る永美。

「労いのお言葉ありがとうございます。」

深々と頭を下げるのは、白色の無造作の髪に蒼い瞳を持った二十九歳の男性──『数希晴(かずきばる)字史(あざなし)』であった。

「如何でしたか?緋雀さんの実力は。」

永美が十刃について尋ねる。

「優秀です。今後も活躍すると思います。」

字史が短く回答する。

「そうですか。では、引き続き緋雀さんの事をお願います。」

「承知しました。」

字史は返事をした後、永美に質問する。

「そちらはどうですか?メカリア国は説得出来ましたか?」

「他人事のように訊きますね。誰が説得しなければならない状況を作ったというのですか。」

永美が小さく溜め息をついてから回答する。

「ビギニング家の方々が器の大きくて良かったです。何とか承諾はしてくれました。ですが、いずれ緋雀さんの能力を直接こちらに訪れて確かめたい、とのことです。その時に能力がないと判断した場合は、強制的にナンバーズの称号を剥奪するそうです。しかもその判断基準はかなり高いらしいです。」

「そうきましたか。ならば緋雀がナンバーズに正式に認められるためには、『覚醒者』になるしかないということですね。」

字史の発言に永美が驚く。

「緋雀さんが覚醒者に!?」

「可能性の話です。ですが、彼には素質はあるかと思いますよ。」

字史が回答すると、永美はそうですかと返事をして乱れた心を落ち着かせた。

「……話は以上となります。あなたもゆっくりと体を休めて下さい。」

永美が会話を終了させると、字史が一礼してから元帥室を出ようとする。

「……字史、これは元帥としての立場ではなく、あなたの『同期』として訊きたい。あなたが緋雀君に執着するのは、自分を重ねているからじゃないの?」

永美が字史の背に向かって尋ねると、字史は歩みを止めた。

「…………」

しかし数秒の沈黙を置いただけで、字史は何も語ることなく元帥室を後にした。

「字史……もう自分を許してあげて…」

一人となった永美が、字史が出ていった扉を見詰めながら呟いた。




 初陣から一週間が経過した。その間にナンバーズが全員集いて行う任務はなかったものの、二、三人のナンバーズが別隊に同行して任務を行うことはあった。

 そして今、ホログラム訓練場で人工的に作り出された熊の幻想怪物と戦闘しているのは、無造作の赤髪に赤い瞳をもち、カジュアル系の服を身に纏った青年──『緋雀(ひじゃく)十刃(とおば)』であった。

「はぁぁぁぁあああ!」

十刃がファンタジーマタールの刀でホログラムの熊の首を撥ね飛ばすと、空中に『訓練終了』の文字が浮かび上がった。

「訓練終了です。お疲れ様でした。」

オペレーターからの訓練終了を告げられると、十刃は一礼してから訓練室を後にし、休憩室へ移動すると長椅子に座り込んだ。

「差し入れだ、緋雀十刃。」

そんな十刃にペットボトルのスポーツドリンクを差し出すのは、桃色のストレートセミロングの髪に緑色の瞳をもち、パーカーを羽織ったボーイッシュの服を身に纏った女性──『壱桜(いざくら)麗華(れいか)』であった。麗華も別のルームで十刃と同じ訓練を受けていた。

「サンキュー麗華。」

十刃は笑顔でスポーツドリンクを受け取ると、ゴクゴクと喉を潤す。

「緋雀十刃、初陣の頃より格段と強くなっている。」

十刃の隣に座る麗華が十刃を褒める。

「本当?なんかあまり実感がないんだけど。」

十刃は自分の手を見詰める。

「もしかしたら『覚醒者』の素質があるかもしれない。」

「覚醒者?」

麗華の言葉から初耳の単語を聴いた十刃が首を傾げる。

「知らないの?」

麗華が尋ねると、十刃がコクッと頷いた。

「私達が戦闘中に使用するUF─正式名称『Ultime(ユルティム) Force(フォルス)』は、人間の身体能力を究極の域まで強化することは知っているよね?」

麗華の問いに、十刃が頷く。

「身体能力が究極の域まで強化…確かにとてもスゴいこと。でも逆に言えば、身体能力の域は超えられていない。その身体能力の域を超える─つまり『人智を超える力』を『覚醒』と言い、覚醒状態になれる者を『覚醒者』と呼ぶの。」

「本当にいるのかそんな人?」

十刃からの質問に、麗華が首を縦に一回振った。

「ジャンパ国本部にも数人いたらしいけど、今は他国の方に行ってしまっていない。でも一人だけ残っている。」

「へぇ〜誰なんだ?」

「緋雀十刃もよく知っている人。」

「俺が知っている?まだ入隊して二週間くらいしか経っていないから、面識ある人少ないぞ。」

十刃が腕を組んでう〜ん…と首を横に傾ける。

「答えは…字史隊長。」

麗華が答えを告げると、十刃は大きくリアクションをとって驚いた。

「ええっ!?でも覚醒を使ったような感じは今まで見たことないぞ。」

「覚醒は体への負担が異常。故に覚醒状態中寿命を縮めることになると言われている。だから字史隊長は覚醒状態にならなんだと思う。」

麗華が自身の予想を告げると、まさかの人間から返答がきた。

「その通りだ壱桜。」

十刃と麗華の背後から、なんと字史本人が答えたのだ。

「「字史隊長!」」

十刃と麗華は椅子から立ち上がり、ビシッと綺麗な敬礼をする。

「改まる必要はない。リラックスしておけ。」

字史は二人にそう告げると、近くの自動販売機で缶のブラックコーヒーを購入する。

「訓練は終えたのか?」

缶の蓋を開けながら、字史が十刃と麗華に尋ねる。

「はい。午後からはフリーなのでどうしようか考えているところです。」

「私も訓練を終え、午後からは射撃訓練場へ行こうかと思っています。」

十刃と麗華が答えると、字史がそうかと返事をした。そこで会話は終了してしまい、沈黙が三人を覆った。気まずくなった十刃は、字史に問い掛けた。

「あの、字史隊長は本当に覚醒状態になれるのですか?」

「ああ、事実だ。」

字史があっさりと認める。

「だが、壱桜が話していた通り、覚醒は己の体への負担が異常だ。故にそうそう使うことはない。」

「どのようにしたら覚醒者になれるのですか?」

次は麗華が問う。

「……さぁな。俺もいつの間にかなれたから。こうすればなれる、というアドバイスは出来ない。」

「いつの間にって…やはり隊長は天才なんですね。」

十刃がアハハと笑う。

「ま、あまり勧められる芸当ではない。特に気にするな。」

字史はブラックコーヒーを飲み干してゴミ箱に入れると、休憩室を後にした。

「覚醒か…でも俺より断然強い麗華でもなれないのに、俺がなれるわけないか。」

十刃が麗華の方をアハハと笑う。

「なれる条件が分からない今、もしかしたら緋雀十刃の方が覚醒者に近い可能性もある。だから諦めてはダメ。」

十刃は冗談混じりで言ったつもりだったのだが、まさか麗華から真顔で真面目なコメントが返ってくるとは思わず、「そ、そうだな…」と苦笑いで返事をするしかなかった。

「じゃあ私はそろそろ射撃訓練場へ向かう。君はオフと言っていたな。身共にリフレッシュすることだ。」

麗華はそう言い残し、休憩室を後にした。

「……俺も行くか。」

充分休んだ十刃は、麗華から貰ったスポーツドリンクを飲み干してゴミ箱にペットボトルを捨てると、特に行き先は決めず、休憩室を後にした。



 ホログラム訓練場を出た十刃。青天の空を仰ぎながら、今からどうするか考えた。

「さて、どうすっかな〜…」


〈※ここでは読者(プレイヤー)様に二つの選択肢のうち、どちらか一方を選択していただきます。選択しなかった方を読むことは固く禁じます。〉




〔ショッピングモールへ行く→B─1へ〕



〔基地内で過ごす→B─2へ〕

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