B─1
あなたは『はい』の文字に触れた。
「ありがとうございます。それでは!存分に『幻想怪物討伐組織』をお楽しみ下さいませ!」
好瑠代が綺麗なお辞儀をした後、あなたの背後から暖かな光が差し始め、その光の中に一人青年が立っていた。あなたは青年の方を振り返るが、逆光のせいで青年の輪郭しか確認出来ない。
「あら?この小説の主人公のあなた様が何故このような場所に?」
好瑠代が光の中にいる青年に話しかける。
「今回の読者を見に来たのさ。」
青年が楽しそうな声で答える。
「もう…案内頁の世界には本編登場キャラクターは来てはいけないルールになっている筈ですよ。」
好瑠代は呆れ顔で溜め息をつく。
「悪い悪い。どんな人が読書してくれるのか気になったら、居ても立ってもいられなくなってな。今回だけ特別に許してくれよ。」
青年は両手を合わせ、許してくれと頼む。
「はぁ…今回だけですよ。」
好瑠代が特別許可を下すと、青年は嬉しそうにサンキューと礼を言った後、あなたに視線を向けた。
「よし!君が今回の読者だな?良い人っぽくて良かったよ!」
青年があなたに手を伸ばすのと比例し、光が徐々に強くなる。
「さぁ!─── 読書開始だ!」
あなたが青年の手をとると、光は急激に強くなり、青年とあなたを包み込んだ。
〔Cへ〕




