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幻想怪物討伐組織  作者: 眼鏡 純
1話:『初陣』
15/176

B─2

 「入隊を…お断ります。」

予想外の返答に、字史が面を食らった表情になった。

「そうですか。それならば止めはしません。私は緋雀さんの意志を尊重します。」

永美が気にしなくていいと優しい言葉をかける。

「おい緋雀!貴様何を言っている!」

字史が十刃の両肩を掴んで声を荒げた。

「すいません字史さん…。俺、ここに来るまでずっと考えていたんです。本当に俺は酒呑童子を倒せるのかって…。そうしたら心の中で復讐が恐怖に変わってしまって…今はあの時の光景を思い出すと…体が震えてしまうんです…」

そう告げる十刃の声に、もう戦意はほとんど残っていなかった。

「……っ!」

こうもハッキリと言われると、字史は何も言い返すことが出来なかった。

「諦めて下さい数希晴大佐。例えここで強制的に緋雀さんを狩人(カサドール)にしたとしても、無意味に命を落とすだけです。」

永美が字史を説得すると、字史はもう何も言わなくなり、十刃の両肩を離した。

「それでは緋雀さん、今回の話はなかったということで。弟様の分まで強く生きて下さいませ。」

永美が優しい言葉を送ると、十刃は永美に深々と頭を下げた後、元帥室を一人で後にした。


その後、十刃はスラム街へと戻った。

スラム街の者達は帰ってきた十刃を暖かく迎えた。

そして十刃は世界の希望(ワールドエルピス)に一切関わることなく、スラム街でその命尽きるまで暮らしたのであった。


 ぽっかりと心に空いた穴は、生涯埋まることはなかったが。



ED3:消えた復讐心


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