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幻想怪物討伐組織  作者: 眼鏡 純
1話:『初陣』
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A(必ずここからお読み下さい)

「1話です!ここからこの小説の特殊要素である『選択肢』が多数あります!是非とも『自分ならば…』と考えながら、主人公の十刃君を導いて下さい!それでは!本編をどうぞ!」


「誤字、脱字等があれば申し訳ございません。」

《一話:初陣》


 酒呑童子の一件が終えた字史と十刃は、十刃が出てきた(ハウラ)の場所からスラム街へと帰ってきた。そこには十刃と青茶金の無事を祈っていたスラム街の仲間達と、今から救出へ向かおうとしていた狩人(カサドール)が三人いた。

「数希晴大佐!ご報告が…!」

狩人(カサドール)の一人が字史に状況の説明をしようとすると、

「お前達が遂行しようとしている任務は既に完遂している。報告は俺がするからお前達は速やかに撤退しろ。」

字史が食い気味に任務を達成していることを告げた。

「大佐お一人で…ですか?」

「ああ。とにかくお前達は基地へと戻れ。」

「「「はっ!」」」

狩人(カサドール)三人はシンクロ率百%で敬礼すると、テキパキと帰還を済ませ、基地へと戻っていった。字史は三人が帰っていくのを見届けると、視線を十刃の方へと向けた。十刃の周囲にはスラム街の住人達がいる。泣きじゃくる者や膝から崩れ落ちる者、様々なリアクションをとっており、悲しみの感情が包み込んでいる。どうやら十刃が青茶金の最期を話したようだ。

「そうか…三人とも…」

真っ白で伸び伸びボザボザの髪と髭を生やし、曲がった腰をそこら辺で拾った丈夫な木の棒で支える──ジッサンと呼ばれている老人が悲しげな表情で十刃に話しかける。

「ごめん…俺がもっと早く三人を見つけていたら…」

地面の方を向いたまま、グッと握る拳を強める十刃。ジッサンはゆっくりと首を横に振った。

「お主のせいではない…お主は自分の命も顧みずに三人を助けにいってくれた。それだけで充分じゃ。」

「でも……」

十刃の心は晴れない。いや、晴れる訳がない。

十刃が己の無力さに自分自身を責めていると、字史が十刃に近寄り話しかけた。

「自暴自棄は己の自信と心を破壊するだけの無駄な行為だ。それよりもお前は酒呑童子を前にして、こうして生きて帰還した。その強運を誇っておけ。」

字史なりの慰めなのであろう。しかし今の十刃の心にはとても響く言葉であった。

「あなた様は雷槍の達人の異名をもつ数希晴字史大佐ですね?この度は十刃の命を救って下さり、誠にありがとうございます。」

ジッサンが字史に深々と頭を下げて礼を言った。

「人類を守るのが我々狩人(カサドール)の使命、それに従ったまでです。」

字史は特にリアクションなく淡々と応える。

「そろそろ行くぞ緋雀。」

「は、はい。」

字史はスラムの人達に背を向けて都心へと歩き出す。

「十刃、行くというのはどういうことじゃ?」

ジッサンが十刃に言葉の意味を問う。

「……俺、狩人(カサドール)になるって決めたんだ。そして…十峰ために復讐を遂げる。」

十刃の答えに対し、周囲の皆がざわめいた。

「……復讐の道を歩むか。その道はお主が思っている以上に険しいぞ?覚悟は出来ているのじゃな?」

ジッサンの問いに対し、十刃は無言で強く頷いた。

「……そうか。ならば儂は何も言うまい。」

十刃は腰から九十度に体を曲げ、ジッサンに頭を下げる。

「十年間…ありがとうございました!」

初めて十刃がこのスラム街に来たのは十歳の頃。まだ一歳も満たない十峰を抱いて現れた少年をずっと見守ってくれていたのが、紛れもないジッサンであった。

「早う行け。大佐様を待たせてはいかぬ。」

ジッサンがそう答えると、十刃は頭を上げ、待ってくれていた字史の元に駆けていき、そして振り返ることなくスラム街を字史と共に去っていった。

「……死ぬなよ、十刃。」

ジッサンは小さく本音を呟くと、我が子の巣立ちを見送る親の如く視線で、小さくなる十刃を最後まで見届けた。



 スラム街を後にした十刃と字史は都心へと到着した。別に都心に来たことがないわけではなかった十刃であったが、ここまでじっくりと都心を歩くことはなかったため、少々戸惑っている。

「着いたぞ。」

十刃がキョロキョロと周囲を見ていると、前方に目的地である『世界の希望(ワールドエルピス)ジャンパ本部アズマキョウ地区基地』に到着した。アズマキョウ地区基地は、首都アズマキョウの中央の土地に展開されており、基地内には様々な形や建物が建てられている。外から見ればアミューズメントパークのようにも見える。

「遠目でしか見たことなかったんですけど、ジャンパ本部って(ハウラ)を張られていたんですね。」

十刃はアズマキョウ地区基地を囲むように張られているバリアを見上げる。

「無断侵入を防ぐためと、仮にアズマキョウ地区を守る(ハウラ)が破壊された際、幻想怪物の攻撃から基地を守るために張っている。出来れば後者の方の理由で使う日が来ないことを願うがな。」

字史は返答した後、入口に立つ人型警備ロボットに話しかける。

「外部の者を中に入れたい。手続きを頼む。」

「了解シマシタ。手続キヲスル人ハ誰デスカ?」

「緋雀、こっちで手続きをしろ。」

「はい!」

十刃は字史の指示に従い、人型警備ロボットの前に立つ。

「ソレデハデータヲ取ラセテ貰イマス。」

そう言うと、警備ロボットは両目からレーザー光線を放ち、十刃の頭の先から足の先まで念入りにスキャンする。そして数分後、

「データ収集完了。異常者反応ナシ。凶器反応ナシ。基地ニ入ルコトヲ許可シマス。最後ニ外部ノ人ヲ入レタトイウ証人ヲ設定シテ下サイ。」

こちら側に証人を求めてきた。字史が手慣れたように警備ロボットの顔の前に、自分の左手首に巻かれているスキャン装置を翳した。警備ロボットも手慣れたようのスキャン装置のデータを数秒で調べた。

「証人完了。入ルコトヲ許可シマス。」

「よし、入るぞ。」

字史がスキャン装置をバリアに触れさせると、人一人分通れる穴が開いた。先に字史が通り、その後に十刃が通る。ちなみに許可を取らず、無理矢理に狩人(カサドール)が空けた穴を通ると、不審者と看做(みな)され、即座に警備ロボットによって捕らえられる。



 流石は異名を持つほどの人物。字史が基地内を歩くだけで周囲から注目されている。そして今回は、字史の後ろに見たことがない小汚い青年がいるため、更に注目度が増している。

「あの…一体何処に向かっているんですか?」

周りからの視線が気になる十刃が、淡々と前を歩く字史の背中に行き先を尋ねる。

「前方に見えている、あれだ。」

短く答える字史。十刃は言われた通り自分達が向かう方向に視線を向いた。そこには円柱型の高層ビル──『ホープビル』と呼ばれるビルがそびえ立っていた。

「あのビルの最上階に行き、世界の希望(ワールドエルピス)ジャンパ国本部『元帥』と会う。そしてお前の入隊許可をもらう。」

今からの目的を歩きながら告げる字史。

「あっ…まだ俺って狩人(カサドール)じゃなかったんですね。」

もう既にどこか入隊した気分だった十刃が少し驚いた。

「当たり前だ。俺の地位は大佐だ。上層部に無断で兵を増やせるほど権力は持っていない。それに、世界の希望(ワールドエルピス)に入隊させるか否かを決めるのは元帥の仕事だ。」

「そうなんですか。」

ここで話は終わってしまい、少々気まずい空気を漂わせたまま、ホープビルの真下に到着した。

 ビル内は無駄に入り組んでいたり、派手な装飾があるわけでもなく、至ってシンプルであるが、隅々まで清掃が行き届いており、とても綺麗な内装であった。

 字史は真っ直ぐエレベーターに向かい上ボタンを押す。そして扉が開き、下りる人達に敬礼をされながらエレベーターに乗り、最上階のボタンを押す。ここまでのスムーズ具合、日々している行為だと伺える。対する十刃は周囲の雰囲気に完全に飲まれており、就職活動のために田舎から初めて都会に来た就活生の如く周囲をキョロキョロと見渡している。

 そんな二人は沈黙満ちるエレベーターに乗って最上階へと一気に上った。そして最上階に到着すると、人型警備ロボット二体が見張る豪勢な木製の扉の前に立った。

「ドチラ様デスカ?」

字史から見て右側の警備ロボットが尋ねてきた。

「元帥に会わせろ。数希晴字史大佐と言えば分かる筈だ。」

「暫シオ待チ下サイ。」

警備ロボットは内蔵されている通信機器で部屋の中にいる元帥と通話を始めた。そして数分後、通話を終えた。

「許可ガ下リマシタ。ドウゾ、オ入リ下サイ。」

警備ロボット二体が扉の前から離れ、字史と十刃が入れるようにした。

字史は扉のドアノブに手をかけ、躊躇なく開けた。

 十畳ほどの広さの部屋には赤い絨毯が敷かれており、右の棚には様々な資料が保管されたファイル、左の棚には頭が痛くなりそうな辞典や本などがジャンル別に完璧に陳列されている。そして部屋の一番奥の窓の前に置かれた、高級な木製のエグゼクティブデスクに腰掛けているのが、世界の希望(ワールドエルピス)ジャンパ国本部の元帥であった。

「任務ご苦労様です、数希晴大佐。」

 美しく凛々しい声で字史を労うのは、先端を少しカールさせたワインレッド色のロングヘアーと凛々しいエメラルド色の瞳をもち、清潔感漂う白を基調としたワンピースを身に纏った、お嬢様という単語を具現化したような二十代後半の女性であった。

「労いのお言葉、ありがとうございます。そちらはご順調ですが?」

字史が逆に元帥に尋ね返す。

「色々と問題は尽きませんが、皆様のご活躍のお陰で順調です。」

口調から良い家系の人だと、初対面の十刃でも分かるほどであった。

「…あなたは?」

元帥が十刃に美しいエメラルドの瞳を向けて尋ねる。

「えっと…緋雀十刃と言います。」

十刃が緊張しながら名を名乗る。

「私は世界の希望(ワールドエルピス)ジャンパ国本部元帥、『祖猟(そりょう)永美(えみ)』と申します。」

元帥は名を名乗った後、女神のような美しい微笑みを浮かべる。十刃は何だか恥ずかしくなり、取り敢えず頭を下げた。

「彼はスラム街出身の青年です。私が任務から帰還中、酒呑童子を襲われているところを保護しました。」

字史が簡単に十刃の情報を報告する。

「酒呑童子に!?」

永美が大きくリアクションをとる。

「詳細は本人から聞いてみましょう。」

字史が十刃を横目で見る。

「……お話出来ますか?」

永美が優しく問いかけると、十刃はハイと頷いた。


 「成る程、弟様が…心中お察し申し上げます。」

十刃の話を聞いた永美が、十刃の気持ちに同情する。

「いえ…そんな…」

どう返事をしたらいいか分からず、十刃は軽く会釈をするしかなかった。

「今回こうして直々に元帥の元に参ったのは、彼を狩人(カサドール)にすることを承諾してほしいのです。」

空気が重くなりかけたところで、字史が話題を変えて空気の重みを維持した。

「何故、緋雀さんを狩人(カサドール)にしたいのですか?」

永美が理由を尋ねる。

「彼の復讐心が使えそうだからです。」

字史が十刃の肩に手を置き、僅かばかり口角を上げた。

「……あなたは本当に人の復讐を利用するのがお好きなのですね。」

永美が少々軽蔑な目で字史を見詰める。

「利用とは人聞きの悪いですね。復讐はその者の戦闘意欲を駆り立てる優秀な感情ですよ?その戦闘意欲が幻想怪物に向けられ、幻想怪物を討伐し続けると、人類の悲願である幻想怪物殲滅も現実味を帯びる。その方が祖猟元帥も有り難いのではないですか?」

字史が復讐という感情に対する持論を述べる。

「…その考えは、あくまであなたの持論として受け取ります。ですので、有り難いか否かの問いに対してはお答え出来ません。」

永美がとても丁寧に返答をすると、字史は特に言い返すことはしなかった。

「私は決してこちらから入隊しろと強制はしません。入隊するか否かは、入隊志願者の意志を尊重したいと思っています。」

そう永美が述べた後、十刃は永美と字史に視線を向けられた。

「緋雀十刃さん、改めてお尋ねします。あなたは世界の希望(ワールドエルピス)に入隊する意志はありますか?」

永美がエメラルド色の瞳を真っ直ぐに十刃に向けて問いた。

「……俺は…」


〔入隊すると告げる→B─1へ〕


〔入隊しないと告げる→B─2へ〕

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