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世界  作者:
-2nd- / カエデの邂逅
99/175

第98話 幼女と怪訝

Side 櫟

ある日、俺の兄貴の楓兄が幼女になって帰ってきた。何言っているかわからないと思うが

俺も楓兄の身に何が起こったのか全く分かってない。

楓兄は小柄で母親似で女子と言っても納得できるような人だった。

属性で言えば小動物系女子かその辺だと思う。

よく告白されているのを目にしたことがあるし、相談されたこともある。

正直俺も守ってやりたいと思う、またあんな事にならない様に、そんな兄だった。

同性に好意を向けるのはあれだけれども好きだったのかもしれない。




☆☆☆




蝉が鳴き、殺人的な日光と猛暑の刺す真夏の終業式の2日前の日。

学校から帰ってくると聞き慣れた桜の声と耳に馴染まない

妙に高い幼女の声が聞こえたんだ。


まあ、桜の事だから友達の姉妹でも上がらせてるのだろうと思った。

玄関に近付いて行くに連れて内容も聞き取れた。

何やら隠れるだとかそんな会話をしていた。

別に隠れる必要も無いと思うんだけどな。その時はそう思っていた。

「なんか可愛い声が混じってた様な」くらいにしか思わなかった。


部屋に入った。目の前には全体的に青色の獣耳幼女と桜がいた。

男性物の…というより俺と違う学校の制服の夏服のシャツのみを着ている。よく見ると楓兄ちゃんの学校の制服だった

傍から見れば"桜が楓兄ちゃんの制服を借りて目の前のちっちゃな幼女にコスプレさせてみたがサイズが全く合わなかった"と言った方が似合う光景だ

「桜、何やってる?そこの可愛い子は誰?さっきお兄ちゃん言ってたけど...」

俺は桜に問いただす。目の前の幼女が変な行動をしていたからだ。

行動だけじゃなく姿も上だけしかない服も十分に変だと言えるが

大体は俺から逃げるような行動をとっている。

そんなに俺は怖いか?怖いなんて言われたこともないが。

「あわわわわわわ...」

桜が変な声を出している。慌てているように見えた。

「ぼ...ぼくはくぬぎのおにいちゃんだよ!」

「は?」

今、この幼女なんて言った?俺のお兄ちゃんだと言った?

「こんな幼女が楓兄ちゃん?何言ってるんだ?楓兄ちゃんはこんな4、5歳に見える様な幼女じゃない。童顔だったけど男で高校生だったはず。」

俺はその場で考えるように謎の幼女に何方かと言えば桜に正論を突き立てていく

「ぼくはくぬぎのおにいちゃんだよ!」

部屋に幼女の未熟で高い声が響く。

というか。この幼女。俺の名前を呼んだ?

俺は目の前の幼女に問いかけた。

「なんで俺の名前知ってるんだ?」と


しばらくこういう会話が続きやっと事情を聞き出せた。

目の前の幼女は楓兄らしい。今は仮としておこう。

楓兄の制服のシャツらしいものを着ていてもそう簡単に信じることは出来ない。

俺もまだ信じることなんて出来ていないし

目の前にいる幼女もきっと自分の身に起こったことが理解出来てないのだろう

俺は非現実を直視したせいか頭を悩ませていた。頭が痛くなってきた。




☆☆☆




楓兄は頭に生えたケモ耳と尻尾の存在に気付いていない様だったので指摘してやった。

「楓兄ちゃん、それ隠したら?」と

「ん?」という気が付いたような声を発した幼女はさておき

「頭に生えてる獣耳と腰のあたりで揺れている気持ちよさそうな尻尾が生えてる。」と

明確に指摘してやった。

幼女は頭に小さな手をやると確認しているかのようで自らのケモ耳をもふもふした。

幼女は困ったような表情をしていた。

自らを人外と、人じゃないと、認めたのかもしれない。

ケモ耳生えている人なんて俺は見たことがなかった。今日初めて目にした。

幼女が確認し終わったあとに桜が幼女をもふっては幼女は嫌そうな声を上げていた。

妹がケモナーだという事実も知りたくなかった。


俺は部屋に戻る。頭の中は混乱と苦悩で溢れていた。よくもまあ、こんな状況で正常な思考は出来ていたのか不安になるくらいだった。

また壊れなければいいけども楓兄ちゃんはか弱いし繊細だからこれから苦労するんだろうか…

「桜、俺は1回寝る、疲れたんだ。」

「お兄ちゃん、おやすみ」

桜とすれ違い桜も疲れているようだった。俺よりは多少マシだといいな

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