第97話 驚愕と修正
Side 運営
此処はパソコンの立ち並ぶ運営の会社の一室。
「開発所長、どうするんですか?」
若い新人社員が困り果てている。目の前には髭の生えた大体50歳くらいのおじさんがいた。
椅子に座って珈琲を飲んでいる。貫禄のある姿だった。
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「これは困ったねえ。」
「困ったねえじゃありませんよ。どうするんですか?」
「まあ、種族欄も設定してなかった俺らにも非があるしそのままでいいんじゃないかね?」
そういうと珈琲を飲み干したのかその場からおじさんは立ち去ってしまった。
「俺はどうすればいいんだよ。」
「これからあの幼女は愛でられる訳だしそれでいいんじゃないか?」
「何言ってるんだ。」
あの少女とは誰のことを指すのか。
「ええい、とりあえず修正しにかかるぞ。ケモ耳は消すべきだろ。」
「俺らが作った世界だから俺らが自由に操れると言いたいわけだ。」
「そうだ、間違ってないだろ!」
「間違ってないな、頑張れば消せるかもしれない。」
若い大人2人が暗い部屋で騒いでいる。大人気ない。
誰かが見ていたなら大人としては見なかっただろう。
幼女の体は宙に浮いている。以前とは違い海洋系の装備を着ていた。
以前は白百合の様な綺麗なドレスを着ていた。
つまりこれはログインしたという証拠にほかならない。
「あれ?ああ、この装備は割と普通だ。」
「あれ?それ俺が絵に書いて提案した装備じゃね?もう手に入れた奴いんだ。」
自分の書いた絵の衣装が採用されたので片方の男性は嬉しさに顔を緩ませる。
「結構良かったよな。けど技術強すぎると思う。」
「何言ってんだ、あまり寄られない島だからこそこういう装備入れるのが普通だろ?」
「隠し装備という奴か。なるほどな。」
もう片方の男性は男性の意見に納得したようだった。
☆☆☆
「修正作業に映るぞ。」
男性はケモ耳と尻尾を消し機能使って消そうとするが黒い風景だけが消える。
「あれ?おかしいな。」
「どうしたんだ?どこがおかしいんだ?」
「消えない。」
男性は驚愕したようにもう片方の男性に告げた。
「は?、ちょっと貸してみろよ。」
「ああ、うん。」
男性はもう片方の男性にキーボードとマウスを渡した。
もう片方の男性はマウスでポインターを合わせ
幼女のケモ耳をなぞっている。
「本当だ、消えない。どうなってんだ?」
「わからない。」
何回もやるがケモ耳が消えない。
尻尾の方にポインターを合わせポインターを動かしてみるが
「尻尾も消えない。」
運営の力を持ってしても消えないケモ耳。どうなっているのか。
男性2人は諦めたのかパソコンの画面を消した。
「俺らにはわからない何かの因子が働いているのか?」
「なんだその怖い話は。」
確かに怖い話である。
人という生物は道というものに怯え異常というものを拒絶する。
男性2人にはケモ耳の生えた幼女が未知に見えた。
「帰りますよーっ」
「あぁ、帰るか。なんも見なかった。」
男性は片方の男性を呼んで部屋から出ていってしまった。
男性は今の出来事を記憶から削除したようだった。
いわば現実逃避である。
部屋には誰もいなくなった。
真っ暗な部屋と窓から覗く月の光が差し込んでいる。
しばらくして画面が付く。
藍髪の獣耳の少女が満月の光に照らされてその場にいた。
青く輝く艶やかな尻尾も見えている。
少女はパソコンの間を歩いていくと何処からか本を取り出し
本のページを開きながらパソコンを動かした。
「潜入成功にゃ」
その場には悪い笑みを浮かべる青いケモ耳少女と
少女が電源を入れたであろう幼女のアバターの写っているパソコンがあった。




